交通事故による怪我で、最も多いものがむちうちといわれています。
むちうちの症状は、吐き気やだるさなど、「風邪かな?」と勘違いしてしまう症状があらわれることもあります。また、交通事故直後に症状があらわれるとは限りません。
むちうちは、後遺症になってしまう可能性も高いといわれています。
交通事故による後遺症に対して、「言葉だけなら聞いたことある」という方がほとんどかと思います。
一言で後遺症と言われましても、「なにがどうなって後遺症なの?」「これからどうしていけばいいの?」など、様々な不安が生まれるのではないでしょうか。
この記事では、
- そもそもむちうちとは?
- どうして後遺症になるの?
- 後遺症と判断されたら慰謝料はどうなる?
など、むちうちになる原因や後遺症について詳しく述べています。
もくじ
交通事故のむちうちとは
むちうちとは、交通事故やスポーツの衝撃で、首に不自然な力が加わることで起こる怪我のことをいいます。首に力が加わる時に、首が鞭(むち)のようにしなることから、「むちうち」と呼ばれています。一般的には「むちうち」と呼ばれていますが、正式名称は「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「頚部挫傷(けいぶざしょう)」といいます。
- むちうちになる原因は、頭の重さも関係している?
先程、交通事故やスポーツの衝撃で、首に不自然な力が加わることで起こる怪我です。しかし、人間の頭の重さが、首に負担をかけていることもむちうちになる原因の一つです。
人間の頭の重さは、体重の約10%程度です。体重が50㎏の人の場合、頭の重さは約5㎏ということになります。5㎏は500mlのペットボトル10本と同じ重さで、それを常に首だけで支えていることになります。そのため、交通事故の衝撃を受け、首が前後に大きく振られたとき、首に大きな負担がかかってしまうのです。したがって、交通事故でむちうちになってしまうのです。
速度が出てなくても、停車中でも交通事故のむちうちに注意!
むちうちは、速度が出てなくても、停車中のような軽い事故でも発症することがあります。身構えていない状態で事故の衝撃を受けると、5㎏の頭を支える首に大きなダメージを受けます。そのため、むちうちの症状があらわれるのです。
交通事故のむちうち!種類別症状
交通事故でむちうちになると、首の痛みだけでなく、首が回らない、頭痛、めまい、吐き気、だるさなど、様々な症状があらわれます。そのため、以下のように種類を分けることができます。
- 頚椎捻挫型(けいついねんざがた)
- バレー・ルー症状型
- 神経根症状型(しんけいこんしょうじょうがた)
- 脊髄症状型(せきずいしょうじょうがた)
交通事故でむちうちと診断された人の7~8割の人が、「頚椎捻挫型」になるといわれています。
むちうちの治療について
交通事故でむちうちになってしまったら、一刻も早く症状を良くしたいですよね。「通院先」や「具体的な治療法」、「どのくらいの期間で治るのか」というのは、被害者が気になる点の一つではないでしょうか。
むちうちの通院先はどこ?
むちうちの通院先は以下の通り。
- 整形外科
- 整骨院
- 鍼灸院
上記の通院先であれば、保険が適用されます。
むちうちの治療法とは?
むちうちには、以下のような治療法があります。
- 薬の処方:痛みを抑えることを目的とした、痛み止め薬や湿布薬が処方されます。
- ブロック注射:痛みを感じる部位に局所麻酔を行い、痛みや筋肉の緊張をとって身体の状態をよくしていきます。
- 手技:交通事故による筋肉の損傷や関節のズレなどに効果的な治療です。
- 牽引:一時的に頚部の神経の圧迫を緩和することで、症状を和らげることができます。
- 温熱療法:痛みのある部位を温めることにより、血流の促進や痛みを和らげるなどの効果があります。
- 電気療法:電気で神経を刺激し、むちうちの痛みを和らげることができます。
むちうちの治療期間は?
結論から言いますと、むちうちの治療期間は「人それぞれ」です。衝撃の強さや体の丈夫さによって、治る早さは変わってきます。一般的には3ヶ月程度といわれていますが、怪我の状態によっては、6ヶ月〜1年の期間が必要になる場合もあるといわれています。
むちうちは後遺症になってしまうこともある
むちうちの治療が長引くと、「これ以上治療をしても症状がよくならない」と医師に言われてしまうことがあります。これを症状固定といいます。
医師に症状固定と判断された時点で、その怪我は後遺症になってしまいます。
後遺症になると、残った症状と一生つきあっていかなければいけません。
後遺症になった後の慰謝料はどうなる?
後遺症になると、これまで支払われていた入通院慰謝料(※1)の支払いが終了します。後遺症と判断された後に被害者が通院した場合、治療費や診察費などを自分で負担しなければなりません。
※1 入通院慰謝料とは、入通院をしたことで負った精神的苦痛の対価として支払われるものです。
むちうちが後遺症になった後も慰謝料を受け取るには?
「後遺症になった上に通院費も自腹だなんて」「そんなの納得いかない」と思われる方がほとんどではないでしょうか。
ここでは、後遺症になった後も慰謝料を受け取る方法をご紹介します。
後遺障害等級認定を申請する
後遺症は、いくつかの条件を満たすことで後遺障害と認められます。
後遺障害と認められると、被害者は入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料の支払いを受けることができます。
後遺障害慰謝料を受け取るには、後遺障害等級認定を申請する必要があります。
まずは、申請をする前の準備を行いましょう。
後遺障害等級認定の申請準備に必要なことは、2つ。
- 症状固定と判断されるまで通院を続ける
- 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
症状固定の判断ができるのは、医師のみです。まれに、加害者側の保険会社から「そろそろ症状固定です」と言われる場合もあります。しかし、怪我の症状がまだ残っていると感じたら、医師に相談をして、通院を続けるようにしましょう。
▶︎参考:後遺障害等級認定の申請準備について詳しくはこちら!
むちうちの後遺障害等級はどれくらい?
後遺障害には、1級から14級までの等級があります。1級が最も重い症状となり、14級が最も軽い症状となります。
むちうちが後遺障害となった場合、認定される等級は12級または、14級になることがほとんどです。
むちうちで後遺障害等級認定を申請する方法
後遺障害等級認定の申請準備ができたら、いよいよ申請です。
後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。
- 加害者請求
- 被害者請求
それぞれの内容を、詳しく見ていきましょう。
加害者請求
加害者請求は、加害者側の任意保険会社に、すべての手続きを任せる方法です。
被害者が、加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出すると、すべての手続きを行ってくれます。
加害者請求を使うと、被害者は手続きを行う手間を省くことができます。しかし、すべての手続きを任せるので、どのような手続きが行われているか、被害者は知ることはできません。
被害者請求
被害者請求は、被害者自身が、加害者側の自賠責保険会社に、直接後遺障害等級認定の申請を行う方法です。被害者は、後遺障害等級認定の申請に必要な書類を自身で取り寄せ、加害者側の自賠責保険会社へ送ります。
後遺障害等級認定の申請をする際、被害者が取り寄せるべき書類は、以下の通りです。
- 印鑑登録証明書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 後遺障害診断書
- 診療報酬明細書
被害者請求では、すべての手続きを被害者がしなければいないという手間はありますが、内容を理解し、納得しながら手続きを進められるというメリットがあります。
交通事故によるむちうちのまとめ
交通事故にあうと、むちうちになってしまう場合があります。むちうちの治療期間は一般的には3ヶ月程度といわれていますが、怪我の状態によって変わってきます。治療を続けても症状が良くならない場合は、後遺症になってしまうこともあります。後遺症の後も慰謝料を受け取りたい場合は、後遺障害等級認定を申請しましょう。