交通事故の示談交渉を開始する最適なタイミングとは?
交通事故における様々な問題は、被害者と加害者側の保険会社との示談が成立することで、解決となります。
加害者側の保険会社と示談交渉を行う際、「どのタイミングで示談交渉を始めればいいの?」「そもそも示談って何?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 交通事故の示談とは?
- 示談交渉を行うタイミング
- 示談金はいつ受け取れる?
などについて、詳しく解説していきます!
交通事故の示談とは
交通事故における示談とは、被害者と加害者側の保険会社が話し合い、お互いが和解・納得した上で、被害者に支払われる損害賠償金額を決定することをいいます。
損害賠償とは、交通事故の被害者が負った様々な損害の埋め合わせを、加害者が行うことです。
示談交渉で話し合う内容
交通事故の示談交渉では、以下について話し合うことになります。
損害賠償の金額について
示談交渉の主な内容は、損害賠償金額についてです。損害賠償の金額は、算定基準をもとに計算されます。算定基準には、「自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準」の3つがあり、この中から1つの基準を使い計算します。しかし、自賠責基準を使うと最も低い金額になり、弁護士基準だと最も高い金額になるということがあります。損害賠償金額が妥当なものか調べるには、赤本を参考にするとよいでしょう。
▶︎参考:交通事故における赤本について詳しく知りたい方はこちら
過失割合について
過失割合は、「交通事故が起こった責任がどちらにあるのか」を数字で表したものです。
損害賠償金額は、過失割合が関係してきます。被害者にも過失割合がある場合、過失割合に応じて損害賠償金額が減額されてしまいます。そのため、過失割合に納得できない場合は、話し合いを行うべきです。
保険会社は示談交渉を代行してくれない?
示談交渉は、基本的に被害者本人と加害者側の保険会社とで行われます。
被害者の過失割合が認められていない場合、「被害者には損害賠償責任がない」という理由から、被害者側の保険会社が示談交渉を行うことはできません。しかし、被害者にも過失が認められた場合は、被害者本人に代わって保険会社が、示談交渉を行ってくれます。
「一人で示談交渉を行うのは不安…」という場合は、弁護士に示談交渉を依頼してもよいでしょう。ただし、弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士費用が発生するので、注意してくださいね。
▶︎参考:弁護士費用は弁護士特約で補える!弁護士特約の利用方法について、詳しく知りたい方はこちら!
示談金には何が含まれているの?
被害者と加害者側の保険会社がお互いに和解し、示談が成立すると、被害者は示談金を受け取ることができます。
被害者に支払われる示談金には、3つの損害賠償が含まれています。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
それぞれの内容を、詳しく解説していきます。
積極損害
積極損害とは、交通事故によって被害者の出費を余儀なくされた場合に発生する損害です。
積極損害に含まれている代表的な費用は、以下の通りです。
- 治療費
- 入院費
- 手術費
- 通院交通費
- 付添看護費
- 装具・器具等の購入費 など
消極損害
消極損害は、交通事故によって、本来得られるはずであった収入や利益が減少した場合の損害をあらわします。
損害賠償は、「休業損害」と「逸失利益」の2つに分かれています。
- 休業損害
- 逸失利益
交通事故が原因で仕事を休んだことにより、収入が減少した場合の減収分を補償。
交通事故の怪我が後遺障害になったことで、以前よりも労働能力が低下してしまい、収入や利益が減少した場合の損失。
▶︎参考:休業損害の計算方法について、詳しく知りたい方はこちら!
慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被害者が受けた精神的苦痛を、加害者(保険会社)が金銭で補ったものです。
被害者に支払われる慰謝料は、2種類。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
交通事故の怪我で入通院をする際、被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われます。
交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで、被害者が受けた精神的苦痛を補ったものです。
後遺障害慰謝料の金額は、1級から14級まである後遺障害等級によって異なります。
1級が最も高い金額となり、14級が最も低い金額となっています。
▶︎参考:後遺障害慰謝料の等級別金額について、詳しく知りたい方はこちら!
示談交渉を始めるタイミング
「示談交渉は、どのタイミングで始めればいいの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、示談交渉を開始する最適なタイミングについて、解説していきます!
怪我が「完治」してから
示談交渉を始めるタイミングの1つ目は、交通事故の怪我が「完治」してからです。
完治の判断は、通院先の医師に任せましょう。「もうあんまり痛くないから、通院しなくていっか」と、自己判断で通院を中止してはいけません。交通事故による怪我は、いったん良くなったとしても、天候や気圧の変化で症状があらわれる可能性があります。
後遺障害等級認定の結果が出たら
示談交渉を始めるタイミングの2つ目は、後遺障害等級認定の申請結果が出たらです。
交通事故の怪我が「症状固定(※1)」と医師に判断された時点で、その怪我は「後遺症」となります。後遺症になってしまったら、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。
(※1)怪我の治療をこれ以上続けても、症状の緩和が見込めない状態。
▶︎参考:後遺障害等級認定の申請方法について、詳しく知りたい方はこちら!
示談成立までの期間はどれくらい?
加害者側の保険会社と示談交渉を行い、示談が成立するまでの期間は、交通事故の内容によって異なります。
示談交渉がスムーズに進んだ場合は、1~2ヶ月で示談が成立する場合もあります。しかし、加害者側の保険会社と意見が食い違ったりした場合は、示談成立までに1年以上かかってしまうこともあります。
【注意】示談交渉には時効がある!
示談交渉には時効があります。それは、損害賠償請求権が3年で失効してしまうからです。ひき逃げのような加害者が特定できていない場合を除いて、事故日から3年のうちに示談交渉を終えなければなりません、
時効は中断できる?
交通事故の怪我を治療している場合、完治や症状固定などに時間がかかってしまうと、時効が過ぎてしまう恐れもあります。そのため、時効を中断することも可能です。時効を中断する場合には、以下の手続きが必要です。
- 加害者が任意保険に未加入の場合:加害者に念書を書いてもらう
- 加害者が任意保険に加入している場合:保険会社に「時効中断承認申請書」を提出する
示談書へのサインは慎重に!
示談が成立すると、加害者側の保険会社から示談書が送られてきます。示談書には、示談金の決定額や支払い方法などが記載されています。
被害者が示談書に納得をし、署名・押印をして加害者側の保険会社に送り返すと、被害者の指定口座へ示談金が振り込まれます。
示談はやり直すことができない
被害者が示談書にサインをするということは、「この損害賠償金額で納得し、示談が成立した」ということです。
一度成立した示談は、原則としてやり直すことができません。示談書にサインをする際は、示談書の内容をよく読み、完全に納得してからにしましょう。
交通事故の示談交渉についてまとめ
交通事故の示談交渉について、お分かりいただけたでしょうか。
示談交渉を始めるタイミングは、以下の2つ。
- 交通事故の怪我が「完治」したとき
- 後遺障害等級認定の結果が出たとき
示談は、被害者に支払われる損害賠償金額が決定される、大事な話し合いです。慎重に行うようにしましょう。