交通事故にあって怪我を負った場合、診察代や治療費などの料金を病院で支払うことになります。しかし、この病院の料金は交通事故にあわなければ、支払うことのなかった料金です。被害者にとって、突如発生した病院の料金は大きな負担になってしまいます。
そこで今回は、「交通事故後に発生する病院の料金は、自己負担すべきなのか」という疑問に答えていきたいと思います。
もくじ
交通事故で怪我を負ったら
交通事故にあった場合、打撲やむちうち、骨折などの怪我を負う可能性があります。しかし、交通事故で負う怪我は、後遺症が残ってしまう恐れがあります。
後遺症が残らないようにするには、症状に適した治療・施術を、早期に行うことが大切です。交通事故による怪我は、事故直後に症状が現れないこともあります。ですが、痛みがなくとも、まずは医療機関を受診するようにしましょう。
上記のように後遺症を残さないためには、早期の治療・施術が大切です。
交通事故による怪我の通院について
交通事故による怪我で後遺症を残さないためには、早期の治療・施術が大切だといいました。交通事故で怪我を負った場合、以下の通院先に通うことをおすすめします。
- 整形外科
- 整骨院
- 鍼灸院
▶︎参考:3つの通院先の特徴について詳しく知りたい方はこちら
上記の通院先で治療・施術を受ける場合、2日に1回の頻度で通院するのが好ましいとされています。ただし、あくまで目安なので、担当医の指示に従って通院するようにしましょう。
また、交通事故による怪我の治療期間の目安は、以下の通りです。
- 打撲:1ヶ月
- むちうち:3ヶ月
- 骨折:6ヶ月
ただし、怪我の程度によって治療期間が変動するので、目安として頭に入れておいてくださいね。
交通事故後に発生した病院の料金は誰が支払う?
交通事故で怪我を負った場合、病院や整形外科、整骨院などで治療・施術を受けることになるでしょう。そのとき発生する料金は、被害者自身が負担する必要はありません。
交通事故で怪我を負った場合、加害者の自賠責保険を使うことができます。加害者の自賠責保険を使うことで、診察代や治療費などを加害者が負担してくれます。
そもそも自賠責保険とは、交通事故の被害者を救済することを目的とした保険で、車を運転する人は加入を義務づけられています。ただし、自賠責保険では最低限の保障しかされず、怪我に対して支払われる上限金額は120万円と決められています。
病院の料金が支払い上限金額の120万を超えたとしても、加害者が任意保険に加入していた場合は、任意保険から支払いを受けることができます。
加害者が負担してくれるのは、病院の治療で発生した料金だけではありません。
病院の料金以外に加害者に請求できるもの
被害者が加害者に請求できるものは、積極損害・消極損害・慰謝料と大きく分けて3つのものがあります。また、積極損害・消極損害・慰謝料の3つを合わせて、損害賠償といいます。病院で発生した料金は積極損害の1つで、詳しくは以下のようなものです。
- 治療費
- 診察代
- 手術費
- 器具や装具などの購入費 など
この損害賠償は、過失割合に応じて支払われます。そのため、過失割合がある場合は、損害賠償が減額されてしまいます。
損害賠償と過失割合の関係
自賠責保険の場合、被害者に7割以上の過失が認められると、以下のように損害賠償が減額されることになります。
被害者の過失割合 | 過失相殺によって減額される割合 | |
---|---|---|
後遺障害または死亡に係わる事故 | 傷害に係わる事故 | |
7割未満 | 減額なし | 減額なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 | |
9割以上10割未満 | 5割減額 |
したがって、過失割合に納得がいかない場合は、しっかりとその旨を加害者側に伝えるようにしましょう。
病院で発生した料金は打ち切りを打診される?
基本的に加害者側は、被害者が行った治療や診察にかかった料金を支払う責任があります。しかし、加害者側の保険会社に、病院で発生した料金の支払いの打ち切りを打診される可能性があるのです。
そもそも、交通事故による怪我は、被害者によって治療期間が異なります。そのため、加害者側の保険会社は、先程ご紹介した「打撲なら1ヶ月・むちうちなら3ヶ月・骨折なら6ヶ月」という治療期間の目安をもとに、治療が終わっているかの判断を行います。したがって、被害者が治療を終えていなくても、加害者側の保険会社が治療費の打ち切りを打診してくる場合もあります。
被害者で打ち切りのお悩みをお持ちの方は、弁護士に相談してみることをおすすめします。
▶︎参考:打ち切りの問題を弁護士に相談するメリットについてはこちら
交通事故後に病院で発生した料金を請求するには
交通事故の加害者に病院で発生した料金を請求するには、まず人身事故で処理されているかの確認を行いましょう。人身事故で処理されていなければ、自賠責保険の保障が受けられず、加害者に病院で発生した料金を請求することができません。もしも物損事故で処理されていた場合は、人身事故への切り替えを行うようにしてください。
▶︎参考:物損事故から人身事故へ切り替える手続きについてはこちら
また、通院を開始する前に保険会社への連絡を忘れないでください。保険会社への連絡を怠ってしまうと、加害者側の保険会社は、被害者が交通事故治療を行っていることを把握することができません。したがって、保険会社へ連絡する際は、通院先をしっかりと伝えることが大切です。
そして、加害者側に病院で発生した料金を負担してもらう場合、「加害者請求」または「被害者請求」を行う必要があります。
加害者請求
加害者請求とは、加害者が先に被害者へ損害賠償金を支払い、その後で保険金を保険会社に請求する方法です。
被害者請求
被害者請求とは、加害者側から賠償が受けられないとき、加害者が加入している保険会社に被害者が直接、損害賠償を請求する方法です。
被害者請求を行う場合は、以下の書類が必要になります。
保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書 |
人身事故の交通事故証明書 |
事故発生状況報告書 |
医師の診断書 |
診療報酬明細書 |
通院交通費明細書 |
本人確認のための印鑑証明書 |
この他にも、必要に応じてレントゲンやMRIなどの検査結果、休業損害証明書などを用意します。
交通事故後に病院で発生した料金のまとめ
いかがでしたか。交通事故にあい、病院で発生した料金は、被害者自身が負担する必要はありません。交通事故の加害者には、被害者に対して事故後に発生した病院の料金を支払う責任があります。したがって、被害者は病院で発生した料金を加害者に請求することができるのです。
ただし、交通事故後に病院で発生した料金を加害者に請求する場合は、手続きが必要になります。この記事を参考にして、早急に請求手続きを行いましょう。