交通事故で脳挫傷に…。後遺症になったらすべきこととは?

2019年02月01日

3週間前、夫が交通事故の被害にあった。高速道路を走行中、居眠り運転をしたトラックが夫の運転する車にぶつかり、夫は病院に運ばれた。

警察から電話を受け、病院に駆けつけると、医師に「あなたの旦那さんは、脳挫傷という症状です。後遺症が残るかもしれません。」といわれた。「交通事故で脳挫傷になったら、どんな後遺症が残るのだろう…。」

このような不安ありませんか。今回の記事では

  • 交通事故の脳挫傷について
  • 交通事故の脳挫傷は後遺症になるのか
  • 交通事故の脳挫傷が後遺症になったら何をすべきか

について説明していきます。

交通事故の脳挫傷について


交通事故で頭部に強い衝撃を受けて、脳に損傷や小さな出血が起きると脳挫傷の症状があらわれます。脳挫傷の診断には、頭部CT検査が使われます。CT検査では通常、出血している部位は白く映り、脳が腫れている部分はやや黒く映ります。脳挫傷は出血と腫れが同時にあらわれるため、白と黒が混在しているように映ります。

脳挫傷の症状

脳挫傷になると、以下のような症状があらわれます。

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 半身麻痺
  • 感覚障害
  • 言語障害
  • 痙攣       など

脳挫傷の治療方法

脳挫傷は、急性期と回復期で治療方法が分かれています。

脳挫傷の急性期

脳挫傷の急性期では、呼吸や血圧など全身状態の管理を行い、穿頭・開頭血腫除去術(※1)などを行います。また、意識が戻らない場合は、手足にさすって感覚に刺激を与え、機能障害を防ぐようにしていきます。

※1 穿頭・開頭血腫除去術は、頭蓋骨を一部を切り外したり、穴をあけたりして内部に溜まった血液を洗い流すために行う手術のことです。

脳挫傷の回復期

脳挫傷の回復期になると、半身麻痺や感覚障害、言語障害といった症状を回復するためのリハビリを行います。各々の症状によってリハビリ内容が異なります。また、厳しいリハビリを行うことは、被害者に対して大きな精神的ストレスがかかるといえるでしょう。したがって、身近にいる家族や親しい人が、被害者の心のケアをしっかりと行う必要があります。

脳挫傷のリハビリには、以下のようなものがあります。

  • 筋力や持久力の強化
  • 指先の機能を回復するための訓練
  • 認知機能や対人関係を回復するために行う作業療法や言語聴覚療法 など

交通事故の脳挫傷は後遺症になる?


交通事故の脳挫傷が後遺症になったとき、以下のような後遺症が残る場合があります。

  • 高次脳機能障害
  • 遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)
  • 外傷性てんかん

高次脳機能障害

高次脳機能障害は、脳挫傷の後遺症で最も多くみられる後遺症です。脳が損傷したことにより、言語や記憶に関する知的障害があらわれます。

感情をコントロールする、計画を立てる、集中する、作業の反復と継続など、生きる上で必要になってくる高度な脳の機能が障害された状態になります。そのため、社会に復帰するのが難しい状況だといえます。

▶︎参考:高次脳機能障害について詳しく知りたい方はこちら

遷延性意識障害

脳挫傷の後遺症で最も深刻だといわれる障害が遷延性意識障害です。交通事故の衝撃で脳の大脳部分が損傷したり、壊死(えし)してしまい、昏睡状態が続きます。

意識がない状態で、しゃべることや身体を動かすこともできなくなってしまうので、植物状態とも呼ばれます。

外傷性てんかん

交通事故で頭部に衝撃を受けたとき、数ヶ月後に痙攣が連続して起こったり、突然意識を失ったり、記憶が飛ぶなどの症状があらわれます。これらの障害を外傷性てんかんといいます。

交通事故の脳挫傷が後遺症になったらどうすべき?

もし交通事故で脳挫傷になったとき、後遺症が残ったら後遺障害等級認定を申請するべきです。後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められれば、後遺障害慰謝料というものを受け取ることができます。

後遺障害等級認定とは

後遺障害等級認定では、交通事故が原因で残った後遺症が後遺障害に該当するか、該当した場合はどの等級なのかという判断を行います。

後遺障害を認めてもらうには、以下の5つの条件を満たしていなければなりません。

  • 医療機関へ定期的に通院していること
  • 交通事故の状況と被害者が申告する症状の程度が一致していること
  • 交通事故当初から、被害者の訴える症状が続いており、一貫性があること
  • 後遺症が医学的に(画像診断や検査結果など)証明できること
  • 症状が重く、日常的に症状が続いていること

後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認められた場合、後遺障害慰謝料が受け取れます。後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで負った、精神的苦痛の対価として支払われる損害賠償の一つです。後遺障害慰謝料は、等級によって受け取れる金額が異なります。

▶︎参考:等級別の後遺障害慰謝料の金額についてはこちら

脳挫傷の後遺症は後遺障害で何級に該当するか

先程、紹介した3つの後遺症「高次脳機能障害・遷延性意識障害・外傷性てんかん」は後遺障害に該当する症状です。これら3つの後遺症が後遺障害の等級で何級に該当するのでしょうか。以下にまとめました。

  • 高次脳機能障害:1、2、3、5、7、9級
  • 遷延性意識障害:1級
  • 外傷性てんかん:5、7、9級

交通事故の後遺障害等級認定を申請する方法

後遺障害等級認定をする場合、以下2つの申請方法があります。

事前認定

事前認定は、加害者側の任意保険会社にすべての手続きを任せる方法です。被害者が行うのは、加害者側の保険会社に後遺障害診断書を提出することだけです。その後の手続きは、すべて加害者側の保険会社が行ってくれます。そのため、申請に手間がかかることはありません。

被害者請求

被害者請求は、後遺障害等級認定に必要な書類を自分で集めて、自賠責保険会社に提出をするという方法です。自分自身で必要な書類を集めるため、手間がかかってしまいます。しかし、手続きの内容を知ることができるため、納得のいく後遺障害等級認定を受けることができます。

▶︎参考:後遺障害等級認定の被害者請求で必要な書類についてはこちら

交通事故による脳挫傷の後遺症まとめ

今回の記事のまとめは、

  • 交通事故で頭部に強い衝撃を受けて、脳に損傷や小さな出血が起きると脳挫傷の症状があらわれる。
  • 脳挫傷の急性期では、穿頭・開頭血腫除去術や機能障害を防ぐ治療を行う。
  • 脳挫傷の回復期では、半身麻痺や感覚障害、言語障害といった症状を回復するためのリハビリを行う。
  • 交通事故の脳挫傷は、「高次脳機能障害・遷延性意識障害・外傷性てんかん」の後遺症が残る。
  • 交通事故の脳挫傷で後遺症が残ったときは、後遺障害等級認定を申請する。