接骨院・整骨院へのかかり方。交通事故でも健康保険は使える?

2019年02月01日

交通事故で怪我を負ってしまったら、被害者は治療を受けなければいけません。交通事故の通院先として、まず病院を思い浮かべる人は多いかと思いますが、接骨院・整骨院での施術も可能です。

接骨院・整骨院に通院する際も、病院と同様に自賠責保険や健康保険が適応されます。今回は、交通事故による怪我を接骨院で施術する際に、健康保険を使う場合の手続き方法や注意点について解説していきます。

接骨院ってどんなところ?

接骨院は、国家資格の1つである柔道整復師が開業しています。柔道整復師とは、捻挫や骨折、脱臼、打撲などの怪我に対して、手術ではなく手技を用いて施術を行う専門家です。
また、接骨院と整骨院は名称が異なるだけで、内容は変わりません。

交通事故後はまず病院を受診

交通事故にあってしまったら、まずは接骨院・整骨院ではなく、病院を受診する必要があります。なぜ、交通事故直後の通院先は病院でなければいけないのでしょうか。
ここでは、交通事故後に病院を受診すべき理由や、接骨院・整骨院と病院の違いについて説明していきます。

交通事故後に病院を受診すべき理由

病院では、医師がレントゲンやMRIを使った検査痛み止めや湿布などの投薬手術などの治療を行なっています。これらは全て医療行為にあたり、医師のみが行える内容です。

また、検査や治療を行なった上で、診断書を作成することもできます。診断書を発行することで、「この怪我は交通事故によるものである」ということが医学的に証明されます。診断書がないと、交通事故と怪我との因果関係が不明確となり、怪我の治療費を請求できなくなってしまいます。

交通事故と怪我との関係性を明らかにし、被害者に不利益が生じないようにするには、医師による診断が重要となります。したがって、交通事故後はまず病院へ行く必要があるのです。

接骨院と病院の違い

接骨院・整骨院と病院の違いは、主に以下の3つ。

  • 1. 所有資格の違い
  • 2. 治療・施術内容の違い
  • 3. 保険適応範囲の違い

1. 所有資格の違い
病院にいるのは医師、接骨院・整骨院には柔道整復師が働いています。資格は異なりますが、どちらも法律で設けられた国家資格であることに違いはありません。

2. 治療・施術内容の違い
前述したように、医師はMRIやレントゲンでの検査や投薬、手術、診断書の発行といった医療行為が行えます。

柔道整復師は、医師のような医療行為を行うことができません。手術を行わない「非観血的療法」という方法で、主に手技を用いて施術を行います。

3. 保険適応範囲の違い
交通事故で怪我を負った場合、相手側の自賠責保険が適応され、治療・施術にかかった費用を負担してくれます。自賠責保険は、病院と接骨院・整骨院、両方で使うことができます。

しかし、健康保険の適応については、病院と接骨院・整骨院で異なります。それでは、病院と接骨院・整骨院における健康保険の適応について、詳しく見ていきましょう。

接骨院では健康保険が適応される?

結論から述べますと、接骨院・整骨院でも健康保険は適応されます。ただし、健康保険が使える場合と使えない場合に分かれています。

接骨院で健康保険が使える場合

接骨院・整骨院で健康保険が適応されるのは、外傷性急性または亜急性出血を伴わない怪我に限ります。

症状としては、以下の通り。

  • 捻挫
  • 肉離れ
  • 打撲
  • 骨折
  • 脱臼

ただし、骨折や脱臼の施術を接骨院・整骨院で受ける場合は、応急手当てを除いて、医師の同意が必要となります。

接骨院で健康保険が使えない場合

接骨院・整骨院では、日常生活が原因の症状に対して、健康保険を適用することはできません。

具体的には、以下のような症状が健康保険適応外となります。

  • 日常生活の疲れによって生じた肩こりや腰痛など
  • スポーツ後の筋肉痛
  • 過去に負った怪我の再発や、交通事故による後遺症
  • 医師の許可がない骨折・脱臼

交通事故で健康保険を使用するメリット

交通事故で怪我を負った場合、自賠責保険や健康保険を使って治療・施術を受けることができますが、「どっちの保険を使ったらいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

ここでは、交通事故による怪我で健康保険を使うメリットについてご紹介していきます。

保険診療と自由診療の違い

まず、怪我の治療を受けるときは、自由診療または保険診療のどちらかで受けることになります。

  • 自由診療
  • 患者が治療費の全額を負担します。医療機関が自由に治療費を決められるため、保険診療よりも数倍高くなる可能性があります。

  • 保険診療
  • 健康保険が適応となり、患者は治療費の3割を負担します。残りの7割は、健康保険会社が病院に支払ってくれます。

自賠責保険は、120万円が限度額となっています。怪我が重症である場合、自由診療では治療費を120万円以内に収めることができないかもしれません。自賠責保険の限度額で補いきれなかった時は、相手側が任意保険に加入していれば、不足分を支払ってくれます。しかし、相手が任意保険に未加入の上に十分な資力がない場合、被害者自らが負担しなければいけないことになります。

しかし、健康保険を使った場合、治療費の7割は健康保険が負担してくれるため、自賠責保険には被害者の負担分である、3割のみを請求することになります。したがって、自賠責保険の限度額である120万円を有効に使うことができ、被害者の不利益を防ぐことができるのです。

交通事故で健康保険を使用するまでの流れ

交通事故で健康保険を使用する際は、「第三者行為による傷病届」が必要となります。

本来であれば、交通事故の被害者が負った怪我の治療費は、加害者が負担するべきです。しかし、健康保険では一時的に、健康保険組合が立て替えを行い、後に加害者側に対して請求します。その際に、第三者行為による傷病届が必要となるのです。

交通事故にあい健康保険を使用する際は、まず電話で連絡をし、なるべく早めに第三者行為による傷病届を提出するようにしましょう。

療養費支給申請書について

接骨院・整骨院で健康保険を使用する場合は、一時的に被害者が施術費用の全額を負担し、後に自己負担分(療養費)を健康保険組合に請求するというのが原則です。ただし、療養費支給申請書に署名することで、接骨院・整骨院が代わりに健康保険組合へ療養費を請求してくれます。

療養費支給申請書に署名する際は、負傷の原因や施術部位、施術内容などをしっかりと確認してから行うようにしましょう。

接骨院でも健康保険は使うことはできる

いかがでしたか。交通事故の怪我を接骨院・整骨院で受ける時でも、健康保険を使うことは可能です。健康保険を使用することで、被害者はメリットを得られることもあります。