交通事故の加害者になってしまったら、被害者に対して損害賠償を支払わなければいけません。また、場合によっては免許停止となったり、刑事罰が科せられることもあります。
交通事故の加害者は様々な法的責任を負わなければいけませんが、弁護士に相談することで責任の重さが軽減することもあります。
そこで今回は、
- 交通事故の加害者が負う法的責任
- 交通事故の加害者が弁護士へ相談することのメリット
- 弁護士に対応を依頼した時の「弁護士費用」について
などについて解説していきます。
もくじ
交通事故の加害者が負う法的責任
交通事故を起こしてしまい、相手に怪我を負わせてしまったら、加害者は3つの法的責任を負わなければいけません。
- 民事上の責任
- 行政上の責任
- 刑事上の責任
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
民事上の責任
民事上の責任とは、いわゆる「損害賠償」のことをいいます。損害賠償とは、交通事故の被害者が負った様々な損害の埋め合わせを、加害者が行うことです。
交通事故の加害者が被害者に対して支払うべき損害賠償は、以下の3つ。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
交通事故によって被害者が出費を余儀なくされた場合に発生する損害。
交通事故が原因で、被害者が本来得られるべき収入や利益が減少した場合に発生する損害。
交通事故にあったことによって被害者が受けた精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったもの。
▶︎参考:交通事故で発生する損害賠償について、詳しく知りたい方はこちら!
行政上の責任
交通事故を起こすと、加害者の免許に違反点数が加算されます。違反点数は決められた期間で累積されていき、一定数に達した場合、加害者に対して行政処分が行われます。
交通事故の加害者に課せられる行政処分は、2つ。
- 免許停止
- 免許取り消し
免許停止の期間や免許取り消しとなった場合の対処方法について、詳しくは以下のリンクをご覧ください。
▶︎参考:交通事故の行政処分について詳しく知りたい方はこちら!
刑事上の責任
交通事故を起こし、相手が死傷してしまった場合、加害者に対して刑罰が科せられる可能性があります。
交通事故の加害者に科せられる刑罰は、2つ。
- 過失運転致死傷罪
- 危険運転致死傷罪
7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金刑。
被害者が怪我をした場合は、15年以下の有期懲役。死亡している場合は1年以上20年以下の有期懲役。
▶︎参考:交通事故の加害者が負う刑事責任について、詳しく知りたい方はこちら!
交通事故の加害者は弁護士に相談すべき?
交通事故の加害者が、被害者に発生した損害を補うことは当然のことといえます。しかし、交通事故に慣れていない加害者が自力で対応してしまうと、加害者に対して不利益が生じてしまう可能性があります。
交通事故の加害者に対して必要以上の責任が課せられ、損をしてしまうことを防ぐためには、弁護士に対応を依頼するとよいでしょう。
加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社と提携している弁護士を紹介してもらえる場合があります。しかし、任意保険会社の弁護士は、加害者に発生する民事上の責任のみの対応しか行ってくれない場合がほとんどです。
一方で、加害者自身で弁護士を探し依頼した場合は、民事上の責任だけではなく刑事上・民事上の責任に対する対応も行ってくれます。加害者が交通事故の対応を弁護士に依頼する際は、どこまで弁護してほしいのか、必要性を確認してからにしましょう。
交通事故の加害者が弁護士へ相談することのメリット
交通事故の加害者が弁護士へ対応を依頼した場合、加害者は様々なメリットを得られる場合があります。
どのようなメリットがあるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
加害者が負担する損害賠償の減額
加害者が任意保険に加入している場合、損害賠償を支払うのは保険会社であるため、加害者本人に対する直接的な利益にはつながらないでしょう。しかし、加害者が任意保険に未加入の場合、自賠責保険の限度額を超えた分は、加害者本人が被害者に対して支払わなければいけません。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼していると、加害者が負担する損害賠償額を出来る限り少なくしてもらえるよう交渉を行ってくれます。
行政処分が軽減することもある
交通事故における行政処分は、告知聴聞によって運転者の主張を聞いた後に判断されます。
告知聴聞の際に弁護士が介入すると、加害者の過失や示談交渉の経緯を主張立証してくれるため、想定されていた免許処分よりも軽減される可能性があります。
加害者に科せられる量刑への影響
交通事故の刑事責任においても、弁護士に相談することで加害者に科せられる量刑が軽減される可能性があります。
刑事責任については弁護士が直接介入するわけではなく、検察官や裁判官に対して加害者がとるべき適切な対応をアドバイスすることを意味しています。
弁護士に対応を依頼した時の「弁護士費用」について
交通事故の対応を弁護士に依頼すると、弁護士費用が発生します。交通事故の加害者が対応を弁護士に依頼し、弁護士費用が発生した場合、金額はどのようにして決まるのでしょうか。
加害者が任意保険に加入しているか
交通事故の加害者が任意保険に加入している場合、民事上の責任については保険会社が提携している弁護士を紹介してもらうことができます。また、弁護士費用の支払いも任意保険会社が負担してくれます。
弁護士費用は弁護活動の範囲で変わる
弁護士費用の金額は、損害賠償の面のみで依頼するのか、刑事事件に関しても対応を依頼したいのかなど、交通事故の対応をどこまで弁護士に依頼するかによって異なります。
具体的な金額は各弁護士事務所によって違うため、弁護士とよく相談するようにしましょう。
加害者に発生する弁護士費用の支払い方法
加害者が弁護士費用を負担する場合は、ほとんどのケースが「前払い」となっています。
弁護士費用には着手金や成功報酬、日当、実費がありますが、着手金と成功報酬は「預り金」という形で前払いになることがほとんどです。そして、交通事故の問題が解決した後に着手金と成功報酬の計算が行われ、預り金の中から弁護士費用が清算されます。
交通事故の対応に困ったら弁護士へ相談
交通事故が発生したら、加害者であっても弁護士へ相談することができます。交通事故の加害者は被害者が受けた損害を補う義務がありますが、加害者が自力で対応してしまうと必要以上の責任を負うことになる可能性があります。適切な処理を行うためには、弁護士に対応を依頼するとよいでしょう。