交通事故治療マガジン

弁護士特約を交通事故で使う方法!メリット・デメリットはある?

交通事故で発生する様々な問題は、弁護士へ相談・依頼することで、スムーズに解決できる可能性があります。しかし、弁護士へ相談すると、弁護士費用が発生してしまいます。しかし、弁護士特約へ加入している場合は、弁護士費用を補ってもらうことができます。

そこで今回は、弁護士特約について解説していきます。

弁護士特約とは

弁護士特約とは、自身の任意保険を契約する際につけることができる、特約の1つです。

弁護士に対して交通事故の問題を相談したり、示談交渉を依頼すると、弁護士費用が発生します。弁護士特約へ加入していると、弁護士費用を自身の保険会社が負担してくれるため、ほとんどの場合、被害者自身が弁護士費用を支払う必要がなくなります。

弁護士特約の利用率は低い?

弁護士費用を自己負担する必要がないというメリットから、弁護士特約への加入率は年々増え続けているといわれています。しかし、弁護士特約の利用率は、あまり高くないようです。

弁護士特約の利用率が低い理由には、以下のようなものがあります。

弁護士特約に加入しているのにもかかわらず、以上のような理由で利用しないということは、非常にもったいないことです。交通事故にあったら、自身の保険内容を見直し、弁護士特約を利用できるか確認してみましょう。

弁護士特約への加入確認方法

弁護士特約加入の有無については、保険会社からもらえる保険証券を確認することで、知ることができます。

保険証券とは、保険契約の成立や内容を明らかにするために、保険会社が発行する証券のことです。弁護士特約加入の有無は、保険証券の保険内容が記載されている欄で、確認することができます。

保険証券とは、保険契約の内容や条件などが記載されている書類であり、その保険内容の欄に弁護士特約に関する事項が記載されており補償されていることを確認することができれば、弁護士特約を利用できます。

弁護士特約の補償内容

弁護士特約の補償内容は、以下の通りです。

法律相談費用は10万円まで

被害者が損害賠償を請求する際に、被害者請求を行う際や、損害賠償請求書の作成費用など、弁護士に法律相談をした際の費用は、10万円まで補償されます。

▶︎参考:被害者請求の手続き方法や必要書類について、詳しく知りたい方はこちら!

弁護士の着手金費用は300万円まで

示談交渉や調停、訴訟などを弁護士に依頼した場合の、弁護士着手金や報酬金は、300万円を限度額として補償されます。

300万円を超えた場合の不足分は、被害者の自己負担となりますが、弁護士費用が300万円を超えることはそれほど多くないため、安心して良いでしょう。

弁護士特約の使い方

弁護士特約を利用する手順は、以下の通りです。

それでは、一つひとつの内容を詳しく見ていきましょう。

①交通事故に特化した弁護士を探す

交通事故の問題を依頼するのならば、交通事故に特化した弁護士に対応してもらうことが重要です。弁護士特約を利用したい際は、まず交通事故問題に強い弁護士を、被害者自身で探すところから始めましょう。

弁護士にも、それぞれ専門分野があります。被害者が加入している保険会社に依頼すると、提携している弁護士を紹介してくれますが、必ずしも交通事故に特化している弁護士であるとは限らないのです。

弁護士を探す際は、インターネットのホームページを見て、交通事故の実績が高い弁護士事務所を選ぶと良いでしょう。

②保険会社へ連絡

次に、自身が加入している任意保険会社へ、「弁護士特約を利用したい」という連絡を入れましょう。

この、「保険会社への連絡」を怠ってはいけません。基本的に、保険会社が弁護士特約の利用を断ることはありませんが、同意もなしに進めると、弁護士特約を利用できない可能性もあります。

③弁護士特約の利用を弁護士に相談

最後に、自身が探した弁護士へ、弁護士特約の利用について相談しましょう。
弁護士特約の利用に対応していない弁護士はほとんどいないため、了承してくれるでしょう。

弁護士特約の利用を弁護士に相談する際は、自身が加入している任意保険会社名も一緒に伝えます。後のやり取りは、弁護士と任意保険会社の間で行ってくれます。

弁護士特約が使える人

任意保険の契約をする際には、補償の中心となる「記名被保険者」という人を決める必要があります。弁護士特約の利用範囲は、「記名被保険者」を基本として考えられます。

弁護士特約を利用できる人は、以下の通りです。

記名被保険者

先ほども述べた通り、記名被保険者は補償の中心となる人であるため、弁護士特約を利用することができます。記名被保険者と契約者は、通常同一であることがほとんどです。

記名被保険者の家族や親族

記名被保険者の家族や親族には、以下のような人が含まれています。

契約自動車の同乗者

弁護士特約の契約者や配偶者、親族でなくても、契約車両に同乗していた友人や知人には、弁護士特約が適用されます。

契約自動車の所有者

弁護士特約に契約している自動車の所有者が、任意保険の加入者と異なっている場合は、所有者も弁護士特約を利用することができます。ただし、交通事故にあった車両が、弁護士特約の契約自動車である場合に限られています。

