交通事故の病院代は誰が支払う?請求方法についても解説!

2019年02月04日

交通事故で怪我を負ってしまったら、被害者は病院へ通い、治療を受けなければいけません。交通事故による怪我を治療する際の病院代は、一体誰が支払うのでしょうか。
今回は、むちうちを例に、病院代の請求方法や受け取れる金額などをご紹介いたします。

交通事故によるむちうちの原因とは

交通事故が原因の怪我で最も多いといわれている「むちうち 」。
むちうちは、交通事故やスポーツなどの衝撃で首に不自然な力が加わり、筋肉や靭帯が損傷されることで症状が引き起こります。

交通事故の衝撃で首に力が加わる際、首が鞭のようにしなることから、「むちうち 」と呼ばれています。

むちうちは4種類に分かれている

むちうちは、以下の4種類に分けることができ、それぞれであらわれる症状が異なります。

  • 1 頚椎捻挫型(けいついねんざがた)
  • 2 バレー・ルー症状型
  • 3 神経根症状型(しんけいこんしょうじょうがた)
  • 4 脊髄症状型(せきずいしょうじょうがた)

種類別でどのような症状があらわれるのか、見ていきましょう。

頚椎捻挫型

頚椎捻挫とは、いわゆる「首の捻挫」のことです。交通事故の衝撃で首の筋肉がねじれたり、挫いたりすることで症状が引き起こります。むちうちになった8割の人が、この頚椎捻挫型になるといわれています。

頚椎捻挫型の主な症状は、以下の通りです。

  • 首の後ろや肩の痛み
  • 首や肩の動きが制限される
  • 背中のコリ など

バレー・ルー症状型

交通事故の衝撃によって、首の骨に沿って走っている後部交感神経が損傷し、自律神経に影響が及ぶことで症状が引き起こります。

バレー・ルー症状型の主な症状は、以下の通りです。

  • 頭痛
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 吐き気 など

神経根症状型

頚椎(首の骨)は、7個の椎骨が連なってできており、神経根という太い神経が通っています。交通事故の衝撃によって頚椎の並びが歪んでしまうと、神経根が圧迫され、神経根症状があらわれます。

神経根症状型の主な症状は、以下の通りです。

  • 首の痛み
  • 腕の痛みやしびれ
  • 後頭部の痛み
  • 倦怠感

脊髄症状型

脊髄症状型は、交通事故による衝撃が神経を通りこし、脊髄まで損傷されてしまった場合に症状が引き起こります。むちうちの中で最も重症であるといわれ、後遺症が残ってしまう可能性もあります。

脊髄症状型の主な症状は、以下の通りです。

  • 下肢のしびれ
  • 知覚障害
  • 歩行障害
  • 排せつが困難になる

むちうちの通院先

交通事故によるむちうちの症状は、事故後すぐに発症するとは限りません。
交通事故にあってしまったら、体に痛みがある場合はもちろん、特に怪我を負っていなくとも病院へ行きましょう。

むちうちの主な通院先は、「病院の整形外科」「整骨院」の2つ。
それぞれの通院先で受けられる治療・施術内容を見ていきましょう。

まずは病院の整形外科へ

交通事故にあい、「むちうちかも?」と思ったら、まずは病院の整形外科へ行きましょう。
整形外科では医師が治療を行なっており、診断書を作成してもらうことができます。診断書は、交通事故後の様々な手続きに必要となってくる、とても大事な書類です。

整形外科で受けられる治療は、レントゲンやMRIなどによる画像検査や医師による手術、湿布や痛み止めの投薬などです。

整骨院への通院も可能

むちうちは筋肉や靭帯の損傷であるため、レントゲンには写らない可能性があります。整形外科で治療を受けても症状が緩和されない場合は、整骨院への通院を検討してもよいでしょう。

整骨院では、柔道整復師が施術を行なっています。体に直接触れて施術を行う手技がメインのため、レントゲンでは発見できなかった症状も見つけられる可能性があります。手技のほかにも、電気や超音波などの物理エネルギーを使った「物理療法」や、体を動かすことで身体機能の回復力を高める「運動療法」などがあります。

交通事故の病院代は誰が支払う?

