交通事故の量刑はどう決まる?流れを詳しく解説!
休みの日に、友人と海へ行くために車を運転していたときのこと。カーナビを見ながら運転いていたのだが、道を間違えてしまってUターンをした。そのとき、Uターンした方の車線を直進していた車にぶつかってしまった。被害者は腰を痛めており、現在2ヶ月程通院している。
「交通事故の加害者になったけど、量刑はどの程度になるのかな。心配だな…。」
交通事故の加害者になったときに気になることは、量刑ですよね。量刑次第では、今後の生活にも関わってきます。今回の記事では、交通事故の量刑についてを中心に、加害者の量刑を軽くできるのかについても説明していきます。
交通事故で量刑はどの程度になる?
量刑とは、刑罰の程度を決めることをいいます。
そもそも交通事故の加害者が受ける処分は、「民事処分・行政処分・刑事処分」の3つです。そのうちの刑事処分が、量刑を言い渡す処分です。
刑事処分とは、懲役刑や禁固刑、罰金刑など刑罰を加害者は受けることになります。
- 懲役刑:刑事施設に一定の期間入り、刑務作業を必ず行う。
- 禁固刑:刑事施設に一定の期間入ることになるが、刑務作業を行うかを自由に選択できる。
- 罰金刑:金銭を納めることになる刑罰。
量刑と交通事故で問われる罪の関係
交通事故の量刑は、加害者が問われる罪によって異なるものです。以下の表にまとめてみました。
交通事故で加害者が問われる罪 | 量刑 | ||
---|---|---|---|
自動車運転死傷行為処罰法 | 自動車運転過失致死傷罪 | 7年以下の懲役刑もしくは禁固刑 または100万円以下の罰金 |
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危険運転致死傷罪 | 負傷は15年以下の懲役刑 死亡は1年以上の有期懲役刑 |
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刑法 | 殺人罪 | 死刑または無期 もしくは5年以上の懲役刑 |
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道路交通法 | 措置義務違反 | 人身事故 | 5年以下の懲役刑 または50万円以上の罰金 |
酒酔い運転 | 5年以下の懲役刑 または100万円以下の罰金 |
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酒気帯び運転 | 3年以下の懲役刑 または50万円以下の罰金 |
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無免許運転 | 1年以下の懲役刑 または30万円以下の罰金 |
このような罪にあたる場合は、ある程度の量刑が決まっています。
一般的な過失の場合は、人身事故の90%以上が罰金刑になります。また、懲役刑や禁固刑を受けるのは、正式裁判を受けた人の30%程度です。
交通事故の量刑は誰が決める?
交通事故の加害者に言い渡す量刑は、裁判官が決めます。過去にあった交通事故の判例を参考に判断します。しかし、そのときの事故の状況というのは、それぞれ異なるものです。過去の判例と言い渡される量刑が違うこともあります。
裁判官は、以下のような事情を考慮して量刑を決めています。
- 交通事故の内容が重いものなのか、軽いものなのか
- 加害者の性格
- 加害者の態度
- 加害者に前科があるのか、ないのか
- 被害者との関係性
- 社会に対する影響 など
「被害者との示談が成立しているか」も量刑を決めるときの重要な判断材料となります。被害者との示談が成立していれば、有罪でも「懲役刑が罰金刑に」、「実刑が執行猶予に」というように刑事処分が軽くなることもあるのです。
交通事故で量刑が決まるまでの流れ
交通事故の加害者に対する量刑は、どのような流れで決まるのでしょうか。そもそも交通事故の刑事裁判には、略式裁判と正式裁判があります。それぞれの場合に分けて説明していきます。
略式裁判
略式裁判とは裁判所に出向くことなく、書面で判決を言い渡す裁判のことです。略式裁判で取り扱うものは、100万円以下の罰金刑を求める場合になります。
略式裁判で量刑が決まる流れは、以下の通り。
- 警察・検察庁で取り調べを受ける
- 検察官が起訴し、略式裁判の請求を行う
- 略式裁判により書面で判決(罰金刑)を言い渡す
- 罰金を支払う
正式裁判
正式裁判とは裁判所に出向いて、裁判官の質問に答える、証拠を提示するなどのやり取りを行った後に、それを受けて判決を言い渡す裁判のことです。正式裁判で取り扱うものは、懲役刑または、禁固刑を求める場合になります。
正式裁判で量刑が決まるまでの流れは、以下の通り。
- 警察・検察庁で取り調べを受ける
- 検察官が起訴し、正式裁判の請求を行う
- 裁判が開始される
- 冒頭手続きとして、起訴状の確認や黙秘権の告知などを行う
- 証拠調べや質問などを行う
- 検察官が判決を言い渡す
交通事故の加害者の量刑は軽くできる?
交通事故の加害者の量刑を軽くすることも可能です。量刑を軽くする場合、以下の2つの手段があります。
- ①示談を成立させておく
- ②被害者に嘆願書を提出してもらう
①示談を成立させておく
先程も説明しましたが、被害者との示談が成立していた場合、損害の償いが終わっていると認識ができます。それを考慮した裁判官が、刑罰を軽くする可能性も出てきます。
②被害者に嘆願書を提出してもらう
嘆願書とは、加害者に対して寛大な処分を求めるための書類です。嘆願書は、被害者が任意で書くものなので、必ず書いてもらえるものではありません。
反省しているという誠意をみせなければ、被害者も加害者の処分を軽くしたいと思いません。交通事故の加害者になった場合は、誠意のある態度を心がけましょう。
交通事故の量刑についてのまとめ
いかがでしたか。今回の記事をまとめると
- 交通事故の加害者が言い渡される量刑は、刑事処分にあたる。
- 加害者の量刑を決めるのは、裁判官。
- 交通事故の場合、略式裁判や正式裁判の2つの裁判方式がある。
- 加害者の量刑は、「被害者との示談成立しているか」「被害者が嘆願書を提出した」ときに軽くなる可能性がある。
交通事故の加害者になり、量刑についてわからないことがあったら、この記事を参考にしてください。