交通事故を起こしてしまい、被害者が死亡してしまった場合、加害者はどうなるのでしょうか。死亡事故ということで重い処分を受けたり、刑務所に入ることになるのではないかと、不安に駆られてしまうと思います。
そこで今回は、死亡事故の加害者がすべきことや受ける処分などについて解説していきます。
死亡事故の発生件数とその特徴
平成29年度における交通事故の発生件数は、47万2,165件であると警察庁が発表しています。そのうち、死亡事故の件数は3,630件で、死者数は3,694人です。そして、交通事故の発生件数と死亡事故の件数、死者数の全てにおいて、前年よりも減少しています。
死亡事故の特徴としては、以下の通り。
- 状態別でみた死亡事故:歩行中や自動車乗車中に多い
- 類型別でみた死亡事故:正面衝突や道路横断中に多い
このように、死亡事故は減少傾向にありますが、未だなくならないのが現実です。
死亡事故の加害者がすべきこと
死亡事故を起こしてしまった場合、パニックになってしまうかもしれません。しかし、落ち着いて、以下の対応を行うようにしてください。
- 被害者を救護する
- 道路上の危険を防止する
- 警察に連絡をする
- 実況見分や事情聴取を受ける
- 自分が加入している保険会社に連絡する
- 被害者の遺族に謝罪をする
「被害者を救護する」「道路上の危険を防止する」「警察に連絡をする」の3つは加害者が必ず行わなければなりません。この対応は道路交通法で決められている義務で、対応を怠った場合は、罰則を受けることになります。
「被害者を救護する」「道路上の危険を防止する」ことを怠った場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金の罰則を受けます。また、「警察に連絡をする」ことを怠った場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金の罰則を受けます。
実況見分や事情聴取を受ける場合、加害者は嘘をついてはいけません。実況見分や事情聴取で嘘をついたとばれてしまうと、より重い処分を受ける可能性があります。
被害者の遺族に謝罪をする場合、自分が加入している保険会社に連絡することをおすすめします。場合によっては、事故当事者の謝罪を禁止していることがあります。また、被害者の遺族が会いたくないという可能性もあります。その場合は、少し時間を空け、被害者の遺族へ謝罪をするタイミングを計るようにしましょう。
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死亡事故の加害者が受ける処分
死亡事故の加害者が受ける処分としては、以下の3つ。
- 民事処分
- 行政処分
- 刑事処分
民事処分
民事処分とは、交通事故の被害者が受けた損害の埋め合わせを金銭で行う処分のことです。死亡事故の加害者が賠償すべき費用としては、以下の通り。
- 葬儀費用
加害者は、被害者の葬儀にかかる費用を賠償しなければなりません。また、法要については、四十九日までの分が賠償の対象となります。 - 死亡慰謝料
被害者が交通事故で死亡してしまい、精神的苦痛を負ったことに対して支払われるものです。死亡慰謝料は、被害者本人と遺族に対しての2種類になります。 - 逸失利益
被害者が交通事故で死亡してしまい、将来得られたはずの収入が得られなかったことに対する賠償金になります。
行政処分
行政処分とは、道路交通法に基づいて違反点数を加算し、一定の点数を超えたときに免許停止や免許取り消しを行う処分のことです。
行政処分で加算される点数には、「基礎点数」「交通事故付加点数」「措置義務違反点数」の3種類の点数が過去3年分加算されます。加算されれる3種類の点数については、以下のリンクをご覧ください。
また、以下の点数を超えた場合に、免許停止や免許取り消しの処分を受けることになります。
免許停止
前歴 | ||||
---|---|---|---|---|
免許停止 の期間 |
0回 | 1回 | 2回 | 3回 |
30日 | 6~8点 | |||
60日 | 9~11点 | 4~5点 | ||
90日 | 12~14点 | 6~7点 | 2点 | |
120日 | 8~9点 | 3点 | 2点 | |
150日 | 4点 | 3点 |
免許取り消し
前歴 | ||||
---|---|---|---|---|
免許取消しと欠格期間 | 0回 | 1回 | 2回 | 3回 |
1年 | 15~24点 | 10~19点 | 5~14点 | 4~9点 |
2年 | 25~34点 | 20~29点 | 15~24点 | 10~19点 |
3年 | 35点以上 | 30点以上 | 25点以上 | 20点以上 |
※欠格期間とは、運転免許証の再取得ができない期間のこと。
刑事処分
犯罪を犯し、有罪判決を受けた者が罰金・懲役・禁固といった刑罰を受ける処分のことです。刑罰の内容は、裁判手続きによって裁判官が決めます。
刑罰の内容については、以下の通り。
- 罰金:金銭を国に納める刑罰。
- 懲役:刑事施設に入り、その期間中は必ず刑務作業を行わなければならない。
- 禁固:刑事施設に入る刑罰。ただし、その期間中に刑務作業を行うかどうかを自由に選択できる。
死亡事故の加害者は刑事裁判を受ける
被害者が死亡してしまった場合、刑事裁判を受ける可能性が高くなります。また、ひき逃げや飲酒運転などの悪質な交通事故の場合も、刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判は、刑法に違反して起訴された者に、刑罰を言い渡すために行われます。刑事裁判で起訴できるのは、検察官のみです。
刑事裁判の流れについては、以下の通り。
- 警察の取り調べを受ける
- 検察庁から呼び出しを受ける
- 検察官が起訴または不起訴の判断を行う
- 裁判が開始され、冒頭手続きとして、起訴状の確認や黙秘権の告知などを行う
- 証拠調べや質問などを行う
- 裁判官が判決を言い渡す
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死亡事故についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故を起こし、被害者が死亡してしまった場合、不安になってしまうかもしれません。しかし、自分に今できることを考え、誠意を持って事故後の対応を行うようにしましょう。