事故車の修理に保険は使える?等級制度の仕組みとは
もくじ
事故車の修理、自分の保険を使うべき?
小高い丘の上にある親戚の家は、車を駐車するのがいつも一苦労だ。中古で買ったアルファードは、バックするときにハンドルが重くなる。これが斜面だとなおさらである。
坂道を登りきったあと、左に寄せてハザードをたく。後方に車が来てないことを確認し、フロント思い切りを右に振る。左後ろを目視、「1発で入るかも」。
がご、と鈍い音。右後方に、小さな軽自動車が刺さっていた。
このように、交通事故は何も走行中だけの出来事ではありません。
比較的軽微な今回の事故は、怪我人がないことが不幸中の幸いです。
物損事故にいて気になるのは、修理費用を自費で負担するか?保険会社にお願いするか?と、いうことですよね。
今回の記事は、自動車保険の基本的な仕組みや保険を使うメリットデメリットについてまとめました。
もしも今「修理しようかどうしようか」「保険を使うべきかどうか」「修理工場とディーラーどちらに依頼しようか」などで悩んでいたら、参考になるかと思います。
自動車保険の仕組み
普段は全く気にならないけれど、交通事故が発生してそのありがたさを感じる「自動車保険」。この自動車保険には、大きく分けて二つあります。
- ①自賠責保険
- ②任意保険
「①自賠責保険」は、車を所有する誰もが入らなければならない、国(国土交通省)が運営する強制保険のことです。自賠責保険は、被害者を最低限保障するために作られた保険のため、保障限度額が決められています。死傷者が出る人身事故のみ適用となり、物損事故の場合は保障されません。
一方、「②任意保険」は運転者が任意で加入できる保険となります。
事故の損害が自賠責保険の保障限度額を超えてしまったとき、任意保険の保障内容で填補します。任意保険は、契約内容によって保障内容や保険金の限度額が変わります。
任意保険は以下4つの保険がセットとして販売されるのが一般的で、それに加え「特約」をオプションとしてつけてもらいます(※1)。
- ①対人賠償責任保険…事故を起こしてしまったとき、被害者の怪我や損害を保障する保険
- ②対物賠償責任保険…事故を起こしてしまったとき、被害者の車や物の損害を保障する保険
- ③人身傷害保険…自分が被害者となったときの損害を、自分の加入している保険会社に保障してもらう保険。搭乗者も保障してもらえる。
- ④車両保険…(※2)災害が起きたときや盗難にあう、自損事故を起こすなど、自分の車の損害を保障する保険。
(※1)時役とは、上記4つの基本的な保険の他に、ファミリー特約・バイク特約といった、運転手によって必要な保障のこと。特約をオプションとしてつけるごと、月々の金額は上がる。
(※2)「④車両保険」は、任意で入る契約もあります。以下で詳しく説明していきます。
車両保険とは
車両保険は、自分の車に損害が生じたときに、その修理費用や買い替えの費用を補償してくれる保険です。車の損害とひと口に言っても、事故や災害、盗難などいろいろなケースが考えられます。自分が加入している車両保険で、どのような補償が受けられるのかを一度確認しておくと良いでしょう。
保険等級について
任意保険には、「等級制度」というものがあります。この制度は、等級を用いて保険料を割引・割増を適用するという制度で、保険等級は1~20等級まで段階が設けられています。
初めて保険を契約した場合は6等級からスタートし、1年間に保険を適用した交通事故がなければ、1等級ずつ上がっていきます。6等級から7等級、8級といった具合に等級が上がっていき、この等級が上がれば上がるほど、保険料というのは割引され安くなっていくということになります。
逆に、交通事故で保険を適用させるとなると、この等級は1等級、事故の度合いによっては3等級下がることになります。つまり、今後の保険料が上がることになります。
これが保険の「等級制度」です。
愛車のキズ、修理は車両保険を使うべき?
