交通事故には、衝突事故や出会い頭事故など様々ありますが、追突事故が全体の4割を占めているといいます。もしも、自分が追突事故の被害者になってしまったら、どのような行動を取ればよいのでしょうか。今回は、追突事故発生後の流れについて解説していきます。
もくじ
追突事故にあってしまったらまずすべき事
追突事故にあってしまったらまずすべき事は、以下の4つ。
- 1.警察へ連絡
- 2.加害者の情報を確認
- 3.保険会社へ連絡
- 4.病院を受診する
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
まずは警察へ連絡
追突事故が発生したら、どんなに小さな事故でも警察へ連絡する必要があります。事故後に警察へ連絡することは、法律で義務付けられています。
警察が到着すると、事故現場で実況見分が行われます。余裕がある場合は、被害者自身も事故現場の記録を行いましょう。車の破損箇所や道路状況などを撮影しておくと、その記録を証拠として使うことができます。
加害者の情報を確認
追突事故では、被害者の過失割合が0である場合がほとんどです。したがって、被害者自身が加害者本人または加害者側の保険会社とやり取りを行わなければいけません。
加害者と連絡を取れるよう、加害者の情報をしっかりと聞いておきましょう。
確認しておくべき加害者の情報
- 加害者の氏名、住所、電話番号
- 加害者が働いている会社
- 加害者が加入している保険会社
保険会社へ連絡
先ほども述べたように、追突事故では被害者の過失が0の場合が多く、被害者自身が加害者側の保険会社とやり取りしなければいけません。
また、損害賠償の支払いは、基本的に加害者側の保険会社から行われます。したがって、追突事故が起きたことを、加害者側の保険会社に連絡する必要があります。
また、加害者側だけでなく、被害者自身の保険会社にも連絡しておきましょう。場合によっては、被害者自身の保険を使うこともあります。
病院を受診する
追突事故にあったら、必ず病院に行き、医師の診断を受けましょう。軽い追突事故の場合、事故直後に痛みがあらわれないこともありますが、実は大きな怪我を負っている可能性もあります。
追突事故から時間が経過した後に痛みがあらわれ、病院へ行ったとしても、事故と怪我との因果関係を疑われてしまうことがあります。「交通事故による怪我」ということを明確にできない場合、加害者側の保険会社に対して損害賠償を請求できなくなる可能性があります。
追突事故で多い怪我「むちうち」とは
追突事故で負う怪我では、むちうちが最も多いといわれています。むちうちとは、交通事故やスポーツなどの衝撃で首に不自然な力が加わり、靭帯や筋肉が損傷されることで症状が引き起こります。
むちうちの種類別症状
むちうちの症状は、以下4つの種類に分けることができます。
- 頚椎捻挫型
- バレー・ルー症候群
- 神経根症状型
- 脊髄症状型
それでは、むちうちの種類別症状を詳しく見ていきましょう。
頚椎捻挫型
むちうちを負う7〜8割の人が、頚椎捻挫型になるといわれています。首の筋肉や靭帯が損傷されることで、首や肩に痛みがあらわれます。また、肩が張ったり、背中にコリを感じることもあります。
バレー・ルー症候群
バレー・ルー症候群は、首に受けた衝撃によって自律神経が損傷されてしまった場合に症状があらわれます。主な症状は、めまいや耳鳴り、息苦しさなどがあります。
神経根症状型
神経根症状型は、追突事故の衝撃が、神経を支える根元部分を傷つけてしまった場合に症状があらわれます。神経根症状型では、首の痛みのほかに腕の痛みやしびれ、倦怠感などの症状があらわれます。
脊髄症状型
脊髄症状型は、交通事故の衝撃によって、脊髄を損傷してしまった場合に症状があらわれます。むちうちの症状の中で最も重症であるといわれており、体の麻痺や知覚異常、歩行障害などの症状があらわれます。
追突事故後の通院先はどこに行くべき?
