むちうちの具体的な症状は?通院先や慰謝料の請求についても解説

2019年02月01日

交通事故やスポーツなどで起こるむちうち。もしもむちうちを負ってしまったら、どのような症状があらわれるのでしょうか。

今回は、むちうちの主な症状や通院先、治療費や慰謝料の請求方法をメインにご紹介していきます。

むちうちの原因

むちうちは、主に追突事故による衝撃で首に不自然な力が加わり、靭帯や筋肉などの軟部組織が損傷されることで引き起こります。追突事故の他にも、スポーツの衝撃によってむちうちになることもあります。

実は「むちうち」は正式名称ではなく、診断される際は「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」などと呼ばれます。

むちうちの症状

むちうちになってしまった場合、どのような症状があらわれるのでしょうか。

むちうちの症状は、4つの症状型に分類することができます。

  • 頚椎捻挫型
  • 神経根症状型
  • バレー・ルー症状型
  • 脊髄症状型

頚椎捻挫型

頚椎捻挫型は名前の通り、頚椎(首の骨)周辺の筋肉や靭帯が捻挫している状態のことをいいます。むちうちの中で最も一般的といわれ、首の痛みや頭痛、肩・背中のコリ、首がいつもより動かしにくいといった症状があらわれます。

神経根症状型

神経根症状型は、脊髄から伸びている神経の根元部分が損傷されることで引き起こります。主な症状は首の痛みの他に、手足や腕のしびれ、麻痺などの症状があらわれます。

バレー・ルー症状型

バレー・ルー症状型は、交通事故で受けた衝撃によって、自律神経のバランスが乱れることが原因です。めまいや耳鳴り、吐き気、倦怠感などの不定愁訴が、首の痛みと併発します。事故直後にあらわれることは少なく、時間が経過してから発症するという特徴があります。

脊髄症状型

脊髄症状型は、体に受けた衝撃が脊髄を直接傷つけてしまうことが原因です。むちうちの中で最も重篤であり、後遺症が残る可能性もあります。症状としては、下肢や上肢の麻痺、歩行障害や知覚障害などです。

むちうちの症状は事故直後にあらわれない?

むちうちは、交通事故から時間が経過した後に発症することもあります。なぜなら、事故直後は身体が興奮状態にあり、痛みを感じにくくなっているためです。つまり、痛みに気付いていないというだけで、怪我を負っていないというわけではありません。

事故直後に痛みや違和感を感じなくとも、体は大きな損傷を受けている可能性があります。痛みの有無に限らず、交通事故にあったら必ず病院を受診するようにしましょう。

むちうちの通院先

交通事故後、むちうちの可能性がある場合は、まずは整形外科を受診しましょう。事故と怪我との因果関係を明確にするためには、医師の診断が必要不可欠です。治療を続けるにあたっては、整骨院への通院も可能です。また、場合によっては鍼灸の施術を受けることもできます。

整形外科で受けられる検査・治療

整形外科では、レントゲンやMRI、CTでの画像検査、手術、投薬治療などが受けられます。
むちうちの可能性がある場合は、レントゲンの他にMRI検査を受けましょう。レントゲンでは骨の異常のみが写し出されるため、軟部組織の損傷であるむちうちは写らない可能性があります。筋肉や靭帯、神経などの損傷を検査するためには、MRI検査を受ける必要があるのです。
他にも、医師の判断によって、痛み止めや湿布の処方がされることもあります。

整骨院は手技がメイン

交通事故の怪我で通院する場合は、整形外科と整骨院を併用することも可能です。整骨院では、柔道整復師が主に手技を用いて施術を行います。ほかにも、超音波や電気などを用いた物理療法、ストレッチで体を動かす運動療法などが取り入れられます。
整骨院へ通院する際は、一度、整形外科の担当医に同意を得るようにしましょう。許可を得ずに整骨院への通院を開始した場合、後の損害賠償請求に影響を及ぼしてしまう可能性があります。

