交通事故で免許の点数が減点…免許停止や取消になる条件とは?
交通事故には、「人身事故」と「物損事故」があります。交通事故によって死傷者が発生した場合は人身事故として処理され、自動車や公共物などのモノのみが破損した場合は、物損事故として扱われます。
人身事故が起きた場合、車の免許が停止になったり取り消されることがありますが、どのような基準で決められているのでしょうか。また、免許の点数に関して「どれくらい減点されてしまうんだろう…」「いくら減点されたら、免許取消になってしまうの?」「そもそも減点じゃなくて、加算?」と不安や疑問を抱える方も多いかと思います。
そこで今回は、
- 交通事故では免許の点数がどれくらい減点される?
- 免許の点数制度はそもそも減点ではなく加算?
- 交通事故の加害者が負う法的責任
- 免許停止・免許取消と違反点数の関係性
などについて、詳しく解説していきます。
もくじ
交通事故を起こしたら免許の点数は減点される?
一般的に、免許には元々「持ち点」というものがあり、交通事故や交通違反によって「減点」される、と考えられているようです。
しかし、車やバイクの免許に「持ち点」というものは存在しません。したがって、減点されるということもありません。交通事故や交通違反による免許の点数制度は、「減点方式」ではなく「加算方式」なのです。
自動車免許の点数制度は減点ではなく加算!
前述したように、交通事故や交通違反による点数制度は、減点方式ではなく「加算方式」です。
交通事故や交通違反を起こすと、程度に応じて違反点数が加算されます。そして、違反点数が一定に達すると、免許停止や免許取消のペナルティが課せられるのです。
交通事故の加害者が負う3つの法的責任
交通事故の加害者は、免許停止や取り消しの他にも、様々な法的責任を負わなければいけません。
交通事故の加害者が負う法的責任は、以下の3つ。
- 刑事責任
- 民事責任
- 行政責任
それぞれの内容を見ていきましょう。
「刑事責任」は罰金・刑罰
刑事責任は、交通事故によって相手を死傷させてしまった場合に、加害者に科せられる刑罰のことをいいます。最終的には刑事裁判が行われ、加害者に判決が下ることで量刑が決定します。
▶︎参考:刑事責任で加害者に科せられる刑罰とは?詳しく知りたい方はこちら!
「民事責任」は損害賠償
交通事故の加害者が負う民事責任とは、いわゆる「損害賠償」のことです。損害賠償とは、交通事故の被害者が負った様々な損害の埋め合わせを、加害者が行うことです。
加害者が被害者に対して支払う損害賠償は、以下の3つ。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
損害賠償についての詳しい内容は、以下のリンクをご覧ください。
▶︎参考:交通事故の被害者に支払われる損害賠償の内訳は?
「行政責任」は点数に応じてペナルティ
先ほどから述べていた免許停止や免許取消のペナルティは、行政責任に分類されます。
交通事故や交通違反によって溜まっていった違反点数が、一定数に達した場合、運転者は「行政責任」を負わなければいけません。
免許停止・免許取消ってどんなもの?
行政責任によるペナルティには「免許停止」と「免許取消」がありますが、具体的にどのようなものなのでしょうか。
一つひとつ詳しく見ていきましょう。
免許停止
交通事故の行政責任による免許停止は、「一時的に免許の効力を停止させられる処分」のことをいいます。一般的には、「免停」と呼ばれているものです。一時的な処分であるため、免許停止の期間が経過すれば、再び免許の効力を取り戻すことができます。
免許取消
免許取消は、「免許を取り上げられる処分」のことをいいます。ただ取り上げられるだけではなく、一定期間免許を取得することができない「欠格期間」という制限もついてきます。欠格期間になると、もう一度教習所に通い、初めから免許を取り直さなければいけません。
交通事故による違反点数の数え方
ここでは、交通事故による違反点数の数え方について、解説していきます。
人身事故が起きると、安全運転義務違反として違反点数が2点加算されます。この2点を基礎点数とし、交通事故の状況に応じて2~20までの点数が加算されていきます。
死亡事故の場合
事故の状況 | 加点数 | ペナルティ |
---|---|---|
運転者の一方的な不注意 | 20点 | 免許取消 |
被害者にも過失あり | 13点 | 免許停止90日~ |
重症事故の場合
事故の状況 | 加点数 | ペナルティ |
---|---|---|
運転者の一方的な不注意。 負傷者の治療期間が3ヶ月以上で後遺障害あり。 |
13点 | 免許停止90日~ |
被害者の治療期間が3ヶ月以上で後遺障害があるが、 被害者にも過失あり。 |
9点 | 免許停止60日~ |
運転者の一方的な不注意。 負傷者の治療期間が30日以上3か月未満。 |
9点 | 免許停止60日~ |
被害者の治療期間が30日以上3ヶ月未満で、 被害者にも過失あり。 |
6点 | 免許停止30日~ |
軽傷事故の場合
事故の状況 | 加点数 | ペナルティ |
---|---|---|
運転者の一方的な不注意。 負傷者の治療期間が15日以上30日未満。 |
6点 | 免許停止30日~ |
被害者にも過失あり。 負傷者の治療期間が15日以上30日未満。 |
4点 | なし |
違反点数が計算される期間は?
免許停止や免許取消のペナルティは、事故発生日から過去3年間の違反点数が一定数に達した場合に、運転者に対して課せられます。
ただし、以下の場合に限って、以前の交通違反や交通事故の点数は加算されません。
- 免許を受けている者が過去1年以上の間、無事故、無違反で過ごしたとき。
- 運転免許の取消しや停止処分を受けて、無事故、無違反で取消し期間、又は停止期間を過ごしたとき。
- 免許を受けている者が軽微な違反行為(3点以下の交通違反)をし、過去2年間に違反行為をしたことがなく、かつ、当該軽微な違反行為をした後、3か月間に違反行為をしたことがないとき。(運転可能期間に限る)
- 軽微な交通違反(1点、2点又は3点)を繰り返し、累積点数が6点(交通事故の場合は1回で6点を含む)になり、違反者講習を受講したとき。
安全運転を心がけましょう
交通事故や交通違反を起こしてしまったら、運転者の免許に違反点数が加算され、場合によってはペナルティを負わなければいけなくなります。ペナルティの他にも、被害者に対して損害賠償を支払わなければいけなくなったり、刑罰を下されることもあります。交通事故や交通違反を起こした運転者にとって、利益はないに等しいといえます。日頃から安全運転を心がけるようにしましょう。