ある日テレビを観ていると、交通事故に関するニュースが流れてきた。
事故を起こした車の運転者は交差点の信号が赤になったため、ブレーキを踏もうと思った。しかし、ブレーキと間違えて、アクセルを踏んでしまった。その事故を起こした車を運転していたのは、高齢者だった。
このように近年、高齢化社会が進む日本では、高齢者の運転操作ミスによる交通事故が増加している。その対策として、運転免許証の自主返納を呼びかけているといった内容だった。
交通事故には起こる原因があるものです。その原因がわかれば、交通事故を防ぐために、何を気をつけるべきかが見えてくるでしょう。そこで今回の記事では、
- 交通事故の現状
- 交通事故の要因分析
- 交通事故を防ぐにはどうする?
- もし交通事故にあってしまったら
について説明していきます。
交通事故の現状
内閣府によれば、平成27年度における交通事故の現状は、以下の通り。
事故発生件数 | 536,899件 |
---|---|
死傷者数 | 670,140人 |
うち負傷者数 | 666,023人 |
うち死者数(24時間) | 4,117人 |
うち死者数(30日以内) | 4,859人 |
交通事故発生件数及び負傷者数は11年連続で減少したが,死者数はピーク時(昭和45年:1万6,765人)の4分の1以下となったものの15年ぶりに増加した。
交通事故の発生件数や負傷者数は減少傾向であるが、まだまだ多いのが現状です。では、交通事故が起こる要因には何があるのでしょうか。
交通事故が起こる要因とは?
交通事故は、以下の3つの要因から引き起こされるものです。
- 人的要因
- 車両要因
- 環境要因
それぞれ詳しくみていきましょう。
人的要因
交通事故における人的要因とは、運転者の行動や交通ルールを守る意識などのことです。また、人的要因は交通事故が引き起こされる主体要因でもあります。
交通事故の人的要因には、以下のようなものがあります。
- 脇見をした
- 寝不足だった
- 運転に慣れていない初心者だった
- 飲酒をして運転した
- 考え事をしながら運転した など
車両要因
交通事故における車両要因とは、車両の特性のことです。
交通事故における車両要因には、以下のようなものがあります。
- 車両の整備不良
- 後方の視界が悪い構造の車両だった
- 車両の製造ミス など
環境要因
交通事故における環境要因とは、天候や道路状況などのことです。
交通事故における環境要因には、以下のようなものがあります。
- 道路に街灯がないため、辺りが暗く視界が悪い
- 大雨が降っていた
- 道路が渋滞していた
- 路面が凍結していた
- 信号のない交差点だった など
交通事故の要因分析
今回は、交通事故が起きる主体要因である「人的要因」で、どんな要因が多いのか分析していきます。(警察庁交通局の平成27年における交通事故の発生状況を参考)
人的要因における事故発生件数
人的要因の内容 | 発生件数 |
---|---|
安全不確認 | 155,446件 |
脇見運転 | 85,601件 |
動静不注視 | 59,044件 |
漫然運転 | 42,103件 |
運転操作不適 | 33,845件 |
安全不確認
一時停止や徐行をしたが、十分な安全確認をしなかったため、相手車両を見落としたり、発見が遅れたりして起こった事故のことです。
脇見運転
他のことに気を取られた状態で車両を運転したために起こった事故のことです。
動静不注視
相手車両の存在をあらかじめ認識をしていたが、事故に結びつく具体的な危険性がないと判断して、相手車両の動静の注視を怠ったために起こった事故のことです。
漫然運転
ぼんやり考え事をしながら運転したため、起こった事故のことです。
運転操作不適
「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」といった運転操作ミスによって、起こった事故のことです。
上記のことから、交通事故が起こる人的要因の中では、安全不確認が最も多いことが見て取れます。
そのほか、脇見運転・動静不注視・漫然運転に関しても、安全不確認と言葉そのものは違いますが、結局のところ運転手の注意力が足りなかったことが原因だといえるでしょう。
交通事故を防ぐにはどうする?
交通事故の要因分析をした結果、運転手の注意力が足りなかったことが大きな原因であることがわかりました。
このことから、交通事故を防ぐために大事なことは、他者のあらゆる行動を予測し、周囲に対する注意を怠らないことだといえます。
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もし交通事故にあってしまったら
もし交通事故にあってしまった場合、以下のような対応を行いましょう。
- 警察へ連絡
- 連絡先を交換
- 保険会社へ連絡
- 病院を受診
警察へ連絡
交通事故にあった場合、まずは警察に連絡しましょう。警察に連絡する理由は、以下の2点です。
- ①道路交通法で定められている義務であるから
- ②交通事故証明書を発行してもらうため
①道路交通法で定められている義務であるから
警察への連絡は、道路交通法の第72条に定められた義務です。もし警察へ連絡することを怠ってしまった場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金の処分を受けることになります。したがって、交通事故にあったら、必ず警察へ連絡するようにしましょう。
②交通事故証明書を発行してもらうため
交通事故証明書は、損害賠償(※1)の請求や後遺障害等級認定を申請する際に必要になります。また、交通事故証明書は、自動車安全センターの窓口やホームページ、ゆうちょ銀行・郵便局で申請し、入手することができます。
※1 損害賠償とは、交通事故で損害を受けた被害者に対して、加害者がその損害を金銭で補填することです。
連絡先を交換
交通事故にあった場合、示談成立まで加害者の保険会社とやり取りをすることになります。そのため、被害者と加害者は連絡先を交換しなくてはなりません。
連絡先交換で確認すべき項目は、以下の通り。
- 名前
- 住所
- 電話番号
- 加入している保険会社
- 車の所有者 など
保険会社へ連絡
交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償の支払いは、基本的に加害者側の保険会社が行います。また、被害者自身の保険会社を使わなければならない場合もあります。そのため、交通事故が起きたら、加害者、被害者ともに保険会社へ連絡をしてくださいね。
病院を受診
交通事故により怪我をした場合、まずは病院(整形外科)を受診してください。損害賠償を請求する場合、医師が書いた診断書が必要になります。
診断書を取得できる通院先は、病院(整形外科)のみになりますが、通院先の選択肢には整骨院・鍼灸院も通うことができます。病院(整形外科)・整骨院・鍼灸院であれば、保険が適用されるので、自身にあった通院先を選ぶようにしましょう。
交通事故の要因分析についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故の要因分析を行った結果、交通事故の人的要因の中で安全不確認が最も多いことがわかりました。
そのほかにも、脇見運転・動静不注視・漫然運転も事故が起こる要因となっています。安全不確認を含め、共通していえることは、運転者の注意力が足りないということです。
したがって、車を運転する場合は周りに注意を向け、安全運転を心がけましょう。