鍼灸院

むちうちの症状には、鍼灸の施術が効果的な場合もあります。整骨院によっては、鍼灸の施術も行っている鍼灸整骨院もありますので、一度相談してみると良いでしょう。

むちうちの治療費や慰謝料について

交通事故でむちうちになってしまったら、相手側の保険会社に治療費や慰謝料などを請求することができます。交通事故の被害者が負った様々な損害を、加害者が金銭で補うことを損害賠償といいます。
損害賠償は、大きく3つに分けることができ、積極損害消極損害慰謝料に分類されます。それぞれの具体的な内訳を見ていきましょう。

積極損害

積極損害は、交通事故で怪我を負ったことにより、発生を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、以下のような費用が含まれています。

  • 治療・診察費
  • 通院交通費
  • 入院費
  • 入院雑費
  • 手術費
  • 装具・器具等の購入費

消極損害

消極損害は、交通事故が原因で、被害者が得られるはずであった収入や利益が損失された場合の損害をいいます。消極損害として請求できる可能性があるものは、「休業損害」と「逸失利益」です。

  • 休業損害
  • 交通事故の怪我が原因で仕事を休まなければいけなくなり、本来の収入が減少してしまった場合の、減収分を補償。

  • 逸失利益
  • 交通事故の怪我が後遺障害となったことで労働能力が低下し、将来得られるはずであった収入や利益が減少してしまった場合の損失分を補償。

慰謝料

慰謝料は、交通事故によって被害者が負った精神的苦痛に対して、支払われる金銭です。
むちうちの場合で請求できるのは、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2つ。それぞれの慰謝料の計算方法や相場を見ていきましょう。

入通院慰謝料の計算方法

交通事故による怪我で治療を受けると、通院1日につき4,200円の慰謝料が発生します。

下記2つの計算を行い、少ない方に4,200円を掛けた金額が、入通院慰謝料の相場となります。
治療期間 = 入院期間 + 治療期間
実通院日数 = (入院期間 + 実通院日数) × 2

むちうちの後遺障害慰謝料相場

詳しくは後述しますが、後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定の審査結果によって受け取れる金額が異なります。むちうちの場合の後遺障害等級は、12級または14級です。ほとんどの場合、14級に認定されることが多いでしょう。

自賠責基準の場合、後遺障害14級で32万円、12級で93万円を相手側に請求することができます。

むちうちが症状固定になってしまったら

交通事故によるむちうちは、症状固定になってしまうこともあります。症状固定とは、これ以上治療を続けても、症状の緩和が見込めない状態のことをいい、医師のみが判断できます。

症状固定後は、相手側に治療費を請求することができません。ただし、後遺障害等級認定を行い、後遺障害等級が認められると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定を行うには、医師が作成する後遺障害診断書が必要不可欠となります。後遺障害等級認定の審査は書面の内容が最も重要となるため、納得のいく後遺障害診断書を作成してもらいましょう。

後遺障害等級認定は、「事前認定」「被害者請求」、どちらかの方法で行います。それぞれの流れについて見ていきましょう。

事前認定

事前認定は、後遺障害等級認定の手続きを、相手側の保険会社に任せる方法です。被害者がすべき事は、相手側の保険会社に対して、後遺障害診断書を提出することのみです。

メリットとしては、被害者自身が複雑な手続きを行う必要がないというところです。しかし、どのような内容で手続きが進んでいるか、把握できないというデメリットもあります。

被害者請求

被害者請求は、被害者自身が相手側の保険会社に対して、後遺障害等級認定の申請手続きを直接行う方法です。被害者は手続きに必要な書類を取り寄せ、相手側の保険会社に送ります。

被害者請求は事前認定と比べて、時間や手間がかかってしまうかもしれません。しかし、被害者自身が手続きを行うため、自分にとって有利になるような書類を付け足すこともできます。したがって、後遺障害等級が認定されやすくなる可能性があります。

むちうちの症状についてまとめ

いかがでしたか。交通事故によるむちうちは、首や肩・背中の痛み、可動域の制限、めまいや吐き気、頭痛など、様々な症状があらわれます。事故直後に症状があらわれないこともあるため、交通事故にあったら必ず病院を受診するようにしましょう。