6ヶ月前、大きな交差点で信号無視をした車とぶつかり交通事故の被害にあった。
交通事故後、総合病院でむちうちと診断され、整形外科と整骨院を併用して通院をすることに…。その後、継続的な通院のおかげで、むちうちの治療を終了し、示談交渉を始めた。
示談交渉もスムーズに進み、あとは示談書に捺印をするだけになった。しかし、保険会社から渡されたのは、示談書ではなく免責証書というものだった。
「免責証書って何?」と疑問に思っていませんか?
今回の記事では、
- 交通事故の示談交渉について
- 免責証書と示談書の違い
- 免責証書に一度捺印したら取り消しできないのか
- 損害賠償がいつ受け取れるのか
上記の項目を説明していきます。
交通事故の示談交渉
交通事故にあい、症状が完治または症状固定になったタイミングで示談交渉を開始します。症状固定の場合は、先に後遺障害等級認定を申請してください。
示談交渉とは、交通事故にあった被害者と加害者が、和解するために話し合いをすることです。
交通事故後~示談成立までの流れ
交通事故後~示談成立までの流れは以下の通りです。
- ①交通事故発生(警察、保険会社へ連絡)
- ②怪我の治療
- ③完治または症状固定(※症状固定の場合は、後遺障害等級認定の申請)
- ④示談交渉
- ⑤示談成立
ここで注意しておきたいのは、被害者が損害及び加害者を知ったときを起点に示談を3年以内に終わらせければならないということです。
その理由は、損害賠償請求権にあります。
- 一般的な交通事故の場合:3年
- ひき逃げのように加害者が不明の場合:20年(※)
このように、損害賠償請求権には行使できる期間が設けられているのです。示談をする場合は、この点に注意してくださいね。
※その後加害者が発覚した場合、損害賠償請求権は(加害者が発覚したときから)3年の時効に変わります。
免責証書と示談書の違いは?
そもそも示談書とは、交通事故の事実と解決内容を記載している書類のことです。
免責証書は書面のタイトルが異なるだけで、記載する内容や効果は、示談書とほぼ同じです。したがって、免責証書は示談書の一種といえます。
唯一の違いは…
- 免責証書:被害者のみ署名捺印する
- 示談書:交通事故の当事者である全員が署名捺印する
免責証書に署名捺印し、完成に至るまでの流れ
- 保険会社→被害者→保険会社
示談書に署名捺印し、完成に至るまでの流れ
- 保険会社→加害者→保険会社→被害者→保険会社
このような順序で示談書の郵送を繰り返し、交通事故の当事者全員が署名捺印する流れになっています。したがって、示談書が完成するまでに時間がかかってしまうのです。
免責証書に捺印したら取り消しはできない?
免責証書は、示談書と同様で一度捺印してしまうと、記載内容を変更することができません。免責証書に捺印をする場合は、必ず記載内容に不備がないか確認してください。
また、免責証書に捺印する前であれば、記載内容を変更することが可能ですので、安心してください。
交通事故の損害賠償はいつ受け取れる?
交通事故の損害賠償は、示談成立後に支払われます。そのため、治療費や通院交通費などを被害者が自費で建て替えしなければなりません。しかし、被害者が自費で建て替えが困難な場合は、仮渡金制度を活用するのがよいです。
仮渡金制度
被害者はすぐに治療費や通院交通費などのお金が必要になります。その費用をまかなうお金が早く受け取れる制度が仮渡金制度なのです。
仮渡金制度で受け取れる金額は決まっており、傷害の場合だと怪我の程度に応じて5万円・20万円・40万円を受け取ることができます。
免責証書は示談書の一種です
いかがでしたか?免責証書は示談書の一種であり、記載内容や効果はほぼ同じです。
唯一異なる点は、「免責証書は被害者のみの署名捺印」「示談書は交通事故の当事者である全員が署名捺印」となります。被害者のみの署名捺印だけでよい免責証書は、示談書を完成させるより、時間がかからないということを覚えておきましょう。