交通事故にあって、同乗者も怪我をしたかもしれない場合や、実際に治療した場合、慰謝料や治療費は加害者に請求できるのでしょうか?
その答えは「Yes」です。この記事では、交通事故の同乗者に対する補償について解説していきます。
交通事故の被害にあったら必ず病院を受診!
交通事故の被害にあってしまった場合、運転者でも同乗者でも、必ず一度は整形外科を受診しておくことをおすすめします。
交通事故の怪我は、事故直後には自覚症状がなく、数日経ってから痛みが出てくるケースも少なくありません。しかし、事故から受診までの時間が空いてしまうと、症状と交通事故の因果関係が疑われてしまいます。
自覚症状がない場合でも、一度整形外科を受診して検査を受けることで、早めに体の異常に気付くことができるとともに、交通事故による怪我であることを証明できます。
同乗者も加害者に損害賠償を請求できる
被害にあった車両の同乗者は、加害者に損害賠償請求をすることができます。
加害者が使える保険は以下の2つです。
- ①自賠責保険
- ②任意保険(自動車保険)
それぞれについて詳しく説明します。
①自賠責保険
自賠責保険とは、車を運転する人が必ず加入しなければならない保険のことです。また、交通事故の被害者を救済するために、最低限の保障を行うことを目的としています。したがって、傷害による損害は120万円まで支払うという額が決められているのです。
自賠責保険は、運転手だけでなく同乗者にも使えます。運転手と同乗者の関係性によって縛られることがありません。
②任意保険(自動車保険)
任意保険とは、自賠責保険とは別に任意で加入する保険のことです。自賠責保険の120万円を超えた治療費や慰謝料などを補うことができます。
同乗者は誰に損害賠償を請求する?
同乗者が損害賠償を請求できる相手は、以下の通り。
- 加害者
- 同乗していた車の運転手
加害者だけでなく、同乗していた車の運転手にも損害賠償を請求することができるのです。
しかし、運転手の好意で同乗していた場合には注意が必要です。
運転手の好意で同乗させてもらう場合、同乗者は「運転手から運転の利益を好意によって無償で受け取っている」と考えられます。無償の利益を得ているにもかかわらず、損害が生じたときだけ運転手に損害賠償を請求するのは、不公平ですよね。このような好意同乗者の場合は、運転手に対して請求する損害賠償額が減額されることがあります。
請求する相手は事故の状況によって変わることもある
基本的には、交通事故の被害にあった場合の損害賠償の請求相手は、加害者です。
しかし、交通事故の過失が被害者側にもある場合、同乗者は、被害車両の運転者に損害賠償請求ができることもあります。
任意保険が使えるかは、同乗者と運転手の関係で決まる
運転手の任意保険に「対人賠償責任保険」や「人身傷害補償特約」がある場合、運転手との関係によって使えるかどうかが変わります。
- 同乗者が親・子供・配偶者の場合
対人賠償責任保険:適用できない(支払う責任がないと定められているため)
人身傷害補償特約:適用できる
- 同乗者が兄弟・恋人・友人の場合
対人賠償責任保険:適用できる
人身傷害補償特約:適用できる
【注意!】同乗者に損害賠償責任が生じることもある
運転者に過失がある場合は、同乗者にも損害賠償責任が生じることがあります。運転者だけでなく、同乗者にも損害賠償責任が生じる事例は、以下の通り。
- 運転者が無免許であることを知りながら、同乗者が運転をやめさせなかった
- 運転者が飲酒しているのを知っていながら、同乗者が運転をとめなかった
- 運転者が故意に危険な運転をしているのにも関わらず、同乗者が運転を止めなかった
上記のような場合、運転者だけではなく同乗者にも交通事故発生の原因があると判断されます。そのため、運転者だけでなく、同乗者にも損害賠償責任が生じるのです。
交通事故の損害賠償を請求する方法
損害賠償の請求は、示談交渉の結果、当事者同士が納得し示談成立した時に行います。
自賠責保険の補償限度である120万円を超える場合、任意保険会社に対しても賠償請求が行われます。
2つの保険会社に対してそれぞれ請求を行うこともできますが、任意保険会社に対して一括請求することで、手続きの手間を省くことができます。
一括請求とは
一括請求とは、自賠責保険と任意保険それぞれに請求する損害賠償を、任意保険に一括で請求して支払ってもらう方法です。
自賠責保険分の損害賠償は、任意保険会社が後日、自賠責保険会社に請求します。そのため、請求する本人は、損害賠償請求の手続きが一度で済むため、被害者の負担が減ります。
同乗者も慰謝料を請求できます
いかがでしたか?同乗していた車が交通事故にあった場合、同乗者にも慰謝料が支払われます。自賠責保険や任意保険を使えますが、任意保険を使う場合は運転手と同乗者の関係によって、使えないことがあるので注意しましょう。