交通事故治療マガジン

交通事故の加害者はどんな罪に問われる?刑罰の内容を教えて!

交通事故の加害者になってしまう可能性は誰にだってあるものです。もしも交通事故の加害者になってしまったら「どんな罪に問われ、どんな刑罰を受けることになるのか…。」と不安になりますよね。

そこで今回は、交通事故の加害者が問われる罪や受ける刑罰、執行猶予などについて解説していきます。

交通事故の加害者が問われる罪とは

交通事故の加害者になってしまったときに、問われる罪は大きく分けて以下の2つです。

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪とは、車を運転する人が危険な運転をしたことにより、人を死傷させたときに問われる罪です。被害者が死亡してしまった場合は「1年以上の有期懲役」、被害者が怪我を負ってしまった場合は「15年以下の懲役」という刑罰を受けます。

危険運転致死傷罪は、さらに細かく分かれており、 以下の5つのものがあります。

罪の名称 どんな場合に該当するか
酩酊運転致死傷(めいていうんてんちししょう) アルコールまたは薬物の影響により、正常な運転が難しい状態で車を運転した場合
薬物運転致死傷
準酩酊運転致死傷(じゅんめいていうんてんちししょう) アルコールまたは薬物の影響により正常な運転に支障が出る危険性を認識しているにも関わらず、車を運転してしまい、正常な運転が難しい状態に陥った場合
準薬物運転致死傷
病気運転致死傷 特定疾患(※1)の影響により車を正常に運転できない危険性を認識しているにも関わらず、車を運転してしまい、正常な運転が難しい状態に陥った場合

※1 このときに該当する特定疾患は、以下のものです。

過失運転致死傷罪

過失運転致死傷罪とは、車を運転する際に必要な注意を怠り、人を死傷させたときに問われる罪です。この場合、「7年以下の懲役もしくは禁固」または「100万円以下の罰金」という刑罰を受けます。

交通事故の加害者が受ける刑罰の内容

先程述べたように、交通事故の加害者が罪に問われた場合、「懲役・禁固・罰金」といった刑罰を受けることになります。しかし、どのような刑罰なのでしょうか。一つひとつご紹介します。

これらの刑罰は、「刑事処分」にあたります。交通事故の加害者は、刑事処分の他にも「民事処分・行政処分」といった処分を受けることになります。

▶︎参考:民事処分や行政処分について詳しく知りたい方はこちら

罪の効力を失う「執行猶予」とは

交通事故の加害者は必ず罪に問われ、刑罰を受けるとは限りません。刑事裁判において加害者に「執行猶予」がつく場合もあります。

執行猶予とは、交通事故の加害者が受ける刑罰の執行を一定期間先送りにすることです。執行猶予の期間中に罪を犯すといった問題を起こさなければ、刑罰を受けなくて済みます。

執行猶予になる条件

交通事故の加害者が受ける刑罰に対して、執行猶予が与えられるには、以下の条件に該当していなければなりません。

▶︎あわせて読みたい:加害者の減刑を求める「嘆願書」とは?

交通事故で罪に問われた場合の裁判の流れ

交通事故の加害者に、危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪の疑いがある場合、刑事裁判というものが行われます。刑事裁判によって、交通事故の加害者が受けるべき刑罰が決まるのです。

刑事裁判は、冒頭手続き・証拠調べ手続き・弁論手続きを経て、判決の言い渡しが行われます。詳しい流れについてを以下にまとめました。

冒頭手続き ①裁判官が起訴された加害者の氏名や生年月日などを質問し、本人確認を行う
②検察官が起訴状を読み上げる
③黙秘権があることを説明する
④起訴状の内容に間違いがないかを確認する
証拠調べ手続き ⑤検察官がこれから証拠を出して証明する事実を明らかにし、
起訴状よりも詳しく述べる
⑥証拠物の公開、証拠書類の読み上げ、証人の尋問を行う
⑦裁判官の問いかけに対し、起訴された加害者が受け答えをする
弁論手続き ⑧検察官が証拠に基づいて、起訴された加害者の罪を述べ、求刑する
⑨弁護人が証拠に基づいて「起訴された加害者の求刑が重い」というような、
検察官に対する意見を述べる。
⑩起訴された加害者が、最後に言いたいことを述べる
判決の言い渡し ⑪裁判官が、起訴された加害者に対する判決を言い渡す

▶︎あわせて読みたい:刑事裁判に入る前に行う警察と検察庁でのやり取りとは?

交通事故の加害者が背負う罪のまとめ

いかがでしたか。交通事故の加害者は、「危険運転致死傷罪」「過失運転致死傷罪」の罪に問われることになります。これらの罪に該当する場合は、懲役や禁固、罰金といった刑罰を受けなければなりません。

しかし、執行猶予がついた場合は、執行猶予期間中に犯罪を犯さなければ、刑罰を免れることができます。