実際に交通事故で愛車が凹む、キズがつくといった場合、綺麗に直したいと思うのが本音です。しかし保険を使うとなると、保険の等級は1〜3つ下がり、今後の保険料は高くなる…。
「自費で修理するべきか?」あるいは、「車両保険を使うべきか?」で悩む人は大勢います。ここでは、車両保険の活用方法について解説していきます。
車両保険を使ったほうが良い場合
数年間は無事故で等級も上がっているおり、車の修理を出したとしても今後支払う保険料が、車の修理代を下回る場合には保険を利用したほうが良いでしょう。
車両保険を使わないほうが良い場合
一般的には、車の修理代が20万円を越さない場合であれば、保険を使わずに自己負担をして対応したほうが良いといえます。今後の保険料と相殺して、出費が少なくなるからです(※3)。
(※3)事故を起こしてしまった時点での等級や、特約が多いなどで負担している保険料によるので注意が必要です。
交通事故後は保険会社に保険を適用した場合に今後どのくらいの保険料になるかを確認をしてみると良いでしょう。実際に掛かる修理費と今後の保険料を比較し、検討してみることをおすすめします。
事故車両、修理はどこに出せばいい?
さて、車両保険についての問題が解決した後には、実際に車を修理に出す必要があります。
保険を使用するにしても、使わないとしても、修理費はなるべく安く済ませたいのが本音です。
「修理工場に依頼するよりもディーラーに依頼して修理に出す方が高い」というイメージが一般的ではないでしょうか。それぞれの特徴について解説します。
ディーラーに出すメリット・デメリット
ディーラーに修理を依頼する場合は、修理工場に依頼するよりも費用が高くなります。その理由は、修理の見積もり自体に手数料が掛かるという点と、純正部品での交換を行う点にあります。この、費用が修理工場と比べて高くなることにおいては、デメリットといえるでしょう。
メリットは、ディーラーの担当者(車を購入した時の営業マン)に修理を依頼すれば、スケジュール通りに対応してもらえるという点です。入庫から修理、納品までを遂行してくれるので、運転者の精神的負担は軽減されます。
修理工場に出すメリット・デメリット
一方で、修理工場に直接依頼する場合は、費用の面でメリットがあるといえます。ディーラーに依頼するよりも安く修理ができるからです。
より修理費を抑えたいと検討している場合は、複数の修理工場に見積もりを出してもらい、比較してみることをおすすめします。ただし、業者によっては見積もりが有料の場合がありますので注意が必要です。
また、デメリットとしては実際に修理工場に依頼するとなった場合、業者とのやり取りや入庫・出庫などを自身で行うなど、精神的負担は増えます。
ディーラーに依頼するか、修理工場に依頼するかは、「少しばかり高くても精神的負担を軽くするか」「ほとんど自分でやってでも修理費を抑えるか」で考えると良いかもしれません。
損害額だけもらって修理をしないとどうなるの?
「これくらいのキズなら、別に修理しなくてもいいか…」と、お考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、事故の被害者だった場合に「修理をしないで、保険会社から損害額だけをもらうことは可能か」気になりますよね。
修理はしなくてもいい
自損事故であった場合に修理するかどうかは、もちろんご自身で判断します。問題は、自身が被害者で、加害者側の保険会社から損害額を保障される場合です。保険会社は、事故の被害者に損害賠償をすることがお仕事ですから、損害額だけをお支払いすれば、それ以降修理するかしないかは問題ではありません。
よって、見積もりだけを出してもらって、損害額を払ってもらう。それを修理に使うか使わないかは、取り立てられることはありません。
修理をしない時のデメリット
修理をしなくても問題はありませんが、デメリットもあります。
見積もりだけで修理をしなかった場合にもらえる損害額は、本来修理に出していた場合の損害額を下回ることがあります。
「見積もり」はあくまでも概算(ざっくり計算したもの)であって、実際に点検・修理して見なければ破損箇所が細々と見つけられないからです。
もし修理をせず、自車の走行を続けていた場合に、新たな不備が見つかっても、それはご自身の責任になります。
事故車両を保険で修理するときのまとめ
いかがでしたか。
愛車が傷ついてしまった場合でも、自分の保険で修理をすることは可能です。
まずはご自身が加入されている保険内容を今一度確認することをおすすめします。