交通事故でむちうちになってしまったら、首の痛みだけではなく、肩や腰に痛みがあらわれる場合もあります。また、むちうちによって坐骨神経痛が引き起こることもあります。
坐骨神経痛は、場合によって後遺障害になってしまうことがあります。もしも後遺障害になってしまったら、被害者はどのような手続きを行えばよいのでしょうか。そもそも「坐骨神経痛って何?」と疑問に思われる方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、
- 交通事故でむちうちになる原因とは?
- むちうちから引き起こる「坐骨神経痛」の症状
- 坐骨神経痛の治療方法
- 坐骨神経痛の後遺障害等級は?
などについて解説していきます!
もくじ
交通事故でむちうちになる原因とは?
むちうちは、交通事故やスポーツなどの衝撃によって首に不自然な力が加わり、筋肉や靭帯が損傷することによって引き起こります。首に力が加わる際、ムチのようにしなることから「むちうち」と呼ばれています。
むちうちの症状は、大きく5つに分けることができます。
- 頚椎捻挫型
- 神経根症状型
- バレー・ルー症状型
- 脊髄症状型
- 脳髄液減少症
むちうちの症状は首の痛みだけではない
むちうちの主な症状は「首の痛み」といわれていますが、肩や腰に痛みがあらわれたり、手足がしびれることもあります。
また、体のだるさや吐き気、めまいなど、風邪のような症状があらわれるのもむちうちの特徴です。交通事故による怪我の症状は、事故後すぐにあらわれるとは限りません。交通事故直後に痛みや違和感がないとしても、必ず病院へ行き、体の状態を診てもらいましょう。
むちうちから引き起こる「坐骨神経痛」とは?
むちうちによる症状で腰痛があらわれた場合、「椎間板ヘルニア」の可能性があります。椎間板ヘルニアとは、椎骨の間にある椎間板が交通事故の衝撃によって圧迫され、組織の一部が飛び出すことで引き起こる症状のことをいいます。
椎間板ヘルニアの主な症状に「坐骨神経痛」があります。坐骨神経痛では、腰から足にかけてのびている「坐骨神経」が交通事故によって圧迫・刺激され、しびれや痛みなどの症状が引き起こります。一般的には、まず腰の痛みが発症し、続いてお尻や太股の後ろ、すね、つま先などに痛みやしびれがあらわれるようです。また、体が麻痺したり痛みがひどい場合は歩くことも困難になってしまいます。
坐骨神経痛の治療方法
坐骨神経痛に対する治療は、病院での「投薬」が主に用いられているようです。
坐骨神経痛の治療薬で代表的なものは、以下の通りです。
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬
- 神経障害性疼痛治療薬
- 筋緊張弛緩剤
- 血管拡張薬
炎症によって引き起こる痛みを止めるために処方されます。いわゆる「痛み止め」です。
神経の痛みに対して処方されます。
筋肉の緊張をやわらげる目的として処方されます。
血流を良くし、症状をやわらげるために処方されます。
整骨院や鍼灸院での施術も可能
投薬による治療を行っても症状が緩和されない場合、整骨院や鍼灸院で施術を受けることも可能です。病院から整骨院や鍼灸院に転院、または併用する際は、加害者側の保険会社に連絡をしてからにしましょう。
治療費や慰謝料は加害者に対して請求できる
交通事故の怪我によって病院へ通院した場合、治療費や慰謝料は損害賠償として加害者に請求することができます。損害賠償とは、交通事故によって様々な損害を負った被害者に対して、加害者がその損害の埋め合わせを行うことです。
被害者が加害者に対して請求できる損害賠償は、以下の3つ。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
それぞれの損害賠償について見ていきましょう。
積極損害
積極損害とは、交通事故にあったことによって、被害者が出費を余儀なくされた場合に発生する損害です。
治療費や入院費、通院交通費などが含まれています。また、車椅子や松葉杖を購入する場合にかかる費用や、付添人が必要となった場合の付添看護費も請求することができます。
消極損害
消極損害とは、交通事故にあったことによって被害者の収入や利益が減少してしまった場合に発生する損害です。
消極損害は、以下の2つに分けることができます。
- 休業損害
- 逸失利益
交通事故が原因で仕事を休まなければいけなくなり、被害者の収入が減少してしまった場合の減収分を補償。
交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで被害者の労働能力が低下し、以前よりも所得が減少してしまった場合の損失分。
▶︎参考:休業損害の計算方法について、詳しく知りたい方はコチラ!
慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。
被害者が請求できる慰謝料は、3つ。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
▶︎参考:交通事故の被害者に支払われる慰謝料の種類について、詳しく知りたい方はコチラ!
坐骨神経痛は後遺障害になることもある
交通事故による坐骨神経痛は、後遺障害になってしまうこともあります。後遺障害になってしまったら、被害者はどのような手続きを取るべきなのでしょうか。ここでは、坐骨神経痛が後遺障害になってしまった場合の対処法について、詳しく説明していきます。
医師に症状固定と判断されたら
まず、医師に症状固定と判断された時点で、後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。症状固定とは、怪我の治療をこれ以上続けても症状が緩和されないと医師が判断し、その時点で残っている症状のことをいいます。
後遺障害診断書は、後遺障害等級の認定を決める重要な書類といえます。医師に作成を依頼する際は、被害者が納得のいくような診断書を取得するようにしましょう。
後遺障害等級認定の申請方法とは?
後遺障害等級が認定されると、被害者は等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。
- 加害者請求
- 被害者請求
それぞれの方法について見ていきましょう。
加害者請求
加害者請求は、後遺障害等級認定の申請手続きを、すべて加害者側の任意保険会社に任せる方法です。被害者がすべき事は、後遺障害診断書を加害者側の保険会社に提出することのみです。
被害者は手続きの手間を省くことができますが、どのような内容で手続きが行われているのかを知ることができません。
被害者請求
被害者請求は、被害者本人が加害者側の自賠責保険会社に対して、後遺障害等級認定の申請手続きを行う方法です。被害者は、後遺障害等級認定に必要な書類をすべて自分で集め、加害者側の自賠責保険会社に送る必要があります。
後遺障害等級認定の手続きは煩雑であるため、被害者のみで行うことは困難といえるでしょう。そのような場合は、弁護士に手続きを依頼してもよいでしょう。弁護士に依頼することで被害者の精神的ストレスが軽減できますし、適切な後遺障害等級が認定される可能性も高まります。
▶︎参考:交通事故の被害者が弁護士へ相談する際の手続き方法とは?
坐骨神経痛の後遺障害等級は?
坐骨神経痛が後遺障害として認められた場合、後遺障害等級は12級または14級と認定されるのが一般的なようです。
▶︎参考:後遺障害等級12級について、詳しく知りたい方はコチラ!
▶︎参考:後遺障害等級14級について、詳しく知りたい方はコチラ!
慰謝料には、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準」という3つの計算基準があります。自賠責基準を使って計算をした場合、12級では93万円、14級では32万円の後遺障害慰謝料が被害者に支払われることになります。
交通事故で坐骨神経痛になってしまったら…
交通事故によるむちうちは、首の痛みだけではなく様々な症状を引き起こします。今回は、むちうちが原因としてあらわれる症状の1つ、「坐骨神経痛」についてご紹介しました。坐骨神経痛の症状があらわれたら、医療機関へ定期的に通院を続け、適切な治療を受けるようにしましょう。もしも後遺症となってしまった場合は、後遺障害等級が認定されることで後遺障害慰謝料を受け取ることができます。