交通事故の後遺障害|後遺症との違いや後遺障害等級認定の手続き方法

2019年02月01日

交通事故による後遺障害。後遺症との違いは何なのか、後遺障害の認定を受けるにはどうすればよいのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、交通事故の後遺障害認定についてご紹介します。

後遺障害とは

「”後遺症”は聞いたことあるけど、”後遺障害”って何?」「後遺症と後遺障害の違いは?」このような疑問をお持ちの方もいるかと思います。そこでまずは、後遺症と後遺障害の違いを説明していきます。

後遺症と後遺障害の違い

後遺症とは、病気や怪我の治療を続けても完治に至らず、将来的に回復する見込みがない機能障害や神経症状が残っている状態のことをいいます。交通事故の場合、医師に「症状固定」と診断されることが、後遺症と同様の意味を指します。

一方で後遺障害は、後遺症であると同時に、以下3つの条件を満たしている必要があります。

  • 交通事故が原因の怪我であり、医学的に証明できる症状であること。
  • 後遺症になったことによって、労働能力の低下や喪失が認められること。
  • 自賠責保険の後遺障害等級に該当する症状であること。

後遺症になったとしても、以上の条件に当てはまらない場合は後遺障害として認定されません。つまり、全ての後遺症が後遺障害と認定されるとは限らないのです。

後遺障害等級認定について

後遺障害には、症状の程度に応じて1級から14級の等級が振り分けられています。後遺障害等級が認定されると、被害者は後遺障害に対する損害賠償を受け取ることができます。

認定を行っている機関

後遺障害等級は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)という団体が認定しています。具体的な調査は、全国の都道府県庁所在地にある自賠責損害調査事務所が、公正中立な立場で行っています。

後遺障害等級認定の必要書類

後遺障害等級認定に必要な書類は、以下の通りです。

  • 自賠責支払請求書兼支払指図書
  • 事故発生状況報告書
  • 交通事故証明書
  • 診療報酬明細書
  • 診断書
  • 後遺障害診断書
  • レントゲンやMRI等の画像

後遺障害等級の認定は書面主義で行われるため、記載されていない症状は審査の対象となりません。適切な検査を受け、記入漏れがないよう、担当医や弁護士との相談や確認が大切です。

後遺障害等級認定を申請するタイミング

後遺障害等級認定の申請手続きは、医師に症状固定と診断されたタイミングで行います。

症状固定となったら、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。後遺障害診断書を取得する際は医師に任せっきりにせず、自覚症状を伝えたり記載内容を被害者自身も確認するようにしましょう。

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害診断書やその他の必要書類が集まったら、相手側の保険会社に対して後遺障害等級認定の申請手続きを行います。

後遺障害等級認定の手続き方法は、事前認定被害者請求の2つ。それぞれのやり方を見ていきましょう。

事前認定

事前認定は、相手側の任意保険会社を通して手続きを行う方法です。被害者自身がすべきことは、保険会社に対して後遺障害診断書を提出することです。その後の手続きは、相手側の任意保険会社が行うこととなります。

事前認定のメリットは、被害者自身が複雑な手続きを行う必要がない、という部分です。しかし、どのような内容で手続きが進んでいるのか把握することはできません。したがって、本来であれば後遺障害等級が認定されるような症状でも、事前認定によって非該当となる可能性もあるのです。

被害者請求

被害者請求は名前の通り、被害者自身が直接、相手側の自賠責保険会社に対して手続きを行う方法です。被害者は先ほど述べた必要書類を用意し、相手側の自賠責保険会社へ送ります。

被害者請求は事前認定と比べて、時間や手間がかかってしまうかもしれません。しかし、必要書類以外にも、後遺障害等級認定に有利になるような書類を付け足すこともできます。また、手続きの内容をきちんと把握し確認しながら進めていくこともできます。

後遺障害等級認定の申請から支払いまでの流れ

後遺障害等級が認定されると、通常の損害賠償に加えて、後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われます。後遺障害等級認定の申請から損害賠償が支払われるまでの流れは、以下の通り。

  • ①被害者自身が、事前認定または被害者請求で申請手続きを行う。
  • ②相手側の保険会社が、損保料率機構に対して後遺障害等級認定の必要書類を送付。
  • ③損保料率機構の自賠責損害調査事務所が、後遺障害等級認定の審査を行う。
  • ④損保料率機構が相手側の保険会社に、審査結果を報告。
  • ⑤相手側の保険会社は審査結果を元に、被害者に対して損害賠償額を提示する。

状況にもよりますが、後遺障害等級認定の申請から審査結果が出るまでは、おおよそ1~3ヶ月程度の期間がかかります。

後遺障害についてまとめ

いかがでしたか。交通事故の怪我が後遺障害として認められる条件は、3つ。

  • 1 医学的に証明できる症状である。
  • 2 労働能力の低下または喪失が認められる。
  • 3 自賠責保険の等級に該当している。

以上を踏まえ、後遺障害等級認定の手続きを行いましょう。