日曜日、急遽営業先向かうことになった。営業先に向かう途中、ビルの角から飛び出してきた車にひかれて交通事故の被害にあった。
身体に痛みはあったものの、日曜に営業している病院を見つけることができなかった。そのため、翌日の仕事を休み、病院へ行くことにした。有給休暇を使うことを考えたが、その場合は休業補償を受け取れないかもしれないと悩んでいた。
こんなお悩みありませんか。今回の記事では、有給でも休業補償が受け取れるのかだけでなく、休業補償の計算や休業損害の違いなどについて説明していきます。
交通事故の休業補償とは?
正式名称には休業(補償)給付といい、通務中や勤務中に交通事故あい、仕事を休んだ間の損害を補償するものです。
休業補償と休業損害の違い
休業補償と休業損害のどちらも、交通事故で仕事を休んだ間の損害を補償するものです。しかし、休業補償と休業損害は異なるものとされます。
- 休業補償:労災保険の補償内容
- 休業損害:自賠責保険の保障内容
という違いがあります。
労災保険
労災保険は、労働者を対象とした保険です。勤務中や通勤中に交通事故や災害にあった労働者を守ることを目的としています。
自賠責保険
自賠責保険は、車を運転する人が必ず加入しなければならない保険です。交通事故にあった被害者を救済するため、最低限度の保障をすることを目的としています。
▶︎参考:労災保険と自賠責保険の違いを詳しく知りたい方はこちら
休業補償の対象者は?
以下の3つの条件を満たしていなければ、休業補償を受け取ることができません。
- ①労災保険に加入していること
- ②勤務中や通勤中に怪我や病気になり、働けない状況が4日以上になったとき
- ③仕事を休んでいる間に、賃金を受け取っていないこと
有給で休んでも休業補償は請求できる?
有給で休んだ場合は、休業補償を請求することができません。その理由は、休業補償を受け取る条件の一つに「仕事を休んでいる間に、賃金を受け取っていないこと」という条件があるからです。
そもそも有給とは、有給休暇の略称です。その名の通り、休暇した場合でも給与が出るという制度です。そのため、有給の間でも賃金が出るということになります。したがって、有給を使用した場合は、休業補償を受け取ることができません。有給を使うか、休業補償を受け取るかどちらかを選択することになります。
有給は、いつも勤務しているときと同じ給料が支払われます。しかし、休業補償は計算によって支給される金額が決まるのです。次の章で詳しく説明します。
休業補償の計算方法
休業補償の金額を計算するには、以下の計算式を使用します。
- 休業(補償)給付=給付基礎日額の60%×休業日数
- 休業特別支給金(※1)=給付基礎日額の20%×休業日数
給付基礎日額:交通事故にあう前の直近3ヶ月の平均給与の日額のこと
休業日数:症状固定までに休んだ日数
※1 休業特別支給金は、休業4日目以降から休業(補償)給付とは別に支給されます。
実際に休業補償を以下で計算しました。
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休業補償の計算例
月330,000円の収入で、交通事故により23日(3ヶ月のうち)仕事を休んだと仮定します。
給付基礎日額=330,000円÷30日(※1ヶ月)=11,000円(日額)
休業日数=23日-3日=20日(※仕事を休んだ4日目から支給のため)
これらを当てはめて計算すると
休業(補償)給付=(11,000円×0.6)×20日=132,000円
休業特別支給金=(11,000円×0.2)×20日=44,000円
132,000円+44,000円=176,000円が休業補償として支払われます。
交通事故の休業補償を請求する
休業補償を請求するにはどうすればよいのでしょうか。
休業補償を請求する場合、労働基準監督署に請求書を提出しなければなりません。請求書とは、「休業補償給付支給請求書」(様式第8号)か「休業給付支給請求書」(様式第16号の6)です。仕事を休む期間が長期にわたる場合は、1ヶ月ごとに請求を行います。また、休業特別支給金と休業(補償)給付の請求は同時に行うのが基本です。
交通事故の休業補償まとめ
有給で休んだ場合、休業補償を請求することができません。その理由は、休業補償を受け取るための条件に仕事を休んでいる間に、賃金を受け取っていないことというものがあるからです。したがって、有給を使うか、休業補償を受け取るかどちらかを選択する必要があるということを頭に入れておきましょう。