いつ交通事故の被害にあうかは、予測できないものです。そのため、妊娠中に交通事故の被害にあい、流産してしまうこともあります。そこで今回は、交通事故で流産になった場合に受け取れる慰謝料について解説していきます。
交通事故で怪我をした場合の通院先
交通事故で怪我をした場合、以下の3つの通院先から自由に選んで通院することができます。
- 整形外科
医師による治療が受けられます。
レントゲンやMRIなどの検査、痛み止めや湿布の処方ができます。 - 整骨院
柔道整復師による施術が受けられます。
手技やマッサージ、電気治療、牽引などの施術ができます。 - 鍼灸院
はり師や灸師による施術を受けらられます。
はりと灸を使った施術ができます。
上記の通院先であれば、交通事故の被害者は、加害者の自賠責保険または任意保険を使うことができます。
ただし、妊婦の方は受けられる治療と受けられない治療があるので注意が必要です。
例えば、レントゲンや痛み止めのような薬は、胎児のためにも避けなくてはなりません。
交通事故で流産をした場合の慰謝料は?
交通事故で流産してしまったときの悲しみは、計り知れないですよね。交通事故の被害者は、加害者に対して慰謝料を請求する権利があります。
そもそも慰謝料とは、交通事故で負った精神的苦痛の対価として支払われるものです。交通事故の慰謝料として一般的なのは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料になります。
では万が一、流産となってしまった場合、慰謝料はどうなるのでしょうか。ここでは、流産したときの場合だけでなく、妊婦に関する慰謝料も併せて説明していきます。
妊婦に関する交通事故の慰謝料
今回は、以下の3つの場合の妊婦に関する慰謝料について説明していきます。
- 交通事故が原因で、流産した場合
- 交通事故が原因で、生まれた子どもに影響が出た場合
- 交通事故が原因で、切迫早産になった場合
【交通事故が原因で、流産した場合】
交通事故が原因で流産した場合、胎児に対する慰謝料は請求することはできません。
そもそも慰謝料は、「人」が負った精神的苦痛に対して支払われるものです。民法上、「人」と認識されるのは、出生してからと定められています。したがって、お腹の中にいた胎児に慰謝料の請求権がないので、遺族であっても胎児に対する慰謝料を請求することができないのです。
しかし、胎児に対しての慰謝料を請求することができなくても、母親が請求する慰謝料を増額することは可能です。慰謝料は、交通事故の被害にあい、精神的苦痛に対して発生するものです。ということは、新たな命の誕生を期待していたにも関わらず、胎児を失ったことに伴う精神的苦痛は慰謝料請求の対象となります。
【交通事故が原因で、生まれた子どもに影響が出た場合】
交通事故の衝撃が原因で生まれてきた子どもが、何らかの障害による影響が出てくることがあるかもしれません。その場合、母親と生まれてきた子どもの両方が、慰謝料を請求できます。
交通事故当時は胎児であったとしても、実際に生まれてきた場合、子どもに対しても損害賠償請求権が認められるのです。何故なら、胎児は既に生まれたものとみなされると民法上で定められているからです。
慰謝料の金額は、障害の内容や程度の金額で変化はあるものの、後遺障害の等級を基準に算定されます。
【交通事故が原因で、切迫早産になった場合】
交通事故で切迫早産になった場合も、先程と同様の理由で、母親と生まれてきた子どもの両方が、慰謝料を請求できます。
しかし、これら3つの場合で慰謝料を請求する場合は、交通事故が原因であることを証明しなければなりません。
交通事故との因果関係を証明するにはどうするのか
流産や早産などの影響と交通事故の因果関係を証明する場合、以下のような判断要素があります。
- 母体の受傷部位
- 受傷直後の母体の様子
- 妊娠してからの経過期間
- 母体の年齢や出産経験 など
上記のような判断材料をもとに、産婦人科の医師の意見を交えて、交通事故との因果関係を考察することになります。
その他、交通事故の損害賠償について
交通事故の被害者は、慰謝料だけでなく、様々な費用を損害賠償として請求することができます。損害賠償とは、交通事故のような不法行為で受けた損害を加害者が、その損害の埋め合わせを金銭で行うことです。
積極損害
交通事故にあったことで、被害者が必要になった費用を補償するものです。
具体例は…
- 診察費
- 治療費
- 付添看護費
- 入院雑費
- 通院交通費
- 装具や器具の購入費 など
消極損害
交通事故にあわなければ、被害者が将来得るはずだった収入の減少分を補償するものです。
具体例は…
- 休業損害
- 逸失利益
これらの損害賠償を受け取るには、加害者の保険会社に請求をしなければなりません。交通事故にあったら、まずは加害者の保険会社に連絡しましょう。
まとめ
今回の記事のまとめは…
- 妊婦の方が治療をする場合、レントゲンや痛み止めのような薬は避けること。
- 交通事故が原因で流産になった場合、胎児自身に慰謝料請求権はない。
しかし、母親が胎児を失った悲しみの補償を慰謝料として請求することができる。 - 交通事故にあった場合、積極損害・消極損害・慰謝料の3つの損害賠償がある。
交通事故の被害者になった場合、参考にしてください。