弁護士特約が使えないケース


以下のような場合は、弁護士特約を利用することができませんので、注意しましょう。

  • 被保険者の故意または重大な過失によって、その本人に生じた損害
  • 無免許運転、麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態での運転、酒気を帯びた状態での運転によって、その本人に生じた損害
  • 闘争行為、自殺行為、犯罪行為によって、その本人に生じた損害
  • 被保険者が次のいずれかの方に損害賠償請求を行う場合
  •  ①記名被保険者およびそのご家族
     ②被保険者の父母、配偶者または子
     ③ご契約のお車の所有者

  • 台風、洪水、高潮により発生した損害
  • 被保険者が所有、使用または管理する財物に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さびその他自然の消耗
  • 契約自動車の正規の乗車装置に搭乗していない場合や、極めて異常かつ危険な方法で自動車に搭乗中の場合
  • 日常生活の事故など、自動車にかかわる事故ではない場合
  • など

おとなの自動車保険|弁護士費用特約

弁護士特約を使うメリット・デメリット

弁護士特約を使った場合、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

弁護士特約を使うメリット

弁護士特約を利用することは、被害者にとって大きなメリットになる可能性が高いといえます。

弁護士特約を利用するメリットは、以下の4つ。

1. 被害者が費用を負担しなくてよい

弁護士特約を利用する最大のメリットは、被害者が弁護士費用を負担することなく、交通事故問題を弁護士に依頼・相談できることです。

弁護士特約に加入していない場合は、弁護士費用は被害者の自己負担となってしまいます。そのため、費用を節約しようと、弁護士に依頼せずに手続きを進める方も多いようです。しかし、弁護士特約に加入している場合は、弁護士費用を気にすることなく、弁護士に対応を依頼することができます。

2.費用倒れを防げる

物損事故や小さな人身事故では、被害者に支払われる損害賠償金額よりも弁護士費用の方が高額になってしまい、費用倒れしてしまう場合があります。

しかし、弁護士特約では、弁護士費用を負担してくれるため、費用倒れの心配をする必要がありません。弁護士特約の限度額は、300万円となっています。そのため、物損事故や小さな人身事故で、費用が足りなくなるということはまずないでしょう。

3.損害賠償金の増額が見込める

弁護士に示談交渉を依頼することで、損害賠償に含まれている慰謝料を、大幅に増額できる可能性があります。

慰謝料の計算には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という、3つの基準があります。この3つの基準の中で、最も高額な慰謝料になるのが「弁護士基準」です。

▶︎参考:慰謝料の種類や計算方法、3つの基準について、詳しく知りたい方はこちら!

弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士基準で慰謝料の計算がされるため、損害賠償金の増額を見込めるのです。

4.被害者のストレス軽減

交通事故にあってしまうと、加害者側の保険会社に損害賠償を請求する他にも、示談交渉や後遺障害等級認定の手続きなど、様々な手続きをしなければいけません。

「交通事故にあった」という事実だけでも負担であるのに、示談交渉や様々な手続きを行わなければいけないとなると、被害者にとって大きなストレスとなりますよね。

しかし、弁護士に対応を依頼することで、示談交渉を代わりに行ってくれたり、手続きの手助けを行ってくれます。そのため、被害者の肉体的・精神的ストレスはかなり軽減されるといえるでしょう。

弁護士特約を使うデメリット

弁護士特約のデメリットは、ほとんどないと言えます。強いて言うのならば、年間の自動車保険料の問題です。

保険会社にもよりますが、弁護士特約に加入すると、年間の保険料が1,500円程度上がることになります。

交通事故で弁護士特約を使うには

交通事故の示談交渉や様々な手続きは、弁護士に対応を依頼することで、スムーズに進む可能性があります。弁護士に交通事故問題を依頼・相談すると、弁護士費用がかりますが、弁護士特約に加入していることで、被害者が費用を負担する必要がなくなります。交通事故にあったら、弁護士特約への加入を確認した上で、弁護士へ対応を依頼しましょう。場合によっては、弁護士特約を利用できないこともあるので、注意してくださいね。