交通事故治療マガジン

交通事故の違反点数はいつ通知がくる?累積点数通知書が意味すること

交通事故を起こしてしまい、被害者が怪我を負った場合、人身事故として処理されます。人身事故で処理されると、違反点数が加算されます。しかし、違反点数はいつ加算されるのでしょうか。

そこで今回は、交通事故の違反点数がいつ通知されるのかについて解説していきます。

交通事故の違反点数とは?

交通事故を起こした加害者には、違反点数が加算されます。この違反点数は、加害者が負うとされる3つの処分のうちの行政処分にあたります。ちなみに残りの2つの処分は、刑事処分や民事処分です。

行政処分では、自動車運転免許に関する違反点数の加算、それに伴う免停免許取り消しを行います。また、交通事故の行政処分を行うのは、警察公安委員会です。

▶︎参考:交通事故の加害者が負う3つの処分についてはこちら

違反点数の決まり方

交通事故で加算される違反点数は、各々の事故状況に対して加算されることになります。人身事故の場合で考えると、以下のような点数が、各々の事故状況に対して加算されます。

①人身事故を起こしたら加算される点数

安全運転義務違反 基礎点数
2点

②被害者の怪我の程度によって、加算される点数

被害者や建物の損害 交通事故の点数
死亡事故 責任が重い場合:20点
責任が軽い場合:13点
身体に後遺障害が残った場合 責任が重い場合:13点
責任が軽い場合:9点
全治3ヶ月以上 責任が重い場合:13点
責任が軽い場合:9点
全治30日以上~3ヶ月未満 責任が重い場合:9点
責任が軽い場合:6点
全治15日以上~30日未満 責任が重い場合:6点
責任が軽い場合:4点
全治15日未満 責任が重い場合:3点
責任が軽い場合:2点
物損事故 責任が重い場合:3点
責任が軽い場合:2点

※ここでの責任が重い・軽い場合については、以下の基準で決まります。
責任が重い場合→加害者のみが悪いとされる交通事故
責任が軽い場合→被害者にも過失があるとされる交通事故

③加害者がすべき措置を怠った場合に加算される点数

措置義務違反の種類 点数 欠格期間(※1)
救護措置義務違反(ひき逃げ) 35点 3年
物損事故の場合の危険防止等
措置義務違反(あて逃げ)
5点
酒酔い運転でひき逃げした場合 35点 10年
酒酔い運転だったがひき逃げをしなかった場合 3~7年
酒気帯び運転でひき逃げをした場合(0.25mg以上) 25点 8~10年
酒気帯び運転でひき逃げをした場合(0.15mg以上0.25mg未満) 13点 6~9年
過労運転等でひき逃げをした場合 25点 8~10年
麻薬等運転でひき逃げをした場合 35点 10年

①・②・③の違反点数が事故の状況によって加算され、事故を起こした日から過去3年間の累計でみていきます。

※1 欠格期間とは、その期間の間は免許の取得ができないというものです。そのため、すぐに免許を取り直すことはできません。欠格期間が終了した後に、免許を取り直すことになります。

免停や免許取り消しになる点数は何点?

違反点数が一定数累積した場合免停免許取り消しになります。免停になるのは、6点以上からで、免許取り消しは15点以上です。しかし、前歴(※2)がある場合は、免停や免許取り消しになる累積点数が異なります。以下の表にまとめました。

免停になる点数

前歴 免許停止の期間
30日 60日 90日 120日 150日 180日
0回 6~8点 9~11点 12~14点 免許取消
1回 4~5点 6~7点 8~9点 免許取消
2回 2点 3点 4点 免許取消
3回 2点 3点 免許取消

免許取り消しになる点数

前歴 免許取消しと欠格期間
1年 2年 3年
0回 15~24点 25~34点 35点以上
1回 10~19点 20~29点 30点以上
2回 5~14点 15~24点 25点以上
3回 4~9点 10~19点 20点以上

※2 前歴とは、以前にも違反や処分受けたことがあるかという経歴のことです。前歴を見ることによって、違反の常習性があるかを判断したり、処分を決めるときに利用されます。

免停の期間は短くすることも可能!

