交通事故の行政処分について。加算される点数について教えて!

2018年11月09日

高速道路を走行中、右側の車線に入るために車線変更をしようとしたら、車とぶつかった。
交通事故の衝撃で、被害者は打撲をしたため、人身事故で処理されることになった。

「人身事故では、行政処分で点数が加算されるのかな。」

このような疑問はありませんか。今回の記事では、

  • 交通事故で行政処分を受けるのかについて
  • 交通事故の行政処分で加算される点数について
  • 交通事故の行政処分の免停や免許取り消しについて

を説明していきます。

交通事故における行政処分とは?

交通事故の加害者が受ける行政処分とは何なのでしょうか。交通事故の行政処分とは、道路交通法に基づいて違反点数を加算し、免停や免許取消といった処分を行います。この処分を行うのは、警察と公安委員会です。

行政処分は人身事故のみ!

交通事故で行政処分を受けるのは、基本的に人身事故のみとなっています。物損事故の場合、行政処分を受けないため、違反点数は加算されません。しかし、飲酒運転や無免許運転などで物損事故を起こした場合、交通違反を犯しているため違反点数が加算されます。

加害者は行政処分以外に受ける処分が他にもある

交通事故を起こした加害者は、行政処分以外にも民事処分や刑事処分を受けることになります。

それぞれの処分内容については、以下の通り。

  • 民事処分:交通事故の被害者が受けた損害を金銭で賠償すること
  • 刑事処分:交通事故で犯した罪に対して刑罰を科すこと

▶︎参考:交通事故の刑事処分について、詳しく知りたい方はコチラ!
▶︎参考:交通事故の損害賠償には何がある?詳しく知りたい方はコチラ!

交通事故の行政処分で加算される点数について

「免許の点数にはもともと持ち点があり、交通事故や交通違反を起こすことで減点されていく」というのが、一般的なイメージではないかと思います。しかし、免許の点数は減点方式ではなく「加点方式」となっています。交通事故や交通違反を起こすと、違反の内容に応じて違反点数が加算されます。そして、違反点数が一定に達した場合に、運転者に対してペナルティが課せられるのです。

