交通事故後、腰の痛みがあらわれていませんか。この腰の痛みは、腰椎捻挫によるものかもしれません。事故で負う怪我は、首にあらわれるむちうち(頚椎捻挫)だけではないのです。
そこで今回は、腰椎捻挫の痛みを中心に、診断方法や治療方法などについて解説していきます。
腰椎捻挫による痛みについて
腰椎捻挫による痛みは、背中や腰に感じる痛みが主な症状です。このような痛みは、動いたときに強く痛みを感じ、安静にしていると痛みが軽減されるという特徴があります。
腰椎捻挫の原因としては、「運動中に腰を無理にねじった」「中腰でモノを持ち上げる」といった不用意な動作が挙げられます。この動作によって、関節包や椎間板、靭帯、筋肉などが引き伸ばされたり、断裂したりするため症状があらわれます。
この腰椎捻挫は、事故の衝撃を受けたときにも発症するため、注意が必要です。
腰椎捻挫の診断方法!
先程ご紹介したような症状があらわれ、腰椎捻挫かもしれないと感じたら、病院で検査を受けるようにしましょう。
腰椎捻挫の診断方法としては、以下のような検査です。
- MRIやレントゲンなどの画像検査
- SLRテスト
- FNSテスト
MRIやレントゲンなどの画像検査
MRIやレントゲンなどの画像検査では、「骨や筋肉に異常がないか」を調べます。ただし、筋肉や靭帯などの損傷による腰椎捻挫の場合、画像検査には写らない可能性もあるので注意しましょう。
SLRテスト
SLRテストは下肢挙上テストとも呼ばれ、「背骨の腰の部分の下の方から出ている坐骨神経に圧迫があるか」を調べることができる検査です。SLRテストの手順としては、以下の通りです。
- ①仰向けで横になる。
- ②膝を伸ばしたまま、股関節を曲げていく。
このとき、床と上がった足の角度が70°未満で痛みがあらわれた場合、腰椎捻挫と判断されます。
FNSテスト
FNSテストは大腿神経伸張テストとも呼ばれ、「SLRより頭側の背中にある神経が圧迫しているか」を調べることができる検査です。FNSテストの手順としては、以下の通りです。
- ①うつ伏せになる。
- ②膝を曲げて地面と垂直にする。
- ③検査を行う人は足首を持ち、天井方向に引っ張る。
このとき、太ももの前側に痛みがあらわれた場合、腰椎捻挫と判断されます。
では、上記でご紹介した3つの検査によって腰椎捻挫と診断された場合、どのような治療を受けるべきなのでしょうか。
腰椎捻挫に対する治療とは
腰椎捻挫は、以下のような治療方法を受けることをおすすめします。
- コルセットで固定
- 神経ブロック治療
- 電気療法
- 痛み止めの処方
- 鍼と灸を使った施術
コルセットで固定
コルセットで固定すると、背骨の動きを制限することができ、腰を安静に保つことができます。ただし、コルセットで固定するだけでは、腰椎捻挫は治りません。コルセットの役割は、安静を保ちながら日常生活に戻る助けを行うことです。
神経ブロック治療
神経ブロックは、痛みを緩和させることができる治療です。神経や神経周辺に麻酔薬を注射して感覚神経の興奮状態を抑え、血管を広げて筋肉の緊張を解きほぐすことによって、その効果が期待できます。
神経ブロックには、以下のように様々な種類があります。
- トリガーポイントブロック:痛みがある場所に直接麻酔薬を注入する
- 星状神経節ブロック:星状神経節という場所に局所麻酔薬を注入する
- 硬膜外ブロック:硬膜外腔という場所に麻酔薬を注入する など
電気療法
電気療法を行うと、血行が促されるため、痛みを緩和することができます。特に、電気による刺激は、身体の深い部分の筋肉を動かすことも可能です。
また、電気療法は低周波や高周波というように流す電流の波動も様々であるため、症状に合わせて流す電流を変えることもできます。
痛み止めの処方
腰椎捻挫による痛みが酷い場合、痛み止めを処方してもらうこともあります。しかし、痛み止めは、薬の効いている間だけの一時的な効果しか得られません。したがって、痛み止めを処方してもらい、その他の治療を受けるようにしましょう。
鍼と灸を使った施術
鍼と灸を使った施術を行うと、鍼と灸が身体にあるツボを刺激し、血行を促して筋肉の緊張を和らげることができます。それによって、痛みの緩和や免疫力を向上させる効果が期待できるのです。
上記のような治療を受ける場合、整形外科や整骨院、鍼灸院で治療・施術を受けることができます。ただし、それぞれの通院先で受けられる治療・施術が異なるため、以下のリンクを参考に通院先を選択することをおすすめします。
腰椎捻挫の痛みは治らない?
腰椎捻挫による痛みは、後遺症として残ってしまうこともあります。その場合は、後遺障害等級認定を申請するようにしましょう。後遺障害等級認定は1~14級までの等級があり、どの等級に該当するかによって、被害者が受け取れる後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が異なります。
また、後遺障害等級認定の手続きは、事前認定と被害者請求の2通りあります。事前認定の場合、加害者側の保険会社に後遺障害等級認定の手続きを任せることができます。一方、被害者請求の場合、被害者自身が後遺障害等級認定の手続きを進めていかなくてはなりません。
腰椎捻挫の痛みについてのまとめ
いかがでしたか。腰痛捻挫による痛みは、背中や腰に感じる痛みが主で、動いたときに強く痛みを感じるという特徴があります。また、腰椎捻挫は日常生活の動作だけでなく、事故によって発症することもあります。
腰椎捻挫による痛みは、後遺症が残ることもあるため、神経ブロック治療や電気療法などの治療をしっかりと受けることが大切です。