交通事故の慰謝料。損をしないためのポイント4つ
交通事故によって怪我をした場合「慰謝料」を請求することができます。耳慣れた言葉ではありますが、そもそも慰謝料とは何を指すのでしょうか?
交通事故に遭うと、物質的な損害だけでなく精神的にもダメージがあります。それに対する賠償金を「慰謝料」といいます。慰謝料の種類、金額の基準を知って、適切な額を受け取るようにしましょう。
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慰謝料は3種類ある
慰謝料は、大きく分けて3つあります。
1.傷害慰謝料(入通院慰謝料)
交通事故によって入院したり、退院後も通院の必要性がある場合に、被害者の肉体的・精神的な損害を賠償するためのお金を指します。入院期間の有無や、通院期間の長さによって金額は変わってきます。
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2.後遺障害慰謝料
交通事故で怪我を負ってから、一定期間治療を続けても症状が緩和されない場合、その怪我は「症状固定」となります。症状固定となった時点で後遺症となり、慰謝料の支払いは打ち切られてしまいます。ただし、後遺症が後遺障害と認められ、さらに後遺障害等級が認定されることで、後遺障害慰謝料を受け取ることができます。後遺障害慰謝料は、交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで、被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。
▶︎参考:後遺障害等級認定の申請方法について、詳しく知りたい方はこちら!
3.死亡慰謝料
交通事故によって被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料。原則として、死亡した人の相続人が慰謝料を受け取ります。
▶︎参考:死亡慰謝料の金額について、詳しく知りたい方はこちら!
プラスで請求できるお金
上記の慰謝料の他にも、交通事故に遭った場合に受け取れる損害補償があります。
治療費用
交通事故による負傷の治療にかかった実費。
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入院雑費
入院に必要な、衣類などの日用雑貨、通信費、文化費などを入院雑費といい、自賠責基準では一日あたり1100円、訴訟基準だと一日あたり1500円で計算されます。
通院費
自宅から医療機関までにかかった交通費。往復交通費×通院した日数分が支払われます。
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休業損害
交通事故によって仕事を休まなければならなかった場合に支払われます。事故に遭う直前3ヵ月の給与の合計を90日で割って一日あたりの額を出し、休業した日数分もらえます。
慰謝料の計算基準
自賠責基準
自賠責基準とは
車を運転する人が強制的に加入する「自賠責保険」。交通事故が起きたときに支払われる最低限の保険金であり、3つの基準の中で最も低いものです。
自賠責基準の相場
入通院慰謝料は、治療期間の1日あたりを4200円として計算されます。入院日数、通院日数、治療にかかった日数を合計して、4200円にかけます。実際の入通院期間と、実際の入通院期間×2の金額を比較し、少ない方を入通院日数とします。
後遺障害慰謝料は、最も重い1級で1100万円、最も軽い14級で32万円です。
自賠責基準の場合、死亡した場合の慰謝料は一律で350万円です。ただ、遺族にも慰謝料が支払われます。扶養家族が1人で750万円、2人、3人は100万円ずつ上がります。扶養家族がいない場合は、請求者が1人で550万円、2人、3人は100万円ずつプラスされます。
任意保険基準
任意保険基準とは
自賠責保険の保険金だけでは損害額をカバーできないことが多々あります。補えなかった部分を補償するために、保険会社から支払われます。3つの基準の中で真ん中に位置します。金額は非公開で、保険会社によっても額が異なります。
任意保険基準の相場
傷害慰謝料は、入通院日数に応じて支払われます。計算方法は自賠責基準と異なり、月ごとに計算されます。金額は保険会社によって異なるため、各自で確認するようにしましょう。1ヵ月通院で12万6000円程度になります。
後遺障害慰謝料は、1級で1300万円程度、14級で40万円程度。
死亡慰謝料は、自賠責基準と弁護士・裁判基準の間くらいと思っておきましょう。
弁護士・裁判基準
弁護士・裁判基準とは
弁護士を立てて、裁判を起こしたときに受け取れる慰謝料の基準です。交通事故処理委員会が、裁判所の判例などをもとに公表しています。金額は3つの基準の中で最も高額になります。
弁護士・裁判基準の相場
傷害慰謝料は、通院期間1ヵ月で19万円~28万円程度、入院1ヵ月+通院1ヵ月の場合は52万円~77万円程度。
後遺傷害慰謝料は1級で2800万円程度、14級でも110万円程度になります。
慰謝料の額を決定するポイント4つ
上で紹介した3つの基準以外にも、受け取れる賠償金の額を左右する要素があります。
1.通院期間・入院日数
入通院日数が長ければ長いほど、入通院慰謝料の額は上がります。「もう治ったかな」と自己判断で通院をやめずに、きちんと完治をするか、症状固定の診断がおりるまで通院を続けることがポイントです。
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2.過失割合
過失割合とは、簡単に言うと「その交通事故でどちらが悪かったか」という割合を数値化したもの。最終的な損害額から自分の過失割合分が差し引かれてしまいます。(例:総額が100万円で、自身の過失割合が2割の場合、100×0.2=20万円が差し引かれ、80万円が支払われます)そのため、過失割合を交渉する際は、簡単には引かないようにしましょう。判例などを引き合いに出して、不利にならないようにすることが大切です。心配な場合は弁護士の力を借りるとよいでしょう。
3.休業損害
交通事故の怪我が原因で仕事を休まなければいけなくなり、収入が減少してしまった場合の減収分が補われます。症状固定となるまで支払われ、休業期間が長くなれば長くなるほど、受け取れる金額が高くなります。
4.後遺障害等級
前述のとおり、交通事故の怪我が後遺障害になった場合、後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料の支払いを受けることができます。後遺障害等級は1級から14級まであり、1級が最も重く、14級が最も軽い症状となります。後遺障害慰謝料の金額は、症状が重くなるにつれて上がっていきます。交通事故の怪我が症状固定となったら、医師に後遺障害診断書の作成を依頼し、後遺障害等級認定を受けるようにしましょう。
交通事故の慰謝料について相談したいとき
ここまで、慰謝料についてご説明してきましたが、さまざまな基準があり、自分では判断しきれないこともあります。そんなときに心強いのが弁護士。自分がどれだけ慰謝料がもらえるのか、損をしていないか、慰謝料の引き上げは可能かなど、多様な相談に乗ってもらえます。任意保険によっては、弁護士への相談費用や、損害賠償請求をする際の弁護士費用を負担してもらえる「弁護士特約」がついているものもあります。自身が加入している保険を今一度チェックしてみましょう。
また、交通事故病院の窓口や整骨院・接骨院でも慰謝料のことをご相談いただけます。いきなり弁護士に相談することにはためらいがある方や費用のことが心配な方、どのようなところに相談すればいいのかわからない方、まずは簡単に話だけ聞きたいという方など、フリーダイヤルまでお気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたか? 交通事故で負傷した場合、なにかとお金がかかるもの。かかった費用は損せずきちんと受け取れるように、基本をきちんと頭に入れておきたいものです。