免停の期間は、停止処分者講習を受けることによって、期間を短縮することもできます。しかし、停止者処分講習は講習料金を支払う必要があり、免停の期間によって金額が異なります。また、免停の短縮期間は、停止処分講習の最後に行われる試験の成績によって決まります。

免停の期間 30日間 60日間 90日間以上
講習時間 約6時間程度 約10時間程度 約12時間程度
(2日間)
講習の料金 約14,000円 約23,000円 約28,000円
短縮される期間 約20~29日 約24~30日 約35~80日

交通事故の違反点数に関する通知はいつくるのか

交通事故で違反点数が加算されたとき、確認したい方もいると思います。しかし、違反点数に関する通知書がくることはありません。

累積点数通知書というものが届くこともありますが、この通知書は「今まで加算された違反点数が免停の一歩手前ですよ。」と注意を促すための通知書です。したがって、必ず届くものではありません。では、違反点数をどうやって確認すればいいのでしょうか。

違反点数の確認方法

違反点数がどのくらい累積しているのかを確認する方法は、自動車安全運転センターで運転記録証明書を発行することです。運転記録証明書を発行すると、過去5年・3年または1年の運転免許の行政処分や交通事故、交通違反の記録を確認することができます。

運転記録証明書を発行する方法

※証明書の交付手数料は、1通につき630円です。ゆうちょ銀行・郵便局の払込みで申し込む場合は別で払込料金が必要になります。

交通事故の違反点数と罰金は関係ある?

交通事故の違反点数が加算されたとき、罰金も支払うのかと疑問に思っている方もいますよね。違反点数は行政処分、罰金は刑事処分となっており処分が異なります。ただし、行政処分でも、交通違反をしたときには反則金を支払うことになります。反則金は行政罰で前科はつかず、罰金は刑事罰で前科がついてしまうという違いがあります。

罰金は刑事処分

交通事故における刑事処分とは、交通事故の加害者に罰金や懲役または禁固刑の刑罰を与える処分です。刑事処分の対象は人身事故のみで、物損事故の場合は基本的に刑事処分を受けることはありません。

罰金を支払うことになる事故とは

刑事処分の罰金を支払うことになる事故は、過失運転致傷罪緊急措置義務違反傷害罪にあたるものです。

過失運転致傷罪

運転者がすべき注意を怠ったことが原因で、人を死傷させた場合に問われる罪です。この場合、7年以下の懲役・禁固、または100万円以下の罰金が科せられますが、被害者の怪我の状態によって刑罰が異なります。

緊急措置義務違反

交通事故の加害者は、以下の3点を行うことを道路交通法の第72条で定められています。

これらにあてはまるのは、ひき逃げや当て逃げなどです。

必要な措置 罰則
運転の停止と事故状況の確認、負傷者の救護 5年以下の懲役または50万円以下の罰金
道路上の危険取り除くこと 1年以下の懲役または10万円以下の罰金
警察に報告すること 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

傷害罪

交通事故における傷害罪は、被害者を傷つけることを目的に事故を起こし、被害者が怪我を負った場合に問われる罪です。傷害罪の罰則は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金といった刑罰を受けることになります。

交通事故で罰金刑を受けたらいつ支払う?

交通事故で罰金刑を受けた場合、いつ支払うことになるのか気になりますよね。

交通事故の罰金は、納付書に支払期日が記載されています。その支払期日までに支払わなければなりません。もしも罰金の支払いができない場合は労役場留置となり、裁判所が決めた期間、刑務所で作業を行うことになります。

罰金は分割払いにできるのか

「罰金が分割で支払えたら、労役場留置にならないのに。」と思いますよね。しかし、罰金は、分割で支払うことができず、基本的に一括で支払わなければなりません。

ただし、経済状況によっては、例外として分割で支払うことが認められる可能性もあります。その場合、検察庁徴収係に相談して、判断してもらうことになります。

交通事故の違反点数についてのまとめ

いかがでしたか。今回の記事では、

交通事故の違反点数についてわからないことがあれば、この記事を参考にしてくださいね。