交通事故で怪我を負ってしまったら、治療を受けるために定期的な通院を続けなければいけません。通院を重ねるにつれて、病院代がかさんでいくことを心配に思う方も多いのではないでしょうか。

交通事故の被害者が怪我を負い、治療にかかった病院代は、加害者に損害賠償として請求することができます。損害賠償とは、交通事故にあったことで被害者が受けた様々な損害の埋め合わせを、加害者が行うことです。

自賠責保険と任意保険

被害者に損害賠償を支払うのは、基本的に加害者側の保険会社です。被害者は、加害者が加入している「自賠責保険」と「任意保険」から損害賠償の支払いを受けることができます。

自賠責保険と任意保険、それぞれどのような保険なのか見ていきましょう。

自賠責保険

自賠責保険は、自動車を所有しているすべての者に加入が義務付けられている「強制保険」です。交通事故の被害者に対する最低限の保障を目的としています。
人身事故のみに適用され、損害賠償の限度額は120万円となっています。

任意保険

任意保険は、運転者の任意で加入を決めることができる自動車保険です。損害賠償の金額が自賠責保険の限度額を超えてしまった場合、不足分を補う役目を果たしています。
人身事故には適用されませんが、物損事故による損害賠償は任意保険から支払われます。

被害者がもらえる損害賠償

交通事故の被害者は、病院代の他にも、様々な損害賠償を請求することができます。
被害者が加害者に対して請求できる損害賠償は、「積極損害」、「消極損害」、「慰謝料」の3つに大きく分けることができます。

それぞれの損害賠償について、詳しく見ていきましょう。

積極損害

積極損害とは、交通事故が原因で、被害者の出費を余儀なくされた場合に発生する損害です。

積極損害に含まれている費用は、以下の通りです。

  • 治療費
  • 入院費
  • 入院雑費
  • 手術費
  • 通院交通費
  • 付添い看護費
  • 器具・装具等の購入費 など

消極損害

消極損害は、交通事故にあったことによって、被害者の収入や利益が減少してしまった場合の損害です。

消極損害は、「休業損害」と「逸失利益」の2つに分かれています。

  • 休業損害とは?
  • 交通事故が原因で仕事を休むことになり、被害者の給料が減少してしまった場合の損害。被害者の職業によって計算方法が異なり、減収分を補ってもらうことができます。
    ▶︎参考:休業損害の職業別計算方法はコチラ

  • 逸失利益とは?
  • 交通事故の怪我が後遺障害になってしまうと、思い通りに働けなくなってしまい、被害者の収入が減少する可能性があります。逸失利益は、交通事故による後遺障害が原因で被害者の労働能力が低下し、以前よりも収入が減少してしまった場合の損失分をあらわしています。
    ▶︎参考:逸失利益を受け取れる対象者や計算方法は、コチラ

慰謝料

慰謝料とは、交通事故が原因で被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。
交通事故でむちうちを負った場合、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」を受け取れる可能性があります。

損害賠償の請求方法

交通事故の被害者に対して支払われる損害賠償について、お分りいただけたでしょうか。
それでは、損害賠償の請求方法を見ていきましょう。

損害賠償の請求方法には、「加害者請求」または「被害者請求」、2つの方法があります。被害者側の手続きが多くなるのは、「被害者請求」の方法です。

加害者請求

加害者請求では、まず加害者本人が被害者に対して、損害賠償の支払いを行います。その後、加害者本人が自身の自賠責保険に対して、支払った分の金額を請求します。

加害者請求の詳しい方法については、以下の記事をご覧ください。
▶︎参考:加害者本人が行う加害者請求の方法について、詳しく知りたい方はコチラ

被害者請求

被害者請求は、被害者本人が加害者側の自賠責保険に対して、損害賠償の請求を行う方法です。

被害者請求には、「仮渡金請求」と「本請求」の2つがあります。

  • 仮渡金請求
  • 損害賠償の金額が確定する前に、費用を受け取ることができる制度。

  • 本請求
  • 被害者に支払われる損害賠償が確定した後に請求する方法。

被害者請求を行うには、以下の書類を被害者自身で用意し、加害者側の自賠責保険会社へ送る必要があります。

  • 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払い請求書
  • 交通事故証明
  • 事故発生状況報告書
  • 医師の診断書
  • 診断報酬証明書
  • 通院交通費明細書
  • 印鑑証明書

交通事故の病院代は加害者に請求

交通事故で怪我を負ってしまったら、被害者は治療を受けるために、整形外科や整骨院へ通院しなければいけません。怪我の治療にかかった費用は、加害者に損害賠償として請求することができます。損害賠償には、病院代の他にも休業損害や慰謝料なども含まれています。