交通事故治療マガジン

交通事故で損をしないための7つのステップとは?

交通事故に巻き込まれ被害者になってしまったとき、あるいは自分の不注意で事故を起こしてしまったとき、一体どのように行動すればいいのでしょうか。

交通事故の当事者が事故後に取るべきや行動や、示談までの流れについてまとめました。

交通事故発生!やらなくてはいけないことは?

ここでは、交通事故にあってしまった場合に、一体何をすればいいのかを「被害者」「加害者」「第三者」別にお伝えしていきます。

交通事故の被害者の場合

①警察へ連絡する
被害者が大きな怪我を負ってしまっている場合は、警察への連絡が困難な可能性があります。そのような場合は、加害者に連絡してもらうとよいでしょう。

②加害者の情報を確認
├加害者の氏名・住所・連絡先(いつでも連絡を取れる状態にしておく)
├加害車両の登録番号・所有者 (事故を起こした加害者と、その車の所有者が違う場合がある)
├加害車両の保険内容等(治療費を加害者側の保険で立て替える際に、連絡先がわかる方が手続きが楽)

③自分の保険会社に連絡する
自分が加入している保険の補償や特約を確認しておきましょう。怪我の治療をする際に、自分の保険を使うことがあるためです。

▶︎参考:交通事故にあったときに被害者が注意することとは?

交通事故の加害者の場合

①負傷者の救護
自分が起こした交通事故が原因で負傷者が発生した場合は、まず「負傷者の救護」を第一に行う必要があります。被害者が大きい怪我を負っている場合は救急車を呼び、自分ができる限りの応急処置を行いましょう。

②事故の続発防止措置
車が道路をふさいでいるのであれば、路肩へ移動し、被害が広がるのを防ぎましょう。

③警察への通報
交通事故後に警察へ連絡することは、「道路交通法72条」で義務づけられています。どんなに小さな事故であっても、交通事故が発生したら警察へ連絡しましょう。

④自分の加入している保険会社へ連絡する
交通事故の加害者は、被害者に対して治療費や慰謝料などの「損害賠償」を支払わなければいけません。損害賠償の支払いは、基本的に自分が加入している保険会社から行われます。そのため、交通事故後は保険会社への連絡も忘れないようにしましょう。

▶︎参考:加害者の手続きをさらに詳しくチェック!
▶︎参考:加害者の過失割合について

交通事故の現場に居合わせてしまった第三者の場合

①負傷者の救護
交通事故によって負傷する人は、被害者だけとは限りません。被害者、加害者ともに重傷な怪我を負ってしまっている場合は、目撃者である第三者が「負傷者の救護」を行わなければいけない場合もあります。

②警察への通報
①と同様に、交通事故の当事者が負傷してしまっている場合は、第三者が警察への連絡を行いましょう。

▶︎参考:歩行者全てが被害者じゃない?「当たり屋」による交通事故の巧妙手口とは?

警察へ連絡

運転者は、交通事故が起きた場合、警察へ連絡することは義務になります。連絡を怠ることは違法で、処罰の対象になります。
万が一警察へ連絡をしなければ、法律違反だけではなく、実況見分(※1じっきょうけんぶん)が行われないため、のちに保険会社へ提出する「交通事故証明書」の交付が受けられません。

(※1)実況見分とは…?
警察が、「どのような原因で交通事故が発生し、どのようになったのかを記録するものです。
事故発生直後に、事故当事者の立ち合いの元行われるのが原則となります。事故が起きたときに加害者、被害者、目撃者等の位置関係や状況などを明確にすることが目的です。

▶︎参考:警察が到着後にやってくれること4つ

物損事故から人身事故へ切り替えた方がいい?

もしもあなたが、「交通事故によって怪我を負ってしまった」と感じているのであれば、痛みを我慢して物損事故のままでいる必要はありません。また、通院するための治療費は、人身事故でなければ補償されません。よって、警察へ行き、物損事故から人身事故へ切り替えることをおすすめします。

物損事故から人身事故へ切り替える方法は、以下の通りです。

診断書は、医師がいる病院で取得することができます。交通事故による怪我の症状や病名、治療期間の見通しや病院名などが記載されています。

診断書を警察へ提出することで、人身事故への切り替えを行うことができます。人身事故への切り替え手続きに法的な期限はありませんが、交通事故と怪我との因果関係を明確にするためには、事故後10日以内を目安に手続きを行うとよいでしょう。

保険会社への連絡も忘れずに

交通事故が起きたら、加害者、被害者ともに保険会社への連絡を忘れないようにしましょう。

被害者は、交通事故後に発生する様々な手続きを、基本的に加害者側の保険会社と行います。また、治療費や慰謝料の請求先も、加害者本人ではなく保険会社というのが一般的です。加害者の情報を確認する際は相手の保険会社を聞き、連絡を取れる状態にしておきましょう。

また、場合によっては被害者が自身の保険を使って治療費の支払いを受けることもあるため、被害者の保険会社へ連絡することも忘れないようにしましょう。

▶︎参考:交通事故の被害者が、納得のいく損害賠償を獲得する方法とは?

交通事故後の治療の流れ

交通事故が起き、物損事故で処理したのにも関わらず「遅れて痛みがでてくる」ということは珍しくありません。交通事故後すぐは興奮状態にあるために、痛みに気がつきにくいためです。物損事故のままの方も、痛くなくても診断を受け記録を残しておくことは、人身事故に切り替えた時にも有利です。一度は医療機関で診断を受けるようにしましょう。

▶︎参考:追突事故で軽いむちうちに 通院はした方がいいの?

