追突事故の過失割合は10:0?損害賠償が受ける影響について解説!

2019年02月27日

追突事故の被害にあった場合、過失割合がどうなるのか不安になる方も多いのではないでしょうか。過失割合があると、損害賠償額に大きな影響があらわれる可能性もあります。

そこで今回は、追突事故の過失割合について解説していきます。

過失割合とは

過失割合とは、発生した交通事故に対して、事故当事者双方にある不注意や過失といった責任を数字で示したもののことです。

では、過失割合は、誰が・どのように決めているのでしょうか。

過失割合の決まり方

過失割合を決めているのは、警察だと思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、過失割合を決めているのは、保険会社です。

保険会社が過失割合を決める際には、以下のことを参考にしています。

  • 事故当事者双方の証言
  • 調査会社(※1)の資料
  • 過去の判例       など

※1 調査会社とは、客観的・物理的な観点から事故の原因を明らかにするためにある第三者機関です。

追突事故の過失割合は10:0って本当?

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追突事故の場合、基本的に「追突した側が10、追突された側が0」という過失割合になることが多いです。なぜなら追突事故は、以下のような運転者の不注意によって発生することが多いためです。

  • 脇見運転をしていた
  • 前方を走る車の動きを確認しなかった
  • 後方の確認をせず、後ろに下がってしまった
  • 渋滞中で油断して景色を見ており、運転に集中していなかった   など

また、道路交通法26条において、以下のようなルールが定められています。

車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

道路交通法第二十六条

つまり、車と運転する際、前方車との車間距離を十分に空けておかなければならないということを意味しています。

上記2点のことから、追突事故では10:0になる傾向が強いです。ただし、稀に追突事故でも10:0にならないケースもあります。

追突事故の過失割合が10:0にならないケース

追突事故の過失割合が10:0にならないケースとしては、追突された側が道路交通法に違反していた場合です。具体的には、以下のような事故の状況のときに起こり得るものです。

  • 前方を走る車が追い越しを妨害して起こった追突事故
  • 前方を走る車が必要のない急ブレーキをして起こった追突事故
  • 駐停車禁止場所に停車中の車にぶつかった追突事故

前方を走る車が追い越しを妨害して起こった追突事故

前方を走る車は、追い越そうとしている車を確認した場合、進路を譲らなければなりません。このように、追い越しの妨害をした場合、避譲義務違反や追い越し時の加速といった道路交通法違反にあたります。

このような追突事故の場合、追突された側にも約20~40%の過失が問われます。

前方を走る車が必要のない急ブレーキをして起こった追突事故

急ブレーキの使用は、道路交通法24条で制限されています。

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

道路交通法第二十四条

このように、前方を走る車が必要のない急ブレーキをかけた場合、道路交通法違反にあたります。そのため、このような追突事故の場合、追突された側にも約30%前後の過失が問われることになります。

駐停車のルールを違反して停車している車との追突事故

道路交通法では、以下のような駐停車のルールが定められています。

車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。

道路交通法第四十四条

車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。

道路交通法第五十二条

車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。

道路交通法第四十七条

上記のような道路交通法に違反している車との追突事故の場合、追突された側にも約10~20%の過失が問われることがあります。

過失割合は損害賠償額に影響を与える!

過失割合は、単に責任の割合を決めるものではありません。被害者にも過失が認められている場合、支払われる損害賠償が減額されてしまう可能性があります。

ただし、自賠責保険任意保険では、過失割合による影響の受け方が異なります。

自賠責保険

自賠責保険は、交通事故の被害者を救済することを目的とした保険です。そのため、被害者の過失が7割未満であれば、損害賠償が減額されません。また、過失割合が7割以上だったとしても損害賠償は、2割のみの減額となっています。

任意保険

任意保険の場合、自賠責保険とは異なり、過失割合そのものが減額される割合となります。したがって、損害賠償額が100万円で被害者の過失割合が20%だった場合、受け取り金額は2割減額されて80万円となります。

過失割合は変更可能?

被害者が受け取れる損害賠償額が減額されることもあるため、過失割合はとても重要なものです。そのため、保険会社が決めた過失割合に納得できない場合は、変更したいと考える方も多いのではないでしょうか。

過失割合は、示談交渉で事故当事者双方が合意した上で、正式な過失割合が確定することになります。したがって、示談交渉の際に納得しない場合は、過失割合の変更も可能です。

過失割合の変更方法

過失割合の変更方法には、以下のように4つの方法があります。

  • ①示談の際に交渉してみる
  • ②弁護士に相談してみる
  • ③民事調停で交渉する
  • ④裁判を起こす

①示談の際に交渉してみる

示談で過失割合が納得できない旨を主張することで、過失割合が修正されることがあります。このとき、口頭だけで主張するのではなく、以下のようなものがあるとよいです。

  • ドライブレコーダー
  • 事故の目撃者の証言
  • 発生した事故と似たような事故の判例

上記のものは、過失割合が正しいものでないという根拠になります。そのため、証拠が認められた場合は、過失割合が変更される可能性が高いです。

②弁護士に相談してみる

過失割合に関する問題は、法律知識が必要になるため、弁護士に相談するのもよい方法です。弁護士は、法律に関する知識を持っており、相談者の代わりに過失割合の変更の交渉も行ってくれます。

ただし、弁護士に相談すると、弁護士費用がかかってしまう可能性があるので、注意しましょう。

③民事調停で交渉する

示談で過失割合の交渉を行う際、相手に示談の意思を感じられない場合は、民事調停を行うことも可能です。

民事調停とは、加害者と被害者の間に裁判所の調停機関が入って話し合いを進め、問題を解決する手段です。ただし、民事調停を行う場合、請求する損害賠償額に応じた費用が必要になります。

民事調停にかかる費用は、以下の通りです。

請求する損害賠償額 民事調停の費用
10万円まで 500円
50万円 2,500円
100万円 5,000円
300万円 10,000円
500万円 15,000円
1000万円 25,000円

④裁判を起こす

裁判で過失割合の問題を解決することも可能です。ただし、裁判になると、月1回法廷へ出廷し、審議を行わなければなりません。そのため、問題解決までに1~2ヶ月程がかかることもあります。

また、裁判を起こした場合も民事調停と同様に、以下のような費用が必要になります。

請求する損害賠償額 裁判費用
10万円まで 1,000円
50万円 5,000円
100万円 10,000円
300万円 20,000円
500万円 15,000円
1000万円 25,000円

上記のことから、裁判を起こすと民事調停よりも費用がかかることがわかります。ただし、自身が加入している保険に弁護士特約がついていれば、裁判に関する費用を保険会が一部負担してくれます。

追突事故の過失割合についてのまとめ

いかがでしたか。過失割合は、事故当事者双方の証言や調査会社の資料、過去の判例などを参考に、保険会社がきめています。

追突事故の過失割合は、基本的に追突した側の責任が重く「10:0」となることが多いです。しかし、被害者が道路交通法に違反していた場合は、「10:0」にならないこともあります。

また、過失割合があると、被害者が受け取れる損害賠償額が減額されてしまいます。そのため、保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合は、今回の記事を参考に過失割合の変更を行うことをおすすめします。