交通事故の怪我は、病院で診察を受けても「異常なし」といわれることもあります。「怪我を負っている自覚はあるのに何故なの…?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで今回は、「交通事故後の怪我が、病院の診察で異常なしといわれる理由」について解説していきます。
交通事故後、病院に行ったが異常なしといわれた
交通事故で身体に痛みや違和感がある場合、病院で診察を受けるでしょう。しかし、交通事故による怪我は、病院の診断結果で「異常なし」といわれる場合も多いようです。何故このような診断結果になるのでしょうか。
むちうちは軟部組織の損傷である
交通事故による怪我で多いのは、「むちうち」といわれています。むちうちは、交通事故の強い衝撃によって、首がむちのようにしなり、首周辺の筋肉や靱帯などの軟部組織が損傷することで発症します。
このように、むちうちは軟部組織の損傷によるものなので、レントゲンやMRIなどの検査では確認できません。そのため、病院でレントゲンやMRIの検査を行っても、「異常なし」と診断されてしまうのです。
事故の怪我は症状が遅れてあらわれることも
また、交通事故で負った怪我は、事故から時間が経ってあらわれることもあります。その理由は、以下の通り。
ーー むちうちの症状が事故直後に現れない場合があるのはなぜですか。
濱島先生:
「事故直後は脳が興奮したり緊張状態になり、アドレナリンが出ている状態になります。ですので、本来むちうちの痛みが発生していても、痛みに気づかないことがあります。しかし、時間が経つことで脳の興奮や緊張状態が解けると痛みが出るため、遅れて現れているように感じるのです。また、痛い箇所が複数あっても、痛みが強い部分を最も痛いと感じるため、他の部位の痛みを感じにくくなっています。ですが、痛みが強かった部位が緩和され怪我の状況が変わってくると、あまり痛くなかったところの痛みが強く出てくることもあります。」
上記のように、事故直後はアドレナリンが出ることによって、痛みに気づきにくいのです。そのため、事故直後に怪我の症状があらわれていなくても、数日の間は身体の様子を気にかけておくようにしましょう。
交通事故の治療は自賠責保険が使える!
交通事故の被害者は、加害者の自賠責保険を使って治療を受けることができます。
そもそも自賠責保険とは、車を運転する人が加入を義務づけられている保険です。交通事故の被害者を救済するために、最低限の保障することを目的としています。
では、交通事故の治療で自賠責保険を使った場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
自賠責保険を使ったらどんなメリットがある?
交通事故の被害者が、加害者の自賠責保険を使った場合、損害賠償を受け取ることができます。
交通事故の被害者が受け取れる損害賠償は、以下のとおり。
積極損害 | 治療費 診察費 器具や装具の購入費 付添看護費 手術費 通院交通費 など |
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消極損害 | 休業損害 逸失利益 |
慰謝料 | 入通院慰謝料 後遺障害慰謝料 |
このように、自賠責保険を使った場合、被害者は治療費や慰謝料などの怪我に対する損害賠償を受け取ることができます。
▶︎参考:モノに対する損害は任意保険を使う!任意保険の補償内容についてはこちら
自賠責保険を使って交通事故の治療を受けるには
自賠責保険を使う場合、「①自賠責保険を使うための手続き」や「②自賠責保険適用の通院先へ通う」必要があります。この2点について、以下で説明していきます。
①自賠責保険を使うための手続き
自賠責保険を使う場合、「加害者請求」または「被害者請求」のどちらかで手続きを行います。
- 加害者請求
先に加害者が被害者に対して損害賠償を支払った後で、保険金を保険会社に請求する方法。 - 被害者請求
加害者側から賠償が受けられないとき、加害者が加入している保険会社に損害賠償を直接請求する方法。
②自賠責保険適用の通院先へ通う
自賠責保険を使う場合、自賠責保険が使える通院先へ通わなければなりません。
自賠責保険適用の通院先は、以下の3つ。
- 整形外科
- 整骨院
- 鍼灸院
整形外科
整形外科は、医師が治療を行います。そのため、痛み止めや湿布などの投薬や手術、レントゲンやMRIなどの検査を受けることができます。
整骨院
整骨院は、柔道整復師が施術を行います。そのため、マッサージや温熱療法、電気療法、牽引などの施術を受けることができます。
鍼灸院
鍼灸院には、はり師と灸師の資格を持った方が施術を行います。そのため、はりと灸を使った施術を受けることができます。
病院で異常なしといわれたときの対応のまとめ
いかがでしたか。交通事故にあい、痛みや違和感があったとしても、病院で「異常なし」といわれることがあります。
特にむちうちは、筋肉や靱帯などの軟部組織の損傷が原因で、症状があらわれるものです。この軟部組織は、レントゲンやMRIなどの検査に写りません。そのため、痛みや違和感がある場合は、医師に自覚症状をしっかりと伝えることが大切です。