追突事故で怪我を負ってしまったら、どこに通院し、治療を受けたらよいのでしょうか。
ここでは、追突事故後の通院先について、詳しく解説していきます。
まずは病院の整形外科を受診
追突事故にあい、むちうちのような症状があらわれている場合は、病院の整形外科を受診しましょう。頭を打ってしまった場合は、脳が損傷された可能性があるため、脳神経外科へ行くとよいでしょう。
整形外科では、レントゲンやMRIなどで骨の検査を行い、必要な場合は手術を行います。また、整形外科では痛み止めや湿布など、薬の処方も行ってくれます。
診断書の取得を忘れずに
整形外科を受診したら、医師に診断書を作成してもらいましょう。診断書は医師のみが作成できる書類で、追突事故で負った怪我の症状や病名、治療期間の見通しなどが詳しく記載されています。診断書を取得することで、交通事故と怪我との因果関係を明確にすることができます。追突事故後は必ず医師のいる病院に行き、診断書の取得を行いましょう。
整骨院への通院も可能
追突事故によるむちうちは、レントゲンやMRIに症状が写らないこともあります。そのため、整形外科では異常なしと判断されてしまい、経過観察のみでなかなか症状が緩和されない、というケースもあるようです。
整形外科へ通院を続けても症状が緩和されない場合は、整骨院と併用して通うことを検討してみましょう。整骨院では、柔道整復師が体に直接触れて施術を行ってくれるため、整形外科では見つけられなかった症状も見つけられる可能性があります。
通院時間の融通が効く整骨院もある
仕事の都合や予定で忙しいと、平日の通院が難しかったり、夜遅くでなければ通えないということもあるでしょう。
整骨院によっては、夜遅くまで施術を行っていたり、土日も営業しているところもあります。整形外科とうまく併用しながら通院することで、怪我の緩和を早めることができるかもしれません。
鍼灸院での施術が効果的な事も
むちうちの症状には、鍼や灸を用いた施術が効果的な場合もあります。
人間の体には、約360以上のツボがあるといわれています。このツボに対して鍼や灸で刺激を与えると、リンパや血液の流れが良くなり、症状の緩和が期待できるといわれています。
怪我の治療費は誰が負担するの?
追突事故で体に受けた衝撃が大きく、治療が長引いてしまった場合、治療費の支払いについて心配になる方も多いかと思います。
追突事故で負った怪我の治療費は、加害者に損害賠償として請求することができます。損害賠償とは、不法行為によって被害者が負った様々な損害を、加害者が金銭で補うことです。
被害者は、加害者に対して「積極損害」、「消極損害」、「慰謝料」3つの損害賠償を請求することができます。
積極損害
積極損害とは、交通事故によって被害者の出費が余儀なくされた場合に、発生する損害です。
積極損害として請求できる費用には、以下のようなものがあります。
- 治療費
- 通院交通費
- 手術費
- 入院費
- 入院雑費
- 付添看護費 など
消極損害
消極損害は、交通事故にあったことによって、被害者が本来得られるはずであった収入や利益が減少した場合に発生する損害です。
消極損害として請求できるものには、「休業損害」と「逸失利益」があります。
休業損害とは
事故が原因で仕事を休まなければいけなくなり、被害者の収入が減少してしまった場合の減収分を補償。
逸失利益とは
事故の怪我が後遺障害になってしまったことで被害者の労働能力が低下し、以前のように働けなくなってしまった場合、損失してしまった分の収入を補償。
慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。
追突事故でむちうちを負った場合、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」を請求することができます。
入通院慰謝料とは
怪我の治療で入院や通院をする際に、被害者が感じた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料。
後遺障害慰謝料とは
追突事故の怪我が後遺障害になってしまったことで、被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったもの。1〜14級まである後遺障害等級によって、被害者に支払われる金額は異なります。
追突事故の示談交渉をする際の注意点
被害者が損害賠償を受け取ることができるのは、加害者側の保険会社との示談が成立した後です。
一度成立した示談は、原則としてやり直すことができません。示談を行う際の注意点をしっかりと把握し、損をしないようにしましょう。
追突事故直後に示談することは避ける
追突事故直後に、加害者と示談を行ってはいけません。事故直後に、被害者と加害者同士で示談を行ってしまった場合、被害者が適切な損害賠償を受け取れなくなる可能性があります。また、事故から時間が経った後に怪我の症状があらわれても、示談が終了してしまっていると、治療費の支払いを受けることもできません。
示談を行うタイミングは、怪我の治療が終了した後、または後遺障害等級認定の審査結果が出た後です。
▶︎参考:後遺障害等級認定の申請方法について知りたい方はこちら
不安な場合は弁護士に対応を依頼!
追突事故では、被害者の過失が認められない場合がほとんどです。過失が認められないと、被害者側の保険会社は、示談交渉に関わることができません。そのため被害者自身が、加害者側の保険会社と示談交渉を行わなければいけません。
交通事故の示談交渉に慣れている保険会社とやり取りするのは、被害者に対して大きな負担となるでしょう。示談交渉を1人で行うのが不安な場合は、弁護士に対応を依頼すると良いでしょう。
▶︎参考:弁護士に交通事故の対応を依頼する際の弁護士特約とは?
追突事故にあったらすべき事まとめ
追突事故にあってしまったら、まずは警察へ事故の報告を行いましょう。また、保険会社への連絡も忘れないようにしましょう。被害者に過失がない場合は、被害者自身が加害者側の保険会社とやり取りを行うことになります。一人で不安な場合は交通事故に詳しい弁護士へ対応を依頼し、アドバイスをもらうとよいでしょう。