交通事故で前科がついていても海外旅行はできる?

2018年11月09日

交通事故を起こし相手に怪我を負わせてしまった場合、加害者は刑事罰によって処分され、前科が残る場合があります。

前科がついてしまうと、加害者の今後の生活に影響をもたらすことがありますが、海外旅行をすることはできるのでしょうか。

今回は、

  • 交通事故の加害者が受ける刑事罰
  • 前科がある人は海外旅行へ行けるのか
  • 前科の有無はどうやって確認される?

などについて、詳しく解説していきます。

交通事故の加害者が受ける刑事罰

交通事故で人が怪我を負ったり死亡してしまう事故を、「人身事故」といいます。人身事故を起こしてしまったら、加害者に対して刑罰が科せられる可能性があります。

刑罰は、以下の3つに分けることができます。

  • 懲役刑
  • 禁固刑
  • 罰金刑

それぞれどのような刑罰なのか、見て行きましょう。

懲役刑

交通事故によって有罪判決を受けた者が30日以上刑務所に拘束され、刑務作業を行う刑罰。

禁固刑

交通事故によって有罪判決を受けた者が、30日以上刑務所に収容される刑事罰。懲役刑と違い、刑務作業を行う義務はありません。

罰金刑

交通事故によって有罪判決を受けた者に対して、一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰。

前科がある人でも海外旅行へ行ける?

交通事故で刑罰を受けると、加害者に前科がつくことになります。前科とは、「裁判によって有罪判決を受けた」という経歴のことです。

前科がついてしまった場合、「海外旅行へ行けるの?」「入国拒否されてしまうんじゃないか…」と疑問や不安を持つ方もいるのではないでしょうか。

ここでは、「交通事故で前科がついていても海外旅行へ行けるのか」について解説していきます。

禁固以上の刑でなかったら入国拒否されない

刑罰の重さは、懲役刑禁固刑罰金刑の順になっています。

海外旅行をする際、禁固刑以上の前科でなかったら、基本的に入国拒否されることはありません。したがって、罰金刑の前科がついている場合では、問題なく海外旅行へ行けることがほとんどです。

アメリカの入国審査は厳しい

しかし、アメリカへの入国は、ビザがないと不可能です。
禁固刑以上の前科がある場合、アメリカ政府による審査が通らなければ、ビザの発給はされません。

詳しい発給方法は、以下の通りです。

  • ①有罪判決を受けた裁判所で判決謄本を取得する
  • ②アメリカの大使館に判決謄本とビザの申請書を提出
  • ③アメリカ政府による審査が通ったら、ビザが発給される

アメリカ政府から審査結果が出るには、数週間の期間を要します。したがって、アメリカ旅行へ行く際は、余裕を持ってビザ発給の手続きをしなければいけません。また、審査結果によってはビザが発給されないこともあるため、チケットの購入は結果が出てからにした方がよいでしょう。

交通事故による前科の有無を確認するには?

「自分に前科がついていることを、他の人や機関が知ることはできるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

前科の情報は、「警察」、「検察」、「本籍のある地方自治体」によって保存されていて、主に治安維持や犯罪の分析、判例を保存するために使われます。機密情報であるため、たとえ本人であっても開示することはできません。

旅行先の国が入国希望をする者の前科を調べるためには、日本大使館を通して問い合わせを行う必要があります。入国希望者が大勢いる中で、一人一人の前科を調べるかといったら、その可能性は極めて低いでしょう。

したがって、前科がついているということを自ら申告しない限りは、他の国や人に知られることはありません。しかし、入国審査が厳しい国に対して前科を隠してはいけません。もしも知られてしまったら、アメリカの場合、永久に入国することができなくなってしまいます。

交通事故で前科があっても海外旅行はいける

いかがでしたでしょうか。刑罰の種類によっては入国を拒否されたり、ビザの発給手続きが困難な国もありますが、前科がついていても基本的に海外旅行はできます。前科は基本的に知られることはありませんが、隠して海外旅行をすることは避けましょう。