交通事故の行政処分で加算される点数は、大きく分けて3つあります。

  • 基礎点数
  • 被害者の怪我の程度で付加される点数
  • 措置義務違反点数

それぞれについて、以下で詳しく説明していきます。

基礎点数

違反行為の種別 点数 酒気帯び点数
0.25未満 0.25以上
酒酔い運転 35
麻薬等運転 35
共同危険行為等禁止違反 25
無免許運転 25 25 25
大型自動車等無資格運転 12 19 25
仮免許運転違反 12 19 25
酒気帯び運転 0.25以上 25
0.25未満 13
過労運転等 25
無車検運行 6 16 25
無保険運行 6 16 25
速度超過 50以上 12 19 25
30(高速40)以上50未満 6 16 25
25以上30(高速40)未満 3 15 25
20以上25未満 2 14 25
20未満 1 14 25
積載物重量制限超過 大型等10割以上 6 16 25
大型等5割以上10割未満 3 15 25
普通等10割以上 3 15 25
大型等5割未満 2 14 25
普通等5割以上10割未満 2 14 25
普通等5割未満 1 14 25
放置駐車違反 駐停車禁止場所等 3
駐車禁止場所等 2
保管場所法違反 道路使用 3
長時間駐車 2
警察官現場指示違反 2 14 25
警察官通行禁止制限違反 2 14 25
信号無視 赤色等 2 14 25
点滅 2 14 25
通行禁止違反 2 14 25
歩行者用道路徐行違反 2 14 25
通行区分違反 2 14 25
歩行者側方安全間隔不保持等 2 14 25
急ブレーキ禁止違反 2 14 25
法定横断等禁止違反 2 14 25
追越し違反 2 14 25
路面電車後方不停止 2 14 25
踏切不停止等 2 14 25
しゃ断踏切立入り 2 14 25
優先道路通行車妨害等 2 14 25
交差点安全進行義務違反 2 14 25
横断歩行者等妨害等 2 14 25
徐行場所違反 2 14 25
指定場所一時不停止等 2 14 25
駐停車違反 駐停車禁止場所等 2 14 25
駐車禁止場所等 1 14 25
整備不良 制動装置等 2 14 25
尾灯等 1 14 25
安全運転義務違反 2 14 25
幼児等通行妨害 2 14 25
安全地帯徐行違反 2 14 25
騒音運転等 2 14 25
携帯電話使用等(交通の危険) 2 14 25
携帯電話使用等(保持) 1 14 25
消音器不備 2 14 25
高速自動車国道等措置命令違反 2 14 25
本線車道横断等禁止違反 2 14 25
高速自動車国道等運転者遵守事項違反 2 14 25
高速自動車国道等車間距離不保持 2 14 25
車間距離不保持 1 14 25
免許条件違反 2 14 25
番号標表示義務違反 2 14 25
混雑緩和措置命令違反 1 14 25
通行許可条件違反 1 14 25
通行帯違反 1 14 25
路線バス等優先通行帯違反 1 14 25
軌道敷内違反 1 14 25
道路外出右左折方法違反 1 14 25
道路外出右左折合図車妨害 1 14 25
指定横断等禁止違反 1 14 25
進路変更禁止違反 1 14 25
追い付かれた車両の義務違反 1 14 25
乗合自動車発進妨害 1 14 25
割込み等 1 14 25
交差点右左折方法違反 1 14 25
交差点右左折等合図車妨害 1 14 25
指定通行区分違反 1 14 25
交差点優先車妨害 1 14 25
緊急車妨害等 1 14 25
交差点等進入禁止違反 1 14 25
無灯火 1 14 25
減光等義務違反 1 14 25
合図不履行 1 14 25
合図制限違反 1 14 25
警音器吹鳴義務違反 1 14 25
乗車積載方法違反 1 14 25
定員外乗車 1 14 25
積載物大きさ制限超過 1 14 25
積載方法制限超過 1 14 25
制限外許可条件違反 1 14 25
牽引違反 1 14 25
原付牽引違反 1 14 25
転落等防止措置義務違反 1 14 25
転落積載物等危険防止措置義務違反 1 14 25
安全不確認ドア開放等 1 14 25
停止措置義務違反 1 14 25
初心運転者等保護義務違反 1 14 25
座席ベルト装着義務違反 1 14 25
幼児用補助装置使用義務違反 1 14 25
乗車用ヘルメット着用義務違反 1 14 25
大型自動二輪車等乗車方法違反 2 14 25
初心運転者標識表示義務違反 1 14 25
最低速度違反 1 14 25
本線車道通行車妨害 1 14 25
本線車道緊急車妨害 1 14 25
本線車道出入方法違反 1 14 25
牽引自動車本線車道通行帯違反 1 14 25
故障車両表示義務違反 1 14 25
仮免許練習標識表示義務違反 1 14 25

被害者の怪我の程度で付加される点数

被害者や建物の損害 交通事故の点数
死亡事故 責任が重い場合:20点
責任が軽い場合:13点
身体に後遺障害が残った場合 責任が重い場合:13点
責任が軽い場合:9点
全治3ヶ月以上 責任が重い場合:13点
責任が軽い場合:9点
全治30日以上~3ヶ月未満 責任が重い場合:9点
責任が軽い場合:6点
全治15日以上~30日未満 責任が重い場合:6点
責任が軽い場合:4点
全治15日未満 責任が重い場合:3点
責任が軽い場合:2点
物損事故 責任が重い場合:3点
責任が軽い場合:2点

措置義務違反点数

措置義務違反の種類 点数 欠格期間
救護措置義務違反(ひき逃げ) 35点 3年
物損事故の場合の危険防止等
措置義務違反(あて逃げ)
5点
酒酔い運転でひき逃げした場合 35点 10年
酒酔い運転だったがひき逃げをしなかった場合 3~7年
酒気帯び運転でひき逃げをした場合(0.25mg以上) 25点 8~10年
酒気帯び運転でひき逃げをした場合(0.15mg以上0.25mg未満) 13点 6~9年
過労運転等でひき逃げをした場合 25点 8~10年
麻薬等運転でひき逃げをした場合 35点 10年

基礎点数・被害者の怪我の程度で付加される点数・措置義務違反点数の中で、自分が犯した違反点数が加算されることになります。

交通事故の行政処分は免停や免許取り消しになることも

行政処分で加算された過去3年分の違反点数が一定基準に達したとき、免停や免許取り消しになります。また、免停や免許取り消しになる基準の点数は、前歴によって異なります。

