交通事故で怪我を負ったら、「後遺症を残さずに怪我を治したい」と誰しもが考えますよね。
しかし、治療が長引いてしまうと、その怪我は後遺症になってしまう場合があります。
後遺症は、今後生きていく上で、一生つきあっていかなければいけないものです。万が一後遺症になってしまったら、その後の手続きや取るべき行動などを、しっかりと把握しておくことが大切です。
今回は、
- 後遺症って何?
- 後遺症になるまでの期間はどれくらい?
- 後遺症になったら慰謝料はどうなるの?
など、後遺症に対する不安や疑問を解消いたします。
後遺症とは
交通事故の怪我の治療が長引いた場合、「これ以上治療を受けても、怪我の状態は良くならない」と医師が判断することがあります。これを症状固定といいます。
後遺症は、医師に症状固定と判断された時点で、身体に残っている症状のことをいいます。
交通事故の怪我が後遺症になるまでの期間
交通事故の怪我が症状固定と判断され、後遺症になるまでの期間は、怪我の種類によって変わってきます。そのため、後遺症となるまでの決定的な期間というものはありません。
しかし、一般的な目安として、治療を開始してから6ヶ月程経ったところで、症状固定と判断されてしまうことが多いといわれています。
後遺症になった後の慰謝料は?
後遺症になってしまうと、これまで支払われていた慰謝料は打ち切られてしまいます。後遺症後は、被害者の自腹で通院をしなければいけません。
しかし、後遺症が後遺障害と認められることで、後遺障害慰謝料を請求することができます。後遺症が後遺障害になるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
後遺障害には、1級から14級までの等級があります。後遺障害慰謝料は、この等級によって支払われる金額が異なります。
後遺障害等級認定を申請しましょう
後遺障害慰謝料を受け取るには、後遺障害等級が認定される必要があります。ここでは、後遺障害慰謝料を受け取るまでの流れについて解説していきます。
後遺障害等級認定の申請準備
後遺障害等級認定の申請をする前に、まずは申請をするための準備をしましょう。
後遺障害等級認定の申請準備で、被害者がすべき事は、2つ。
- 症状固定まで通院を続ける
- 後遺障害診断書を取得する
症状固定まで通院を続けないと、後遺障害と認められることは極めて難しくなってしまいます。慰謝料の増額を防ぐために、保険会社から症状固定を促される場合がありますが、症状固定の判断ができるのは、医師のみです。保険会社から症状固定と言われても、症状がまだ身体に残っていると感じたら、主治医と相談をし、通院を続けるようにしましょう。
医師に症状固定と判断されたタイミングで、後遺障害診断書を作成してもらいましょう。後遺障害診断書には、治療開始日や症状固定日、入院期間や実通院日数などが記載されています。後遺障害診断書は、後遺障害等級が認定されるための重要な書類といえます。作成してもらう際は、自覚症状をしっかりと医師に伝え、記載されている内容を自分でも確認するなど、納得のいく後遺障害診断書を取得するようにしましょう。
後遺障害の等級が認定されるためのポイント5つ!
以下の5つの条件をすべて満たしていなければ、後遺障害等級認定で認定されない場合が多いです。
- ①事故の状況に対して、被害者が医師に申告している症状が妥当なものであるか
- ②事故後、医療機関へ定期的に通院をしていること
- ③被害者の訴える症状が事故後から続いており、一貫性があること
- ④症状の程度が一定以上(=重症であること)
- ⑤症状が画像診断結果や検査結果などで、医学的に証明できること
この5つの条件を頭に入れておきましょう。
後遺障害等級認定の申請方法
後遺障害等級の申請準備が整ったら、申請を行いましょう。
後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。
- 加害者請求
- 被害者請求
加害者請求は、加害者側の任意保険会社にすべての手続きを任せる方法です。被害者がすべき事は、加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出する事のみです。加害者請求を行うと、被害者は様々な手続きをする手間を省くことができます。しかし、加害者側の任意保険会社にすべての手続きを任せてしまうので、どのような手続きが行われているかを、被害者が知ることはできません。
被害者請求は、被害者自身が直接、加害者側の自賠責保険会社に後遺障害等級認定の申請を行う方法です。被害者は、申請に必要な書類を自身で取り寄せ、加害者側の自賠責保険会社へ送付します。被害者請求では、被害者自身がすべての手続きを行うため手間がかかります。しかし、手続きの内容をしっかりと把握しながら進めることができるので、手続きの透明性が保たれます。被害者自身が納得しながら手続きを進めたい場合は、被害者請求を行うとよいでしょう。
後遺障害等級認定を行う機関
後遺障害等級認定の申請は、加害者側の任意保険会社または自賠責保険会社へ行いますが、後遺障害等級の認定を行っているのは、保険会社ではありません。
後遺障害等級の認定は、自賠責損害調査事務所が行っています。
自賠責損害調査事務所は、第三者機関である損害保険料率算出機構という、専門的な知識を持つ公正中立な弁護士や、医師などで構成されている組織の中に属しています。
後遺障害等級が認定されるまでの期間
前述したように、後遺障害等級の審査や認定は、自賠責損害調査事務所で行われています。
後遺障害等級認定の申請を行い、認定されるまでの審査機関は、一般的には1ヶ月程度といわれています。しかし、場合によっては3ヶ月以上かかることもあります。
後遺障害等級に納得がいかない場合
後遺障害等級は、すべての申請が認定されるわけではありません。非該当になる場合や、想像していたよりも低い等級で認定されてしまう場合があります。そのような場合、被害者は異議申し立てを行いましょう。
異議申し立て
異議申し立てとは、後遺障害等級に納得がいかない場合、納得のいく認定結果になるように再度申請をすることをいいます。
異議申し立てをする方法は3つあります。
- 自賠責保険会社に対して異議申し立てをする
- 自賠責紛争処理機構に対して異議申し立てをする
- 裁判をおこす
3つの方法中から、自分にあったものを選んでくださいね。
まとめ
交通事故の怪我は、後遺症になってしまう場合があります。後遺症になると、これまで支払われていた慰謝料は打ち切られてしまいます。しかし、後遺障害と認定されることで、後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料の請求には、加害者請求と被害者請求があります。被害者自身が納得しながら手続きを進めたい場合は、被害者請求を行うとよいでしょう。後遺障害等級の認定は、自賠責損害調査事務所が行っていて、認定されるまでの期間は、一般的に1ヶ月程度といわれています。後遺障害等級が非該当になってしまったり、等級に納得がいかない場合は、異議申し立てをして再度申請を行いましょう。