交通事故で負った怪我は、後遺症になってしまうことがあります。後遺症になってしまった場合、後遺障害等級認定を行うことになります。そこで今回は、交通事故による怪我が後遺症になった場合に行う「後遺障害等級認定」について解説していきます。
後遺障害とは?
後遺障害とは、交通事故によって負傷した怪我が完治せず、通院を続けてもそれ以上状態の回復が見込まれない状態となり、その存在が医学的に認められている状態です。またその怪我によって労働能力の損失を伴い、その程度が自賠責法施行令の等級に該当していなければなりません。
後遺障害の等級について
後遺障害等級は1~14級までわけられており、また、1級と2級については要介護か否かにわかれているので合計で16段階の後遺障害等級があることになります。
さらに、それぞれの等級においても部位別、症状別にいくつかの項目に分かれています。
後遺障害の非該当になるケース
後遺障害等級の認定には14段階ありますが、場合によっては非該当と判断されてしまうケースもあります。
非該当となる条件
軽微の場合
交通事故の怪我としてはは幸運ですが、「この事故でそれほどの被害が出るわけがない」と判断されてしまい非該当となってしまいます。
通院実績が乏しい
通院が月に一度など極端に少ない場合は「通院する必要がなかった」と判断非該当の対象になります。
症状に継続性がない
後遺障害は、症状の一貫性・連続性も重要です。訴えている痛みの箇所にばらつきがある、一度回復したのにもかかわらず再発したなどあいまいな場合、事故による痛みではないと判断されてしまうことがあります。
症状に重篤、常時性がない
「常時、後遺症の症状があること」が後遺障害の条件ですなんとなく体が重い、晴れの日だけ体が痛むなどという場合には連続性があるとは言えません。
むちうちの等級について
交通事故による怪我で一番多い症状が、むちうちです。ただ、後遺障害認定の際にもめることが多いです。多くのむちうち症状の場合、等級は第十四級に当たります。
その判断基準は、レントゲン画像などではっきりと神経障害がわかる場合を除いて、「神経学的所見と自覚症状が一致した場合」にむちうちが後遺障害として判断されます。
むちうちの症状については主に5つに分類できます。被害者本人しか痛みがわかりません。しかし、症状について理解しておけば医師に対しても症状をより正確に伝えることができると思います。
むちうちの症状
むちうちの症状には以下のような症状があります。
- ①頸椎捻挫型
主なむちうちはこの頚椎捻挫型です。頸椎の周りの筋肉や靭帯を損傷している場合が多く、首を伸ばすことで首の後ろや肩の痛みが出ます。
②神経根症状型
頸椎に歪みが出て、神経が圧迫されることで痺れやだるさの症状が出ます。一定方向へ強い負荷がかかることで痛みが増します。
③後部交感神経症候群
交感神経と副交感神経から成り立っている自律神経を損傷します。むちうちには関係ないと思われがちな吐き気、めまいの症状がでることが特徴です。
④脊髄症状型
頸椎を支える脊柱管の中にある脊髄が傷つき、また脊髄から足に向かって伸びてる神経が損傷し足の痺れを引き起こします。重度の場合は歩行障害にもなりえます。
⑤脳脊髄液減少症
事故などの衝撃で脳脊髄液がくも膜下から漏れている状態です。初期症状は頭痛が多いです。気圧変動に左右されがちです。また慢性的な、だるさも脳脊髄液減少症の可能性があります。
自分では、交通事故と痛みや違和感の関連性が判断できない場合でも、交通事故後に変わったことはすべて医師に話すようにしましょう。
後遺障害の慰謝料区分
後遺障害が認定されると、その等級に応じた慰謝料と、後遺障害による将来に見込まれる収入減分が支払われることになります。
▶︎あわせて読みたい:後遺障害慰謝料の他に支払われる慰謝料とは?
▶︎あわせて読みたい:治療にかかった交通費の請求について
等級区分と限度額
自賠責保険の場合、等級とその限度額は以下のようになります。
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第一級 3000万円
第二級 2590万円
第三級 2219万円
第四級 1889万円
第五級 1574万円
第六級 1296万円
第七級 1051万円
第八級 819万円
第九級 616万円
第十級 461万円
第十一級 331万円
第十二級 224万円
第十三級 139万円
第十四級 75万円
認定された等級に納得がいかない場合は異議申し立てができますが、新たな医学的証拠を示す書類がない場合は認定等級が変わることはありません。
▶︎参考:慰謝料を計算する場合に使われる3つの基準についてはこちら
▶︎参考:後遺障害慰謝料の請求方法について、詳しく知りたい方はこちら!
後遺障害のことで困ったら弁護士へ
もちろん、等級認定の際に納得がいかなければ弁護士に相談できますが、交通事故に遭い後遺障害が残りそうな負傷をした時から、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
治療時点から弁護士に相談した場合、相談保険や示談についての的確なアドバイスをもらうことができます。
また、等級認定の際にも、信頼できる弁護士がいる場合は依頼することで、適正な後遺障害診断を受けることのできるの可能性も増すでしょう。
弁護士特約
加害者や相手方の保険会社に損害賠償請求をする際の弁護士報酬を被害者が加入している保険の特約で賄うシステムです。
大概の保険では300万円まで負担されることが多いので金銭に悩むことなく解決できると思います。
この特約を保険に付帯している場合、少しでも悩んだ場合は気軽に相談することができるのです。
まとめ
後遺障害について、何段階もの等級があったり、認められるには条件もあります。
等級認定の判断には正確な判断が必要になってくるので医師に対して正確な怪我の状況を伝えることを心掛けましょう。