追突事故を起こして保険を使うと、等級はどうなる？仕組みを解説

追突事故を起こした加害者は、被害者に対して損害賠償を支払うことになります。損害賠償は高額になる可能性があるため、加害者のほとんどが自動車保険を使うことが多いようです。

しかし、保険を使ってしまうと、「保険の等級が下がり、保険料が上がる」といわれています。そこで今回は、自動車保険の等級制度について解説していきます。

自動車保険の等級制度について

自動車保険の等級制度は、1～20等級に区分されており、等級に応じて保険料を割引・割増を行うためのものです。自動車保険に加入したばかりの場合、6等級からのスタートになります。

等級制度は、「事故を起こしたことがあるか」や「保険を使用したか」によって変動します。1～3等級になると保険料を割増し、4～20等級になると保険料が割引されます。保険料の割引については、数字が大きいほど割引率が大きく、数字が小さいほど割引率が小さくなります。

追突事故で保険を使うと等級はいくつ下がる？

追突事故や自損事故などで保険を使った場合、保険の等級が「3等級下がる場合」や「1等級だけ下がる場合」があります。また、保険を使っても等級が下がらない「ノーカウント事故」というのもあります。ここでは、この3つのケースに分けて解説していきます。

保険の等級が3等級下がる場合

自動車保険の等級が3等級下がってしまうのは、自動車保険のうち、以下の保険を使った場合です。

• 対人賠償保険
• 対物賠償保険
• 車両保険
• 自損事故保険
• 無保険車傷害保険　　　　　　など

ただし、自賠責保険の支払上限金額である120万円以内で示談成立した場合は、等級に変動はありません。

保険の等級が1等級だけ下がる場合

自動車保険の等級が1等級だけ下がってしまう事例は、以下のような場合です。

• 車が盗難され、車両保険が支払われた場合
• 台風や洪水によって車両保険が支払われた場合
• 車に落書きやいたずらなどをされてしまい、車両保険が支払われた場合

上記のように、保険の等級が1等級だけ下がる場合は、基本的に「車両保険のみが支払われたとき」や「台風や洪水などの災害が原因で保険を使ったとき」になります。

ノーカウント事故

ノーカウント事故の場合、保険の等級が下がらないため、翌年度の等級は1等級上がることになります。そのため、ノーカウント事故の場合は、保険料が割引かれることになるのです。

ノーカウント事故に該当するのは、以下のような場合です。

• 無事故だった場合
• 人身傷害保険金や搭乗者傷害保険金のみが支払われた場合
• 弁護士特約のみを使った場合
• バイク事故でファミリーバイク特約（※1）を使った場合

※1　ファミリーバイク特約とは？
被保険者とその家族が、原付自転車（125cc以下の二輪車、50cc以下の三輪以上の車）を運転し、事故を起こしてしまった場合に使う特約。事故によって生じた損害賠償や自身が負った怪我などの保険金が支払われる。

保険の等級による保険料の割引率

自動車保険の等級制度では、等級によって保険料が割増されたり、割引されたりします。それに加え、「事故を起こした人」と「事故を起こしていない人」では、割引率が異なります。

保険料の割引率は、各保険会社によって多少の違いはありますが、以下のようになっています。

※事故有の割引率は、3等級下がった場合は3年間、1等級下がった場合は1年間適用されます。

割引率をもとに保険料を計算すると？

先程ご紹介した割引率をもとに、保険料を計算してみましょう。今回は、保険料を30,000円と仮定します。

• 事故無しで12等級だった場合
  30,000円×（1-0.48）＝15,600円
• 事故有りで12等級だった場合
  30,000円×（1-0.27）＝21,900円

上記のように、事故有りだった場合は、事故無しのときよりも保険料が高くなっていることがわかります。そのため、事故を起こしたとき、保険を使うべきかの判断がとても大切です。

自動車保険の等級制度についてのまとめ

いかがでしたか。追突事故を起こした場合、保険の等級が下がる可能性があります。保険の等級が下がると、保険料の割引率が低くなったり、場合によっては、保険料が割増されることもあります。そのため、保険を使うべきかという見極めを慎重に行いましょう。