交通事故で実刑判決…懲役はどれくらい?執行猶予がつく条件とは

2018年11月09日

交通事故は、予期せぬ時に突然起こるものです。交通事故の内容によっては、加害者が逮捕されてしまうこともありますし、懲役刑を言い渡され、刑務所へ入らなければいけなくなるかもしれません。

そこで今回は、加害者が負う可能性のある懲役刑、執行猶予などについて詳しく解説していきます。

交通事故の加害者が負う責任

交通事故の加害者になってしまったら、様々な法的責任を負わなければいけません。

交通事故の加害者が負う法的責任は、大きく分けて3つ。

  • 民事責任
  • 行政上の責任
  • 刑事責任

それぞれの責任について、詳しく見ていきましょう。

民事責任

交通事故の加害者が負う民事責任とは、「損害賠償」のことをいいます。
損害賠償とは、交通事故によって様々な損害を受けた被害者に対して、加害者がその損害の埋め合わせをすることです。

損害賠償について、詳しくは以下のリンクをご覧ください。
▶︎参考:損害賠償の計算方法や支払われるまでの流れについて、詳しく知りたい方はこちら!

行政上の責任

行政上の責任では、交通事故や交通違反の程度に応じてペナルティが課せられ、行政処分を受けなければいけません。

過去3年間の交通事故や交通違反などに対して点数を加算していき、違反点数が一定の基準に達した場合、行政処分が行われます。
具体的には、反則金を支払わなければいけなくなったり、運転免許が停止または取り消しになることもあります。

刑事責任

刑事責任とは、交通事故によって人を死傷させてしまった加害者に対して、懲役禁固罰金といった刑罰を科せられることです。

交通事故の刑罰と懲役


ここでは、交通事故の加害者が負う「刑事責任」について、詳しく解説していきます。

交通事故は、車や公共物などのモノのみが破損する「物損事故」と、交通事故によって死傷者が発生する「人身事故」に分けることができます。

人身事故では最悪の場合、被害者を死に至らせてしまうこともあります。被害者が死亡していないとしても、人の生命や身体に対して、損害を加えたということに変わりはありません。

したがって、物損事故に比べて人身事故の方が、加害者に対して重い刑事罰が科せられることになります。

人身事故で加害者に科せられる刑事罰は、大きく分けて2つ。

  • 過失運転致死傷罪
  • 危険運転致死傷罪

それぞれの内容を、詳しく見ていきましょう。

過失運転致死傷罪

過失運転致死傷罪は、交通事故によって被害者に怪我を負わせたり、死亡させてしまった場合に、科せられる可能性がある犯罪です。
被害者が怪我を負い、死に至らなかった場合は「過失運転傷害罪」、被害者が死亡してしまった場合は「過失運転致死罪」が科せられます。

「過失」とは、「不注意による過ち」のことをいいます。したがって、加害者の故意ではなく、不注意によって被害者を死傷させてしまった場合でも、過失運転致死傷罪を科せられる可能性があります。

過失運転致死傷罪の場合、7年以下の懲役もしくは禁固か、または100万円以下の罰金が科せられることになります。

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、正常な運転が困難になるほどの薬物使用運転飲酒運転、進行を制御することが困難な速度超過の運転などの場合に適用されます。

危険運転傷害罪の場合は、1ヶ月以上15年以下の懲役、危険運転致死罪の場合は1年以上20年以下の懲役が科せられます。

交通事故で執行猶予はつく?

交通事故で、執行猶予がつくことはあるのでしょうか。「そもそも、執行猶予って何?」と疑問に思う方もいるかと思います。

ここでは、執行猶予について詳しく解説していきます。

執行猶予とは

執行猶予とは、裁判所が下した有罪判決の執行を、一定期間だけ猶予することです。
執行猶予付きの判決を受けると、刑務所へただちに収監されることはなく、自宅へ戻り通常の生活を送ることができます。また、執行猶予期間を問題なく過ごすことができた場合は、裁判所から言い渡された刑は無効となり、刑務所へ行く必要はなくなります。

裁判で執行猶予がつく条件

裁判で執行猶予がつくには、2つの条件を満たしている必要があります。

  • ①初犯であること
  • ②3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金刑であること

「初犯であること」というのは、「前科がない」ということです。ただし、前科がある場合でも、以前の罪が交通事故の罪とは関連性が低い場合は、初犯扱いとなり、執行猶予がとれる可能性もあります。

執行猶予は取り消されることもある

執行猶予期間内に新たな犯罪を犯してしまうと、執行猶予が取り消されることがあります。

執行猶予の判決を受けた後に新たな犯罪を犯し、執行猶予が取り消された場合、猶予されていた刑罰と、新たな犯罪による刑罰の両方を科せられることになります。

交通事故による懲役についてまとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、

  • 交通事故の加害者が負う責任
  • 交通事故の実刑と懲役
  • 交通事故で執行猶予がつく条件

などについて、詳しく解説しました。
交通事故を避けるためには、常に安全運転を心がけましょう。