3ヶ月前、買い物から自宅へ帰っていると、交差点を左折してきた車に巻き込まれて交通事故の被害にあった。交通事故にあって怪我をしたため、通院していた。その通院のおかげで、痛みも和らいだので治療終了し、示談交渉を始めた。
示談交渉が始まると、加害者が損害賠償の金額に納得がいかないようで、民事裁判をすることになってしまった。「民事裁判ってどんなことをするんだろうか?」
このような疑問ありませんか?今回の記事では、
- 交通事故の民事裁判とは?
- 交通事故の民事裁判にかかる費用
- 交通事故の民事裁判の流れ
- 交通事故の民事裁判に必ず出席すべきか
について説明していきます。
もくじ
交通事故の民事裁判とは?
交通事故の示談交渉で被害者と加害者の意見がまとまらない場合、民事裁判になることがあります。民事裁判の定義とは、裁判官が裁判所で双方の意見を聞き、証拠を調べた後、判決を言い渡すことで問題を解決する手続きのことです。交通事故の民事裁判では、基本的に損害賠償に関する問題が多いです。
民事裁判と刑事裁判の違い
交通事故の裁判には、民事裁判の他にも刑事裁判というものもあります。民事裁判と刑事裁判にはどのような違いがあるのでしょうか。以下の表にまとめました。
民事裁判 | 項目 | 刑事裁判 |
---|---|---|
損害賠償に関する内容 | 取り扱う内容 | 加害者にどんな刑事罰を与えるのか |
誰でも可能 | 起訴できる人 | 検察官のみ |
出席する必要はない | 当事者が裁判に出席すべきか | 出席する必要がある |
費用がかかる | 裁判をするための費用 | 費用はかからない(※1) |
上記のような違いがあるということを覚えておいてください。
※1 刑事裁判は被害者が直接裁判を起こすわけではなく、検察官が起訴するものなので費用がかかりません。
交通事故の民事裁判にかかる費用
先程、民事裁判と刑事裁判の違いでも述べましたが、民事裁判を行うと裁判をするための費用がかかります。もし交通事故で民事裁判になったとき、どんな費用がかかるのか気になりますよね。ここでは、民事裁判にかかる費用について説明していきます。
民事裁判の費用は、以下の通り。
- ①訴訟費用
- ②弁護士費用
①訴訟費用
訴訟費用には、訴状を提出するための手数料、書類を送付するための郵便料などがあります。また、証人を裁判に呼ぶ場合は、旅費や日当などの費用を支払わなくてはなりません。
しかし、これらの訴訟費用は、民事訴訟法の第61条によって「裁判に負けた人が支払うもの」と定められています。
②弁護士費用
弁護士費用には、着手金と報酬金があります。
- 着手金:弁護士に相談した案件に、着手してもらうための費用
- 報酬金:弁護士に相談した案件が終了したときに、成功の程度に応じて支払う費用
これらの弁護士費用は、各弁護士事務所で自由に決めることができるため、金額にバラつきがあります。弁護士費用は、自分の加入している保険会社で弁護士特約をつけていれば、保険会社が負担してくれます。一度、自分の加入している保険会社に確認してみることをおすすめします。
交通事故の民事裁判にかかる日数は?
交通事故の民事裁判は、口頭弁論というのもが月1回の頻度で行われ、両者の意見がなくなるまで繰り返すことになります。そのため、早くて半年から1年、意見の対立が激しいようであれば2年以上かかることもあり、事案によって異なります。
交通事故の民事裁判の流れ
交通事故で民事裁判を起こす場合、以下のような流れで進められます。
- ①裁判所に訴状を提出する。
- ②口頭弁論を行う。
- ③証拠を提出する。
- ④判決を言い渡す。
①裁判所に訴状を提出する。
まずは、裁判所に訴状を提出します。訴状の提出先は、損害賠償で請求する金額によって異なります。以下の表にまとめました。
請求する損害賠償の金額 | 提出先 |
---|---|
140万円以下 | 簡易裁判所 |
140万円以上 | 地方裁判所 |
訴状に記載する内容は、以下の通り。
- 求める判決内容
- 原告(※2)の住所と氏名
- 請求する損害賠償の金額
- 事故の内容
- 損害額
訴状は裁判所の書記官によって審査がされ、不備があれば訴状を修正する必要があります。
※2 原告とは、民事裁判を起こした当事者のこと。
②口頭弁論を行う。
口頭弁論では、裁判所で当事者がそれぞれの意見を述べていきます。このとき、提出した書類内容に関する質問を裁判長が行い、矛盾を明らかにしていくのです。また、口頭弁論は月1回の頻度で行われます。
- 交通事故の民事裁判には必ず出席すべき?
先程、民事裁判と刑事裁判の違いでも述べましたが、交通事故の民事裁判に必ず出席する必要はありません。基本的には、弁護士が代理人として裁判に出席することになります。しかし、裁判で当事者に尋問する場合には、日程を調整して出席する必要があります。
③証拠を提出する。
当事者の意見を裏付けることを目的に証拠を提出します。
交通事故の裁判で証拠として提出するものには、様々なものがあります。
- 目撃者の証言
- 診療報酬明細書
- 医師の診断書
- 後遺障害の認定書 など
上記のような証拠を、必要に応じて提出することになります。
④判決を言い渡す。
判決が決まり、言い渡されて民事裁判は終了します。しかし、交通事故の裁判では、判決を待たずに和解することもあります。
民事裁判は和解という選択肢がある
民事裁判の場合は、判決の言い渡しを待たずに和解をするという選択肢があります。
裁判官は民事裁判を進めていく中で、両者の意見を理解し、和解案というものを提示してきます。和解案に納得すれば民事裁判は終了しますが、和解案に納得できない場合は民事裁判が続くことになります。このように、民事裁判の最中に和解した場合、裁判の期間を短くできるというメリットがあります。
民事裁判で言い渡された判決に不服がある場合
民事裁判で判決が言い渡されたとき、判決内容に不服がある場合もあると思います。その場合は、控訴を行うことができます。
控訴を行う
控訴とは、裁判の判決に不服があると上級裁判所に申し立てることをいいます。
控訴を行う場合、判決内容が記載された書類を受け取った日から2週間以内に、控訴状を第一審の裁判所に提出しなければなりません。
控訴状には、当事者の氏名や住所や控訴の趣旨、控訴の理由などを記載します。しかし、控訴の理由は、控訴理由書という書類に記載しなくてはなりません。控訴状に控訴の理由を記載する場合は、「追って、控訴理由書を提出する。」と記載すれば大丈夫です。
控訴にかかる費用
控訴するには、さらに印紙代や郵券代が必要になります。
印紙代は、請求する金額で異なります。しかし、前回支払った印紙代とは異なり、1.5倍の金額を支払わなくてはなりません。
郵券代は、裁判所によって金額が異なるため、裁判所に確認して支払うのがよいでしょう。
交通事故の民事裁判まとめ
いかがでしたか。今回の記事をまとめると
- 交通事故の民事裁判では、損害賠償に関しての問題を取り扱う。
- 交通事故で民事裁判を行う場合、訴訟費用や弁護士費用がかかる。
- 当事者は、交通事故の民事裁判に必ず出席する必要はない。
- 民事裁判には、和解という選択肢もある。
- 民事裁判の判決に不服ある場合は、控訴を行う。
交通事故の民事裁判で不明点があれば、この記事を参考にしてくださいね。