信号待ちをしているところに、後続車に追突され交通事故の被害にあった。
交通事故直後、痛みもなく物損事故で処理した。ところが、3日後になって痛みがあらわれてきた。一度物損事故で処理していたため、慰謝料がもらえるのか不安に思っていた。
このようなお悩みありませんか。今回の記事では、物損事故で慰謝料を請求できるのかだけでなく、物損事故と人身事故の様々な違いを比較しながら解説していきます。
交通事故には2種類ある
交通事故には、以下のように物損事故と人身事故の2種類あります。
- 物損事故:怪我人がおらず、ものが壊れてしまった交通事故のこと。
- 人身事故:怪我人がいる交通事故のこと。
むちうちのような外傷がみられない怪我でも、人身事故として処理することが可能です。
物損事故と人身事故で加害者の処分が違う
交通事故の加害者は、3つの処分を負う責任があります。
3つの処分とは…
- 刑事処分:交通違反による罰金や懲役などによる処分のこと。
- 行政処分:免許の停止・取り消し、点数の加算などによる処分のこと。
- 民事処分:交通事故で被害者に与えた損害を、損害賠償金を支払い、償うこと。
しかし、物損事故か人身事故かで、課せられる処分が異なります。
物損事故
物損事故の場合、刑事処分や行政処分を課せられません。(飲酒運転や無免許運転の場合は、刑事処分や行政処分を課せられます。)したがって、課せられる処分は、ものを壊したことに対する損害賠償のみということになるのです。
人身事故
一方、人身事故の場合は刑事処分や行政処分、民事処分の3つが課せられるのです。特に、民事処分に関しては、壊したものの修理費用だけでなく、被害者の治療費や入院費、慰謝料などが必要になります。
交通事故の慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって負った、精神的苦痛に対して支払われるものです。これは、損害賠償の1つに入ります。
慰謝料を含めた交通事故の損害賠償は、以下の3つです。
- 積極損害:例)治療費、通院交通費、器具の購入費、付添看護費など
- 消極損害:例)休業損害、逸失利益
- 慰謝料:例)入通院慰謝料、後遺障害慰謝料
損害賠償も物損事故と人身事故で請求できるものが異なります。
物損事故
物損事故の場合、対物賠償保険を使い、壊れたものに対しての損害賠償金のみを請求できます。自賠責保険や対人賠償保険を使うことができないため、慰謝料も請求することができないのです。
人身事故
人身事故の場合は、怪我人がいるため自賠責保険や対人賠償保険をつかうことができます。そのため、慰謝料や治療費など物損事故で請求できなかった損害賠償金も請求することができます。
交通事故の場合、事故直後は身体が興奮状態にあるため、怪我の痛みに気づかないというケースも多いです。怪我に気づかず、物損事故で処理してしまた場合、後から出てきた怪我に対しての治療費や慰謝料を請求できないという状況になってしまいます。
一度、物損事故として処理したものを、人身事故へ切り替えることは可能なのでしょうか。
物損事故から人身事故へ切り替える方法
先程、人身事故は怪我人がいる事故だといいました。痛みがあれば、怪我人がいることになり、物損事故ではなく人身事故として処理することができるはずです。
人身事故へ切り替える手順は以下の通り。
- 病院や整形外科に行って、診断書をもらう
- 事前に警察署に連絡を入れ予約を取り、実況見分調書を作成してもらう
- 管轄警察署の交通捜査係に届けを出し、手続きを済ませる
しかし、人身事故へ切り替える場合は、10日以内に行う必要があります。10日を過ぎてしまうと、怪我が交通事故によってあらわれたものなのか、明白でないと疑われてしまうのです。したがって、なるべく早く人身事故へ切り替えるようにしましょう。
交通事故で物損処理した場合の慰謝料まとめ
今回の記事で、重要な点は…
- 物損事故では慰謝料を請求できない
- 物損事故で処理したが、後から痛みが出てきた場合は人身事故へ切り替えること
- 人身事故へ切り替える場合は、事故発生から10日以内に行うこと
後日痛みがでた場合は、この記事を参考にして人身事故へ切り替えるようにしましょう。