交通事故の怪我にも生命保険が使える!自賠責との二重取りは可能?

2019年02月01日

車一台通るのも大変な狭い山道を友人と散歩していたときのこと。
山の中腹で軽トラックがバックをしていたため、道の脇に友人と2人で突っ立っていた。軽トラックは、アクセルを踏みすぎたのか、結構なスピードで後ろに下ってきた。車道側にいた自分は、その軽トラックと接触して転倒した。

転倒したことにより、手首を骨折し、全治2ヶ月の怪我を負った。加害者の保険会社に治療費や慰謝料を請求する手続きを終えていた。

ある日息子に「交通事故で入院や通院したときに使う保険って、生命保険じゃないの?」といわれて、「確かに、生命保険も入院や通院したら給付金が受け取れるよな。」と自分も疑問を感じた。

このような疑問ありませんか?今回の記事では、

  • 交通事故の怪我でも生命保険は使えるのか
  • 交通事故の怪我に使える生命保険の特約
  • 生命保険を使っても保険料は上がらないのか
  • 交通事故で生命保険を使う場合の手続き

について説明していきます。

交通事故の怪我でも生命保険は使える?

そもそも生命保険とは、日常生活を送る上で起こりうる病気・怪我などによって引き起こされる経済的負担や損失などに備えるためのものです。交通事故も日常生活を送る上で起こりうるもので、怪我を負ったり、治療費を支払ったりなど損失が出ます。したがって、交通事故の場合でも、生命保険を使うことが可能なのです。

生命保険は、大きく分けて「死亡保証」と「医療保証」の2つに分類されています。

  • 死亡保証:契約者が死亡した場合に支払われる。
  • 医療保証:契約者が病気や怪我などを負い、治療をした場合に支払われる。

生命保険以外に交通事故で使える保険一覧

生命保険以外にも交通事故で使える保険があります。

自賠責保険

車を運転する人が必ず加入しなければならない強制保険です。交通事故の被害者を救済することを目的に、最低限の保障をしてくれます。そのため、支払われる保障金額には120万円という上限があります。

任意保険

自賠責保険でカバーできない部分を補償してくれる保険です。車を運転する人が任意保険に加入するかどうかを自由に決めることができます。

労災保険

勤務中や通勤中に、交通事故で怪我を負った労働者に対して、必要な保険給付を行う制度です。労災保険は労働者を一人でも雇っている会社が加入するもので、会社で働くすべての労働者に適用されます。また、労災保険を使用した場合の保険料は、会社が負担することになっています。

健康保険

病気や怪我を治療する際に必要となった費用の一部を、国や会社などが負担する保険です。ただし、健康保険で治療を受ける場合は、「第三者行為による傷病届」が必要になります。

▶︎参考:第三者行為による傷病届について詳しく知りたい方はこちら。

自賠責保険と生命保険2つを一緒に使えるのか

「加害者の自賠責保険と自分が加入している生命保険の2つを一緒に使っていいのだろうか。」と悩むかもしれません。自賠責保険と生命保険は、一緒に使うことができます。

生命保険は、自身で契約して保険料を支払っているため、保証を受ける権利があります。
また、自賠責保険は、加害者が負うべき処分である民事処分にあたります。民事処分とは、交通事故で負った被害者の損害を金銭(=損害賠償)で補填することです。そのため、加害者は損害賠償を支払う義務があるのです。

交通事故の怪我に使える生命保険の特約とは?

生命保険には、交通事故の怪我に使える特約(※1)が4つあります。

  • 災害入院特約
    交通事故やスポーツなどの不慮の事故で怪我を負い、入院した場合に支払われる。
  • 災害割増特約
    交通事故やスポーツなどの不慮の事故で死亡した場合に、死亡給付金を上乗せして支払われる。
  • 傷害特約
    交通事故やスポーツなどの不慮の事故で死亡した場合に、死亡給付金を上乗せして支払われる。また、所定の障害状態(※2)になった場合は、その障害の程度に応じて給付金が支払われる。
  • 特定損傷特約
    交通事故やスポーツなどの不慮の事故で骨折、脱臼、腱の断裂をしてしまったときに一時金が支払われる。

※1 特約とは、保険を契約する場合にあらかじめついている保証ではなく、保証内容を充実させるために追加して契約するものです。
※2 所定の障害状態については、各保険会社で決められているものなので、自身が加入している保険会社でご確認ください。

生命保険を使っても保険料は上がらない?

任意保険の場合、「事故を起こして、保険を使った場合に保険料が上がる」というノンフリート等級の制度が設けられています。しかし、生命保険は、保険を使っても使わなくても保険料が変動することはありません。

~生命保険の保険料について~
生命保険の終身タイプで契約した場合は、保証内容を変更しない限り、保険料が変動することはありません。また、生命保険の定期タイプで契約した場合は、更新時以外で保険料が変わることはありません。

交通事故で生命保険を使う場合の手続き

交通事故で生命保険を使う場合の手続きは、以下の通り。

  • ①自分が加入している生命保険会社に連絡する。
  • ②生命保険会社から届いた書類を医師のもとへ持って行き、診断書を書いてもらう。
  • ③生命保険の給付金を受け取るために必要な書類と診断書を集め、保険会社に送付する。
  • ④生命保険会社は、送られてきた書類をもとに、支払いの審査を行う。
  • ⑤給付金が支給される。

上記のような手順で、生命保険の給付金が支給されるため、生命保険の契約者に給付金が支払われるまで、1ヶ月を超える場合もあります。

交通事故で生命保険が使えるのかのまとめ

いかがでしたか。生命保険は、日常生活を送る上で起こりうる病気・怪我などによって引き起こされる経済的負担や損失などに備えるためのものです。そのため、交通事故の場合でも使うことができます。また、生命保険と自賠責保険を一緒に使うことも可能です。

交通事故の被害にあったとき、十分な保証・保障を受けるためにも、交通事故で使う保険選びは慎重に行うようにしましょう。