交通事故における前歴とは、以前に違反や処分を受けていないかを確認するためのものです。前歴を確認することで違反の常習性を知ることができ、常習性のある場合は、「処分を重いものにすべき」という判断を下すことができます。

免停

一時的に免許の効力を停止するものです。その期間中に車を運転してしまうと、無免許扱いになってしまうので注意しましょう。免許停止の期間が終了すると免許の効力が戻るので、再び車を運転することができます。

前歴 免許停止の期間
30日 60日 90日 120日 150日 180日
0回 6~8点 9~11点 12~14点 免許取消
1回 4~5点 6~7点 8~9点 免許取消
2回 2点 3点 4点 免許取消
3回 2点 3点 免許取消

免許取り消し

免許を取り上げらてしまう処分です。免許取り消しには、欠格期間という制限期間があります。欠格期間とは、その期間中の免許取得ができないというものです。したがって、欠格期間が終了した後で、もう一度教習所に通い、免許を取り直さなければなりません。

前歴 免許取消しと欠格期間
1年 2年 3年
0回 15~24点 25~34点 35点以上
1回 10~19点 20~29点 30点以上
2回 5~14点 15~24点 25点以上
3回 4~9点 10~19点 20点以上

▶︎合わせて読みたい:交通事故の違反点数はリセットされるの?

交通事故の行政処分で免停や免許取り消しになるのはいつから?

交通事故の行政処分によって免許停止や免許取り消しになった場合、いつから開始されるのか疑問に思う方も多いと思います。免停や免許取消しの処分がいつからなのかというのは、「運転免許行政処分出頭通知書」または「意見の聴取」で通知されます。

運転免許行政処分出頭通知書

免停になった場合、「運転免許行政処分出頭通知書」というものが届きます。

運転免許行政処分出頭通知書には、場所と日時が記載されています。その通知に従って出頭すると、出頭した日から定められた期間中は。免停の処分を受けることになります。

意見の聴取

免許停止が90日以上または、免許取り消しの処分になった場合、「意見の聴取」というものを行います。

意見の聴取では、意見を主張したり、有利な証拠を提示できます。これは、処分が適切なものであるかを再確認するために行います。意見の聴取が終わり次第、免許停止や免許取り消しの処分が確定することになります。

免停や免許取消し処分のその後

免停や免許取消し処分のその後について、それぞれ分けて説明していきます。

免停は免停講習を受ければ、免停の期間を短縮できる?
免停になった場合、免停講習を受講することで免停の期間を短縮することができます。ただし、短縮される期間は、免停講習の最後にあるテストの成績によって異なります。以下の表にまとめました。

優:正答率85%以上 良:正答率70%以上 可:正答率50%以上
免停30日 29日 25日 20日
免停60日 30日 27日 24日
免停90日 45日 40日 35日
免停120日 60日 50日 40日
免停150日 70日 60日 50日
免停180日 80日 70日 60日

免許取り消しの欠格期間が終われば、すぐに免許を取り直すことができる?
免許取り消しの欠格期間が終わったとしても、すぐに免許を取り直すことはできません。欠格期間が終わった後、公安委員会が行っている「取り消し処分者講習」を受講しなければならないのです。取り消し処分者講習を受講し終えたら、受講終了の証明書を受け取ります。その証明書を受け取った翌日から、免許の試験を受け免許を取り直すことができるようになります。ただし、受講終了の証明書は有効期限が発行から1年と決められているので注意しましょう。

交通事故の行政処分まとめ

いかがでしたか。今回の記事をまとめると

  • 交通事故の行政処分とは、道路交通法に基づいて違反点数を加算し、免停や免許取り消し処分のこと。
  • 交通事故の行政処分は、基本的に人身事故のみが対象となる。
  • 交通事故の行政処分で加算される点数は、「基礎点数・被害者の怪我の程度で付加される点数・措置義務違反点数」の3つからなる。
  • 交通事故の行政処分を受け、免停や免許取り消しになった場合、「意見の聴取・運転免許行政処分出頭通知書」で処分開始の通知がされる。

交通事故の行政処分でわかないことがあれば、この記事を参考にしてくださいね。