追突事故の加害者になってしまった場合、様々な処分を受けなければなりません。そのうえ、「怪我の治療」「被害者とのやりとり」など、やるべきことが多いため頭の整理が追いつかないこともあるでしょう。
そこで今回は、追突事故の加害者がすべき対応の流れや怪我の治療などについて解説していきます。
追突事故の加害者になってしまったら…
追突事故の加害者になってしまった場合、加害者の過失割合は基本的に100%になります。
もしも追突事故の加害者になってしまった場合は、まず以下のような対応を行いましょう。
- ①怪我人を救護する
- ②道路の安全を保つ
- ③警察に連絡する
- ④事故現場を記録する
- ⑤連絡先を交換する
- ⑥保険会社に連絡する
- ⑦被害者のお見舞いや謝罪をする
上記にある「怪我人を救護する」「道路の安全を保つ」「警察に連絡する」という3つの対応は、必ず行わなければいけません。なぜなら、この3つの対応は、道路交通法で定められた義務です。もしこの3つの対応を怠ってしまった場合、以下のような罰則を受けることになります。
対応 | 罰則 |
---|---|
怪我人を救護する | 5年以下の懲役または50万円以下の罰金(※1) |
道路の安全を保つ | |
警察に連絡する | 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
※1 ただし、人身事故において自分の運転が事故の原因だった場合、10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
▶︎参考:事故後の加害者対応について詳しく知りたい方はこちら
被害者のお見舞いや謝罪はどのように行う?
先程述べた、加害者がすべき対応の中に、「⑦被害者のお見舞いや謝罪をする」とありました。加害者になってしまった場合、被害者のお見舞いや謝罪することは、とても大切なことです。その理由としては、「示談交渉がスムーズに進む」「刑事処分や行政処分が軽くなる」といったメリットがあるからです。
しかし、事故の加害者になることはごく稀なケースであるため、どのようにお見舞いや謝罪をすればよいのでしょうか。加害者がお見舞いや謝罪を行う際の手順は、以下の通り。
- ①まず、自分が加入している任意保険会社に連絡する
- ②先に、被害者にアポイントを取る
- ③実際に被害者のお見舞いや謝罪に行く
①まず、自分が加入している任意保険会社に連絡する
被害者のお見舞いや謝罪は、なるべく早く行うことが大事ですが、まずは自分が加入している任意保険会社へ連絡を入れましょう。
各保険会社によって、事故の当事者同士が直接接触することを禁じている場合があるのです。また、任意保険会社の担当者が同席することが条件で、お見舞いや謝罪が許可されることもあります。
したがって、まずは自分が加入している保険会社に連絡を入れるようにしましょう。
②先に、被害者にアポイントを取る
被害者のお見舞いや謝罪をする場合、先に被害者に電話でアポイントを取るようにしましょう。被害者にアポイントを取る際は、以下のようなことを伝えます。
- ①今回の事故に対する謝罪をする
- ②相手の体調を伺い、気遣う
- ③お見舞いや謝罪をしたい旨を伝え、訪問の許可や時間帯を伺う
- ④もう一度謝罪をする
また、被害者に電話でアポイントを取る際に、電話をかける時間帯や言葉の使い方などに注意するようにしましょう。
③実際に被害者のお見舞いや謝罪に行く
実際に被害者のお見舞いや謝罪に行く場合、派手な服装は避け、なるべく落ち着いた服装で訪問するようにしましょう。また、お見舞いや謝罪に行く場合は、菓子折りを持参することをおすすめします。
▶︎参考:お見舞いや謝罪の際に持参する菓子折りの選び方についてはこちら
加害者は被害者に損害賠償を支払う
加害者になってしまった場合、被害者に損害賠償を支払うことになります。このことを民事処分といいます。その他にも加害者は、刑事処分や行政処分を受ける場合があります。
加害者が被害者に支払うべき損害賠償は、大きく分けて以下の3つ。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
基本的に被害者は自賠責保険を使うことになりますが、自賠責保険には支払い上限額が120万円と決められています。その上限額を超えてしまった場合は、加害者が加入している任意保険から支払われることになります。
ただし、加害者が任意保険に加入していなかった場合は、加害者が自費で被害者に損害賠償を支払うことになります。
追突事故の加害者も怪我を負うことがある
追突事故で怪我を負うのは、被害者だけとは限りません。加害者も追突事故で怪我を負う可能性があります。
追突事故で負う怪我とは?
追突事故で最も多い怪我は、「むちうち」といわれています。むちうちとは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の靱帯や筋肉などが損傷し、様々な症状があらわれます。
むちうちであらわれる症状としては、以下の通り。
- 首の痛み
- 肩のこり
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 吐き気
- 聴覚障害
- 手足のしびれ など
上記のように、むちうちの症状は外傷がみられないため、判断が難しいと思います。事故後、身体に違和感がある場合は、病院で診てもらうことが大切です。
加害者が使える保険と補償内容
事故の被害者は、加害者の保険を使うことになりますが、加害者の場合は自分が加入している保険を使います。ただし、自賠責保険は被害者を救済することを目的とした保険であるため、加害者は使うことはできません。
加害者が使える保険としては、任意保険の人身傷害保険というものです。
人身傷害保険とは
人身傷害保険とは、相手の有無や過失割合に関わらず、被保険者が事故で怪我を負った場合に使える保険のことです。保険の契約時に決められた基準額に基づき、事故で受けた損害分を保険会社から保険金で補填されます。
追突事故の加害者についてのまとめ
いかがでしたか。追突事故を起こした場合、加害者は以下の対応をとるようにしましょう。
- ①怪我人を救護する
- ②道路の安全を保つ
- ③警察に連絡する
- ④事故現場を記録する
- ⑤連絡先を交換する
- ⑥保険会社に連絡する
- ⑦被害者のお見舞いや謝罪をする
また、加害者でも怪我を負うこともあるため、その場合はすぐに病院へ行ってください。加害者の場合は、任意保険の人身傷害保険を使い治療を受けられるので、金銭面の負担を軽減させることができます。