交通事故治療マガジン

交通事故にあったら労災と自賠責のどちらを使う?違いを解説!

交通事故で使える保険の選択肢に、労災保険と自賠責保険があったとき、「どちらの保険を使えばいいの?」と悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「労災保険と自賠責保険の違い」「どちらの保険を使うべきか」などについて解説していきます。

労災保険と自賠責保険は両方使えるの?

そもそも労災保険と自賠責保険の両方を使うことができるのでしょうか。
答えは…労災保険と自賠責保険の両方を使うことはできません。

2つの保険を使うことができない理由は、どちらも国が運営しているからです。

もしも労災保険と自賠責保険の2つを使用するとなった場合、国に対して二重に請求することになってしまうため、どちらか一つの使用とされています。

労災保険と自賠責保険の違い

先程、労災保険と自賠責保険は両方使えないことがわかりました。どちらを使うべきかの判断基準として2つの保険の違いをみてみましょう。

労災保険と自賠責保険で、保険の目的と加入する人について、以下の表にまとめました。

労災保険 自賠責保険
目的 勤務中や通勤中、交通事故や災害にあった労働者を守ること 交通事故にあった被害者を救済するため、最低限度の保障をすること
加入
する人
労働者(※1) 自動車を運転する人に
加入が義務づけられている

この表から自賠責保険は、自動車を運転する人が加入を義務づけられており、被害者であれば誰もが使える保険です。
一方、労災保険は、労働者が加入する保険で、通勤中または勤務中に起こった交通事故の場合にしか使うことができない保険です。そのため、労災保険は必ず使えるとは限りません。

※1 労働者を1人でも雇っている企業は加入し、社内で働く人全員に保険が適用されている。

労災保険と自賠責保険の補償・保障の違い

労災保険と自賠責保険は、補償・保障がそれぞれ異なります。

労災保険の補償範囲

労災保険の補償範囲は、以下の通り。

※3 休業3日目までは、平均賃金日額の6割の休業補償が支給される。休業4日目以降は、計8割のうち、給付基礎日額の6割が保険給付、残りの2割が特別支給金という休業補償が支給される。

その他にも、遺族補償給付・葬祭料給付・介護補償給付の補償が受けられます。

自賠責保険の保障範囲

自賠責保険の補償範囲は、以下の通り。

労災保険と自賠責保険はどちらを使う方がいい?

先程、労災保険と自賠責保険の違いをみてきましたが、結局どちらの保険を使えばよいのかわからないですよね。

基本的には、自賠責保険を使います。それは、交通事故の加害者が任意保険にも加入している人が多いからです。自賠責保険の保障する限度額を超えた場合は、任意保険によって補償されるため、最低限の保障だったとしても自賠責保険を使うべきなのです。
しかし、以下のような場合は労災保険を使った方がよいです。

労災保険と自賠責保険の請求手続き


労災保険と自賠責保険のどちらを使うか決めたら、請求手続きを行うことでしょう。労災保険と自賠責保険では、請求手続きが異なります。それぞれの請求手続きを解説していきます。

労災保険の請求手続き

労災病院・労災指定医療機関を受診するか、その他の医療機関を受診するかで、手続きの流れが異なります。

労災病院・労災指定医療機関を
受診する場合
他の医療機関を受診する
①労災病院・労災指定医療機関を受診 ①労災病院・労災指定医療機関以外の
医療機関を受診
②請求書類に記入 ②請求書類に記入
③受診した病院に、記入した書類を提出 ③労基署がその書類を受け取り、審査
④労基署がその書類を受け取り、審査 ④給付金の支払い
⑤給付金の支払い

請求書類は、給付金の種類によって書類の様式が異なり、提出先も異なりますのでしっかりと確認して提出しましょう。また、請求書類は厚生労働省のホームページで印刷ができ、書類の記入例も確認できます。また、各都道府県の労働基準監督署でも請求書類が入手できます。

※どちらの医療機関を使うかで、治療費の立て替えが必要な場合があります。

自賠責保険の請求手続き

自賠責保険を使う場合、以下のように2つの請求手続きがあります。

▶︎参考:自賠責保険での請求に必要な書類についてはこちら

労災保険と自賠責保険は場合によって使い分けましょう

いかがでしたか?基本的に自賠責保険を使い、場合によって労災保険を使うというようにするのがよいでしょう。
労災保険を使ったほうがよい場合は…

上記の3つです。
もしも労災保険と自賠責保険の選択を悩んでいたら、この記事を参考にしてくださいね。