▶︎参考:交通事故の検査は何をする?

交通事故の怪我の通院先

交通事故においての代表的な怪我で、「むちうち症」があります。前述の通り、このむちうち症は頚椎(首の骨)の損傷によって痛みが生じる怪我で、痛みが遅れてでてくる場合があります。通院先は、主に以下ふたつになります。

▶︎参考:交通事故による怪我の種類について

整形外科と整骨院の違いを詳しく知りたいなら!

▶︎参考:診断書が必要な理由は?
▶︎あわせて読みたい:診断書を取得する方法

整形外科で治療をしているけれど、湿布の処方や投薬ばかりで、あまり症状が改善されないと悩んでいる方が、整骨院へ通院することもあります。
ご自身の症状とマッチする場所を選ぶようにしてください。

治療費の支払い方法

交通事故の被害者になった場合には、もちろん、治療費を加害者側の保険会社に請求することができます。
治療費は、主に3つの支払い方法があります。

ここでは、「②保険会社が一括で支払い」する方法について述べます。

保険会社に一括で支払いしてもらう方法
①病院の窓口で「交通事故にあったので、保険会社に一括で支払ってもらいたい」旨を伝えます。
②相手(加害者)の保険会社を伝えて、窓口の方にやりとりをしてもらいます。
③加害者側の保険会社から了承が取れれば、窓口で立て替える必要はありません。

▶︎参考:交通事故で健康保険を使う場合はどうなる?

むちうちの場合の治療期間

むちうち症になってしまった時の治療期間は、一般的に1〜3ヶ月と言われています。
ケースバイケースですので、一概にいつまでに治る、と言い切れません。保険会社に治療費を請求できる期間は、症状が「完治」するか「症状固定」までで、大まかな目安が1ヶ月〜3ヶ月、長くても6ヶ月〜1年だと考えるようにしましょう。

保険会社に治療費を請求できるのは、示談(※2じだん)が成立してからになります。
(※2)示談とは…
交通事故において、加害者と被害者が話し合いをして、双方が納得し和解することをいいます。

弁護士が監修!示談交渉と休業損害の方法

▶︎参考:治療をしても痛みが引かないときの対処法

示談交渉の流れ


示談交渉は被害者と、加害者側の保険会社で行うものです。
もし被害者なのであれば、自分が加入している保険の特約によって、示談代行サービス示談を行ってくれる場合もあるそうですが、基本的には被害者本人と、加害者側の保険会社との示談となります。

示談交渉

弁護士が監修!示談交渉と休業損害の方法

(※4)症状固定とは…
交通事故の被害者が懸命に治療・通院しているにも関わらず、医師が「これ以上治療を続けても、症状はよくならない」と判断すること。
症状固定となった場合には、「後遺症」になるので、後遺障害認定(※5)を申請することができます。後遺障害認定については、おって記述します。
また、⑤で示談が成立しない場合は、示談が成立するまで裁判となります。

慰謝料の計算方法

慰謝料の算出方法の基準は主に3つあります。

①自賠責基準
自賠責保険とは、車を運転する誰もが入らなければならない強制保険のことをいいます。
自賠責保険は、人身事故のみ適用でき、物損事故の場合は適用されません。
交通事故においての損害賠償は、治療費を含めて1日4200円と決められており、限度額は120万円となります。

②任意保険基準
運転者が任意で入る自動車保険のことをいいます。物損事故の損害賠償にも対応できます。
自賠責保険で補えなかった損害を賠償することができます。
こちらは任意での加入ですので、万が一事故の加害者がこの任意保険に加入していない場合には、被害者は加害者へ直接損害賠償を請求しなければなりません。

③弁護士基準
自賠責保険と任意保険の基準以外にも、弁護士基準というものがあります。

交通事故後の後遺障害等級認定の流れ

症状固定となった被害者が、今後もその怪我の症状と付き合って行かなければならない状態を後遺症と呼び、後遺症と認定されるための手続きをいいます。
これに対する治療費や精神的苦痛の損害賠償を後遺症の等級によって請求できます。
交通事故によってむちうち症になった場合には、12〜14等級が認められることが多いようです。

後遺障害認定のフロー

①後遺障害診断書の作成(症状固定後)
②必要書類の収集
③自賠責調査事務所による審査
④受理

▶︎参考:後遺障害等級認定を受けるときのポイント!

示談が不成立だったら?


交通事故の示談は、全てがスムーズに進むとは限りません。示談が順調に進まない場合、最終的に裁判をすることによって解決されます。

損害賠償の問題について起こす裁判は「民事裁判」です。民事裁判の手続き方法や流れについて詳しくは、以下のリンクをご覧ください。

▶︎参考:民事裁判の流れや必要な費用などについて、詳しく知りたい方はこちら。

交通事故後の流れまとめ

いかがでしたか?
交通事故は、起こした側も巻き込まれた側も、警察に連絡をして終わりではありません。
加害者は、自分の加入している保険会社に直ちに連絡をし、経過を見守らなければけません。被害者は、加害者側の保険会社に任せきりにせず、物損事故のままなら、診断書を持って警察へいき、人身事故の処理の手続きを行わなければ、示談は成立しません。

交通事故にあわないことがいちばんですが、万が一巻き込まれた・起こしてしまった時は、たくさんの手続きがあることを思い出してくださいね。